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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千五百九十七 玲緒奈編 「親身になりたいとは」

十一月八日。日曜日。曇り。




玲緒奈れおなが自分に懐いてくれてない気がすることについて、ある程度は自分を納得させることができた絵里奈は、開き直って僕に任せることにしてくれた。


でも、内心でまで本当に納得してるわけじゃないのは、おっぱいの後で玲緒奈を僕に渡す時の表情を見ていれば分かる。申し訳なさそうな、悲しそうな、なんとも言えないそれを見せることがあるんだ。


だけど、人生というのは、何でも自分の思い通りにいくわけじゃない。育児もそうだ。僕たちが育てているのは人間で、親子といっても『別々の人間』なんだ。子供だからって何もかも親の言いなりになってくれるわけじゃない。そんなの、最初から分かってることだ。


絵里奈については、僕が支えるだけじゃなくて、玲那の力も借りる。当てにする。


僕だけで何もかもできるとか、そんな思い上がったことを考えるのはやめだ。僕は僕にできることをする。その代わり、僕の力が及ばないことについては、玲那や沙奈子の力も借りる。玲那と沙奈子だけで足りない時には、山仁やまひとさんの、星谷ひかりたにさんの、千早ちはやちゃんの、大希ひろきくんの、イチコさんの、波多野さんの、田上たのうえさんの、鷲崎わしざきさんの、結人ゆうとくんの、みんなの力も借りる。


非力な人間は、そうやって力を合わせることで生きてるんだ。


実際には自分には無理なことまで『自分一人で何とかする!』と言い張って結局はどうにもできなくて問題が大きくなってから他人に頼ることで余計に迷惑になるんだろうな。


千早ちゃんも言ってくれてるって。


「私は赤ちゃんはまだ育てられないけど、沙奈がもしお父さんとお母さんが玲緒奈ちゃんに取られて寂しかったりしたら頼ってよ!。一晩中だって付き合うから!」


ってさ。










十一月九日。月曜日。曇り時々雨。




僕たちは本当に恵まれてる。頼りになる人たちに囲まれて。


だけどそれは、僕自身が選択してきたことの結果でもある。誰かを攻撃して罵って貶めて嘲ってってしてこなかったからというのもあると思うんだ。僕がそんな人間だったら、みんなもこんなに親身になってくれなかっただろうなってすごく感じる。


攻撃的な人間がいかに他人から信用されないかは、見てれば分かると思う。自分も平然と他人を傷付けるような人に親身になりたいとは普通は思えないんじゃないかな。


他人を気遣うのって、他人を傷付けようとしないのって、やっぱりそういうことなんだよ。『自分のため』なんだ。


星谷さんはとても大きな『力』を持っているけど、だからと言って自分からそれで誰かを攻撃しようとしていない。あくまで自分と大希くんを守るために使ってて、そして、大希くんのために彼と関わりが深い人のことも守ろうとしてくれてるだけなんだ。


僕がもし、大希くんを傷付けようとするような人間だったら。決してここまで力にはなってくれなかったっていうのがすごくよく分かるよ。



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