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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千六百二十八 玲緒奈編 「何も恐れなくていい」

十二月十一日。金曜日。晴れ。




挿絵(By みてみん)


僕たちが玲緒奈れおなの名前に込めた想いを批判する人もいるかもしれない。


確かに、子供の名前には、明るくて、希望の持てる、前向きな想いこそが込められるべきだと考える人も多いと思うし、僕もそれがいいと思う。


だけど、僕たちが玲緒奈の名前に込めたものも、僕たちにとっての『前向きな想い』なんだ。玲那や香保理かほりさんや沙奈子のことがあればこそ、明るく穏やかで朗らかでいられるようにと考えたんだ。


それが他人に理解されなくてもいい。あくまで僕たちだけが分かっていればいい。


そして、玲緒奈は、僕たちの想いそのままに、明るくて穏やかで朗らかでいてくれてる。


「ぷーぽ、ぷーぽ、ぷ、ぷ、ぱ」


今日も、何やらご機嫌で声を上げてる。


まだ生まれて三ヶ月も経ってないから、たぶん、玲緒奈本人としてもなにか意図を込めて意味を持たせて『しゃべって』るわけじゃないともは思うけど、ただただ『音』を楽しんでるだけだと思うけど、うん、楽しそうにしてるのが何よりなんだ。


自分が生まれてきたことを楽しんでくれてたら、それが一番だよ。


おむつを替えようとした時、急に「ふーむっ!」って力んだかと思うと、ぴゅーって柔らかうんちを飛ばされて服に掛かったりもしたけど、思わず「うひゃあ!」って叫んでしまったりしたけど、そんなこと、大した問題じゃない。服なんか何度だって洗えばいい。汚れが落ちないなら買い替えればいい。玲緒奈は生きてるんだ。生きてればいろんなことがある。そうやっていろんなことをしながら、彼女はこの世界のことを学んでいってくれてるんだ。


その中で、なにも親がわざわざ嫌な思いをさせることもないじゃないか。そんなことしなくても、うんちやおしっこがでて気持ち悪くて泣いてしまったり、怖い夢をみたのか寝てていきなり泣き出したり、僕がうっかり哺乳瓶を床に落として大きな音がしてびっくりしてしまったり、『玲緒奈にとって嫌なこと』なんていくらでもある。そういうのがあるのに意図的に親が子供を嫌な目に遭わす意味が分からない。


玲緒奈、君は、みんなに愛されてる。僕も、絵里奈も、沙奈子も、玲那も、君を愛してる。だから、何も恐れなくていい。何も心配しなくていい。この世には嫌なこともたくさんあるけど、僕たちはみんな、君が来てくれたことを歓迎してる。喜んでる。楽しんでる。


君は望まれて生まれてきたんだ。僕たちは君にそれを実感してもらえるように努力する。君にそれを実感してもらうこと自体が、楽しいんだ。楽しめるんだ。



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