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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千六百十八 玲緒奈編 「いい意味で、いい加減」

十二月一日。火曜日。晴れ。




クリスマスの件については、子供って基本的にそういうの好きだし、親がそういうの興味ないからって、


『クリスマスプレゼントがもらえない』


というのはさすがに違う気がするんだ。沙奈子だって、クリスマスそのものには興味ないみたいだけど、プレゼントをもらえるのは嬉しいみたいだし。


すると玲那が、


「正直、クリスマスにはいい思い出ほとんどないんだよ。お客を取らされてた時は、お客がプレゼントくれたりもしたけど、マジで『反吐が出る!!』って感じだったしさ。しかも中には、『ボクがクリスマスプレゼントだよ~♡』とか抜け抜けと言ってくるのがいてさ。ガチで『死ね!!』って思ってたよ。絶対に口にはできなかったけど。でも、『何がプレゼントだ!。この犯罪者が!!』とは今でも思ってる」


本当に嫌そうに苦々しく吐露した。


絵里奈と結婚する以前は、当時の話はほとんどしてくれることはなかった。話したくなかったのももちろんあるだろうし、やっぱり、どんなに信じてるつもりでも『ここまで話しても大丈夫なんだろうか?』って思いがあったんだろうなとは実感してる。


それが今では、こんな風に話してくれるようになったんだ。クリスマスとかを祝ったりしなくてもね。だからそういうイベントで親しくなる人もいれば、そんなのを経なくても近くなれる相手もいると思うんだ。僕たちはまさにそれだった。


でも、だからって、僕と絵里奈の子供も同じとは限らない。親の感覚をそのまま押し付けるのは違うと思う。親と子供は別の人間なんだから。


そんなわけで、ツリーとかには凝れなくても、本当にささやかなそれでも、玲緒奈れおなのためにクリスマスを祝ってもいいんじゃないかなとは思ってる。


もちろん、逆に、


『クリスマスなんだから何がなんでも祝わなきゃ!』


って形で押し付けることもしないよ?。


だからこそ、『ささやかに』って思ってるんだし。


僕たちは、『普通』とはかなり違ってる。でもね、『普通じゃ駄目だ!』と思ってるわけでもないんだ。『無理なく普通でいられる』ならそれでいいだろうしさ。


どちらか一方に偏る必要はない。自分の精神が安定していられる状態を心掛けることが大事なんだろうな。そのために、どちらかに囚われないようにしたい。


いい意味で、『いい加減』を心掛けたい。『いい加減』という言い方がマズいなら、『いい頃合』とか『頃加減』とか『いい塩梅』って言い換えるのもアリだ。


とにかく、精神が、心が、健やかであることを、穏やかであることを、心掛けたいんだよ。


そうすれば、無闇に他人を攻撃しなくても済むだろうからさ。



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