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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千六百十一 玲緒奈編 「ちょっと驚きだったり」

十一月二十四日。火曜日。晴れ。




玲緒奈れおなはとても元気だ。そして、すごく朗らかだ。


さらに、すごく正直に自分の気持ちを伝えようとしてくれる。おなかが空いたりおむつが汚れたら泣くのはもちろん、気に入らないことがあったら不機嫌そうな顔をして、ご機嫌な時は嬉しそうな顔をして、ちゃんと自己表現してくれるんだ。


そして僕たちは、そんな彼女の『自己表現』を受け止める。決して無視をしない。蔑ろにしない。しっかりと耳を傾けて、その意図を酌もうと努力する。


それは、玲緒奈自身が大きくなって、他人の話に耳を傾けられる人になってほしいからなんだ。


『他人の話に耳を傾ける姿勢』


というものを、僕たちが、彼女に対して『手本』として示すんだ。


赤ん坊が周りの人が話しているのを聞いて言葉を学ぶように、周りの人の振る舞いや姿勢を見て学ぶんだって、こうして実際に赤ん坊を育ててみて実感した。


僕はこの事実を知ってしまった以上、知らなかった頃には戻れない。


イチコさんや大希ひろきくんがどうしてあんなに鷹揚でいられるのか、その理由が分かったよ。


山仁やまひとさんが、イチコさんや大希くんに対してそうだったからなんだ。山仁さんの、イチコさんや大希くんへの接し方を、二人は真似してるだけなんだ。真似してると言うか、『そういうやり方しか知らない』って言った方がいいのかな。


僕も、沙奈子や玲緒奈にそうなってほしいから、二人の言葉にしっかりと耳を傾ける姿を示したい。


千早ちはやちゃんや結人ゆうとくんみたいに、出逢い次第でそういうのを学べる機会もあるとしても、そもそも親が示してあげられたら一番確実で一番早くて一番楽なんじゃないかな。偶然の『いい出逢い』に期待するなんて、大人のすることじゃないと思うんだ。


玲緒奈が生まれてからも、一階では、みんなが集まって『会合』が行われてる。僕と絵里奈も、余裕があればビデオ通話で参加してる。


せっかくだから直接顔を出せばいいのにと自分でも思わなくもないんだけど、やっぱり、僕と絵里奈自身、目のクマとかがまだまだ酷くてね。


みんなはそういうの気にしないというのは分かってても、やっぱり気恥ずかしさもあるし。特に、絵里奈は女性だから。


僕たち家族の間ではもう、妊娠中のあの『すごいの』をきっかけにして開き直れたのはありつつ、星谷ひかりたにさんたちとは、いくら『家族同然』と言っても、距離感的には『親戚』のそれに近い感じだからね。


あと、鷲崎わしざきさんと結人ゆうとくんの参加がだんだん減ってきてるみたいだ。ちょっとずつ、喜緑きみどりさんと過ごす時間が増えていってるって。


しかも、結人くんが、波多野さんの部屋に行って、鷲崎さんと喜緑さんが二人きりになる時間を作ってるらしくて。


ちょっと驚きだったり。



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