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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千五百八十二 絵里奈編 「大丈夫。僕がついてる」

そうして病院まで絵里奈と玲緒奈れおなを迎えに行った僕たちだけど、帰りは、絵里奈と玲緒奈にはタクシーに乗って帰ってもらった。


さすがに玲緒奈を抱いて歩いて帰るのも大変だしね。持ち運びできるベビーシートを用意したら、タクシーの運転手さんが手慣れた様子でシートに固定してくれた。


ベビーカーも買ってあるけど、自転車には積めなかったし。


家からタクシーに乗っていけばとも思ったものの、そうなると今度は帰りが定員オーバーになるからね。


あと、今は、子供を乗せて自転車で牽引するトレーラーがあるらしいけど、いくら何でも生まれたばかりの玲緒奈を乗せるのはおっかないし、何より、様子が分かり難いのが難点だと思った。


だから、絵里奈の電動アシスト自転車は、カゴにもなるチャイルドシートが前に付いたものだ。それも、寝かせた状態で乗せられるという。


ただ、それはあくまで、どうして自転車で出かけなくちゃいけない時用なので、たぶん、少なくとも免疫がそれなりについて首がしっかりと据わるまでは自転車に乗せるのはおろか出掛けることも避けようと思ってる。


買い物とかも、僕か絵里奈か玲那か、最低でも誰か一人が必ず玲緒奈と一緒に家に残る形にすると決めてる。感染症が怖いからバスも電車も乗らない。


でも、自分たちがそうするからって、赤ちゃん連れでバスや電車に乗る人のことをとやかく言うつもりもまったくない。それは他人が口出しするべきことじゃないと思ってる。




なんてことも思いつつ、


「おかえり」


「ただいま」


先にタクシーで家に着いて玄関で玲緒奈と共に待っていてくれた絵里奈とキスを交わす。


そんな僕と絵里奈を、沙奈子が嬉しそうに、玲那はニヤニヤと、笑顔で見ていた。


いよいよこれで、家族が五人になったんだ。










十月四日。日曜日。晴れ。




こうして改めて全員が揃っての生活が始まった。


今日は日曜日で、千早ちはやちゃんと大希ひろきくんが来るけど、絵里奈と玲緒奈はリビングにこもったままだ。僕も二人に寄り添う。


「ま、ここは玲緒奈にお父さんとお母さんを譲るということで」


「うん」


玲那と沙奈子だけで一階に下りて行った。直接の面会は当分避けることにしてあるし、千早ちゃんたちもそれは了承済みだ。


正直、昨日、家に帰ってからも、ほとんど一時間おきくらいにおっぱいやおむつ替えをしてたから、絵里奈も僕も寝不足でちょっと人前に出られる状態じゃないというのもあるのと、何より、感染症が怖い。


その上で、おっぱいは絵里奈でなくちゃ無理だから任せつつ、おむつ替えは僕が担当する。最初はさすがに戸惑ったけど、なんだかすぐに慣れた。おしっこもうんちも、ぜんぜん平気だった。


ぐずりだす気配がしたらすぐに用意して、泣かせっぱなしにしない。


さあ、ここから数か月。これが続くぞ。


「大丈夫。僕がついてる」


「はい……!」


目の下にクマを浮かせて化粧もしてない絵里奈と、そう言いながらキスを交わしたのだった。



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