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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千六百二 玲緒奈編 「彼女のままで成長してるだけ」

十一月十五日。日曜日。晴れ。




昨日、沙奈子は、千早ちはやちゃんと大希ひろきくんと星谷ひかりたにさんとで、水族館に行ってきた。


玲緒奈れおなの世話に追われながらも、正直、少し心配してた。


一緒に行ってくれてるのがあの星谷さんだから、別に心配する必要はないとは思いつつ、どうしてもね。


だけど、どこに行くにも僕が一緒でないと不安がってた沙奈子が、千早ちゃんの提案とはいえそれを受け入れたのも、きっと『成長』なんだと思う。


そうだ。玲緒奈が来てくれたからって、沙奈子が僕の娘じゃなくなるわけじゃない。沙奈子は沙奈子で、彼女のままで成長してるだけなんだということを忘れたくない。


それを心に刻みつつ、


「いってきます」


千早ちゃんと大希くんが迎えに来てくれて出掛ける沙奈子を、僕と絵里奈と玲那が、


「いってらっしゃい。気を付けてね」


と見送った。その時の沙奈子の表情は、学校に行く時のそれと何も変わりなくて。


心配なのと同時に、ちょっと寂しかったりも。


でも、そう感じられるということ自体が、僕があの子を自分の娘だと思えてる実感なんだろうな。




そして今日は、一階の厨房で料理をしてる。


「う~い、お昼でっせ~」


玲那が、できたチャーハンを持ってリビングに。


「いただきます」


布団の上で自分の手足を「えっほ、えっほ」と動かしてる玲緒奈を見ながら、僕と絵里奈は沙奈子たちが作ってくれたチャーハンをいただいた。


相変わらず美味しいな。うん、本当に美味しい。


沙奈子と大希くんはあくまで『趣味』の範囲で料理をしてるだけなのに、しっかりと身に付いてるのを感じる。


さらに千早ちゃんは、将来、ケーキ屋をするために、うちの厨房で練習をしてるんだ。その成果を、僕たちもそれこそ日常的にいただいてる。


最近では、玲緒奈の世話に疲れたところに、甘いけど甘すぎない、とてもいい感じの差し入れがあって、本当に助かってる。


千早ちゃんにとっては、うちの厨房を使わせてもらってる『お礼』なんだそうだ。


もしかしたら世間一般には『もっと甘いのが好み』って人が多いのかもしれない。だから市販のケーキはすごく甘いのかもしれない。


でも、僕たちは今の千早ちゃんのケーキが好きだ。今ではもう、市販のケーキはまったく買ってないくらいに。


沙奈子も、千早ちゃんも、大希くんも、しっかりと成長してる。お互いにいい影響を与え合ってるって実感する。そのおかげで、沙奈子も、僕以外の人とも、必ずしも積極的とは言えなくても、『社交辞令』程度には関われるようになってきてるみたいだ。


今でも、学校では、『ロボちゃん』とか『埴輪』とか、陰で呼ばれてたりもするらしいけど、そんなに気にはしてないって。



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