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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千五百八十三 絵里奈編 「母親一人でこれをやってたら」

十月五日。月曜日。曇りのち晴れ。




土曜日からここまで、僕と絵里奈は、正直、二時間以上、連続して寝てない。玲緒奈れおながぐずりだすとまず僕が飛び起きて、おむつ替えをして、その間に絵里奈が何とか体を起こして、おっぱいをあげる。授乳が終われば僕が玲緒奈を抱いて背中をとんとんしてゲップをさせて寝かしつけて。って、延々とその繰り返しだ。


そうなると時間の感覚もいい加減になってきて、かつ、自分が起きているのか寝ているのかさえ曖昧になってきた。はっきりしてるのは、玲緒奈がぐずりだした時に勝手に僕の体が起き上がること。


これは……。いや、母親一人でこれをやってたら、正気を失って当然だと思った。僕と絵里奈は手分けしてるからまだこの程度で済んでるけど……。


何が、『産後鬱なんて甘え』だよ。自分はたまたま楽だっただけだろ?。自分がたまたま恵まれてただけでそれが当たり前と思うとか、見識が狭すぎる。世界というものを知らなすぎる。


うちは、僕と絵里奈が玲緒奈の世話を手分けできて、さらに家のことは、沙奈子と玲那にお任せできたから、まだ何とかなってる。


「お父さん、うちのことは任せて」


「そうそう、お父さんと絵里奈は玲緒奈のことだけに集中しててくれていいから」


初めての赤ん坊だから要領がつかめていなくて、たぶん、無駄な動きをしてるというのもあると思う。でもそれにしたってこれはきついよ。


「ごめんなさい、パパ……」


授乳の後で、絵里奈には少しでも睡眠をとってもらうためにすぐに横になってもらう。玲緒奈を寝かしつけるのも僕の役目だ。


「いいよいいよ。絵里奈は出産のダメージもあるんだから、とにかく体を休めて」


そう言って絵里奈には寝てもらって、僕は玲緒奈をあやして。


だけど、寝付いたと思って下ろそうとしたらぐずりだすから、僕は玲緒奈を膝において、ゆらゆらと揺らしてあげた。そしたらすぐ寝てくれるんだ。なのに、下ろそうとするとやっぱりぐずる。


だからもう膝に乗せたまま壁に背を預けて僕もうとうとした。こうしてるのが一番確実に休める。










十月六日。火曜日。晴れ。




僕と絵里奈が玲緒奈のことだけに集中してるから、三階の部屋と一階の厨房の掃除は、沙奈子だけじゃなく、千早ちはやちゃんと大希ひろきくんも手伝ってくれた。


これは、沙奈子が山仁やまひとさんの家でお世話になっていた時に、掃除を手伝っていた『お返し』としてらしい。


だけど、大希くんは分かるんだけど、千早ちゃんにとってはどっちも『自分の家』じゃない。でも、千早ちゃん自身の気持ちとしては、


『どっちも私の家みたいなもんだよ』


ってことらしかった。


ああ……、すごいな、千早ちゃんは……。



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