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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千五百八十七 絵里奈編 「ちょっと余裕が出てきたら」

十月十五日。木曜日。晴れ。



少しずつ慣れてきてるとは言っても、大変なのは正直変わらない。


ただ、『辛い』って感じじゃなくなってきてるんだ。


僕も絵里奈もお互いに寝不足で、


「ヒドイ顔だね」


「パパもね」


と、思わず顔を見合わせて思わず笑ってしまったり。


そう。こうやって笑顔になれるっていうのがすごいと思う。


僕と絵里奈のどっちが大変だとか辛いとか、そんなの、どうでもいい。玲緒奈れおなは僕と絵里奈の子だ。だから僕と絵里奈が一番、傍にいる。


それだけの話だよ。








十月十六日。金曜日。晴れ。




今日は絵里奈と玲那の誕生日。でも、


「いいよいいよ。今年は。正直、それどころじゃないし」


「私も」


玲那と絵里奈がそう言うので、今年は何もしないことになった。




玲緒奈は、とても元気だ。『生命力に溢れてる』って言った方がいいかな。とにかくそんな感じで、いっぱいおっぱいを飲んで、いっぱいおしっこして、いっぱいウンチをして、もりもり成長してる。


「玲緒奈~♡」


僕が名前を呼ぶと、頭を向けてくれる。どうやら聴覚にも問題なさそうだ。


彼女の顔を見てると、自然と笑顔になってしまう。だけど、オムツを替えようとして外した途端に、


しょしょしょ~。


って、おしっこされた。慌てて外しかけたオムツを戻して受け止める。


「あはは、快調快調、元気だな♡」


思わず笑顔になった僕を、玲緒奈はじっと見てた。










十月十七日。土曜日。雨。




生後三週間。退院してから二週間。


結局、ベビーベッドは使ってない。僕と絵里奈の布団の間にベビー布団を敷いて寝かせてる。これが一番、僕たちにとってはやりやすかった。布団は一日一回、交換して、玲那がベランダに干してくれる。もっとも、今日は天気が悪いから、部屋の中で干してるけど。


玲緒奈は、起きてる時はだいたい、おとなしく布団に横になっててくれる。寝かしつけた後で下そうとすると、十分に寝付いてなかった場合にぐずり出すんだ。それが何となく分かってきた。そして今は、


えっほ、えっほ!。


って感じで足を揃えて蹴り出すみたいな動きをしてた。自分の手足が動くのが面白いのかもしれない。


かと思うと、急にムスっとした表情になって固まって。


「ああ、おしっこ出た?」


僕が尋ねると、


『そうだ!。オムツ替えろ!』


みたいな目で僕を見るんだ。


それがまた可愛くて。










十月十八日。日曜日。晴れ。




前にも言ったとおり、玲緒奈をお風呂に入れるのは、完全に僕の役目になった。やっぱり、絵里奈がやっても玲那がやっても、必ずぐずるんだ。なのに僕が入れるとすっごく落ち着いてるし、気持ち良さそうにお湯に浸かってる。


「これはパパっ子になるなあ、きっと」


脱衣所から覗き込んでた玲那がニヤニヤしながら言った。


「そうかな。だとしたら嬉しいかも」


そんな風に応えながらも、僕の頭には沙奈子の姿が浮かぶ。


彼女のことはすっかり玲那に任せきりになってるのが申し訳ない。


「沙奈子は大丈夫かな?」


「うん。今はまだ大丈夫だよ。でも、ちょっと余裕が出てきたら、相手してあげてほしいな」


玲那に言われて、


「ああ、もちろんだよ」


僕は応えたのだった。



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