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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千六百十三 玲緒奈編 「それ以外の答えはない」

十一月二十六日。木曜日。晴れ。




玲緒奈れおなが生まれて二ヶ月。


体重六一五〇グラム。身長五十七センチ。


そういう『数値』も気になるけど、それ以上に玲緒奈自身を見てると分かる。彼女はとても元気で健やかだ。周囲をいつもよく見てる。特に、僕たちをよく見てる。


「おはよう。玲緒奈」


朝、沙奈子が玲緒奈に挨拶してくれると、笑ってるような表情に。それが、沙奈子だって分かってて笑顔になってくれてるわけじゃないのかもしれなくても、決して不快になってるわけじゃないのは確かだと思うんだ。玲緒奈は、嫌なことがあるとちゃんと泣いたりして教えてくれるから。


そして、僕や絵里奈や玲那が微笑みかけても、穏やかな表情をしてくれる。


絵里奈や玲那が抱いた時になかなか泣き止まないのは相変わらずだけど、それは単に、眠いのに『玲緒奈にとって寝心地のいい場所』いられないことに抗議してるだけだって気がする。


玲緒奈にとって一番寝心地がいいのが、僕に抱かれてる時なんだろうな。


僕は、男としては決して立派な体格をしてるわけじゃないけど、それでも、絵里奈や玲那よりは大きくて力もあって安心感があるんだって気がする。


お風呂の時もそれだと思うんだ。


それについては、玲緒奈の成長と共に『大丈夫な場所』が増えていくんじゃないかな。そうすれば、絵里奈や玲那に抱かれていても平気になっていくんじゃないかな。


沙奈子にも何度か抱いてもらったことはあるけど、やっぱり、力が弱くてどうしても安定感に欠けるのか、泣いてしまった。


だから僕は、


「大丈夫だよ。玲緒奈は沙奈子のことが嫌いってわけじゃない。ただ、安定感に欠けてるから不安なだけだ。だって、沙奈子が微笑みかけた時は落ち着いてるだろ?。沙奈子のことが嫌いだったら近付いただけで泣くと思うし」


と説明させてもらった。


これも、具体的な確証があるわけじゃない。単に、『抱いたら泣くけど微笑みかけただけなら落ち着いてる。っていう事実』を僕なりに解釈しただけのものだ。だけどそれで沙奈子が安心してくれるなら、『本当のところはどうなのか』なんてどうでもいい。


玲緒奈は『血の繋がった実子』だけど、沙奈子も僕にとっては『我が子』なんだ。『どっちが大事』じゃなくて、『どっちも大事』なんだよ。僕の両親が兄だけを大事にしていたことで僕がどんな人間に育ったかを考えたら、それ以外の答えはない。


僕がそう思ってて実際に態度で示してるから、沙奈子も不安にならずに済んでるんだと感じる。


「沙奈子、愛してるよ」


玲緒奈に挨拶した後で僕を見た沙奈子に、自然とそう言えてたのだった。



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