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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千五百九十六 玲緒奈編 「そのために僕はここにいるんだ」

十一月六日。金曜日。晴れ。




玲那が言った。


玲緒奈れおなさ、パパっ子なんだよ。絵里奈のことが嫌いってわけじゃないんだよ。『パパに甘えたい』だけなんだ」


「そう……、なのかな……」


呟く絵里奈に、今度は僕が言う。


「僕もそう思う。それにこれはきっと、玲緒奈に『自我』が目覚め始めてるってことだと思うんだ。玲緒奈の『自己主張』なんだよ。自分の『好み』を主張してるだけなんじゃないかな。『自分はこっちの方が寝やすい!』ってさ。玲緒奈が成長してる証なんだって気がする」


僕の言葉に、絵里奈も、


「そうか、『成長』か…。自我が生まれ始めてるのか…。そうかもしれませんね……!」


少し表情が明るくなった気がした。


僕が言ったことが事実かどうかは分からない。だけど、絵里奈にとっては腑に落ちたみたいだった。


その様子を見て思ったんだ。


『もしかすると、これが、オカルトや宗教に救いを求める感覚なのかな……』


って。


それが事実かどうかは関係ない。科学的に正しいかどうかは関係ない。ただ自分にとって納得できる腑に落ちる『答え』がほしいってことなのかも。ってさ。










十一月七日。土曜日。曇りのち雨。




『これはきっと、玲緒奈に『自我』が目覚め始めてるってことだと思うんだ。玲緒奈の『自己主張』なんだよ。自分の『好み』を主張してるだけなんじゃないかな。『自分はこっちの方が寝やすい!』ってさ。玲緒奈が成長してる証なんだって気がする』


僕のその解釈は、絵里奈にとっても取り敢えず腑に落ちるものになってくれたらしかった。


それが科学的医学的心理学的に正しいのかどうかは、この際、どうでもいい。絵里奈にとって救いになってくれたらそれでいいんだ。もし、間違ってたことが後で分かったら、その時には笑い話にしてしまえばいいと思う。


きっと玲那が、


『あの時、お父さん、めっちゃドヤ顔してたなあ♡』


とか言って笑い話にしてくれるんじゃないかな。


そうだ。間違ってたら間違ってたでいいんだよ。それがはっきりしたら僕も間違ってたと認める。


親だって完璧じゃない。失敗だってするし思い違いをすることだってある。僕はその事実を忘れたくない。


でも、その上で、努力したいんだ。


問題の一つ一つを丁寧に解決していきたいと思うんだ。


「じゃあ、開き直ってパパにお任せしてもいいですか?」


絵里奈がそう言ってくれたから。僕も、


「もちろんだよ。そのために僕はここにいるんだ」


と応えさせてもらった。


僕の育児休業が終わっても今のままだったとしたら、その時はその時だ。


その時点でまた考えればいいと思う。



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