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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千五百三十八 絵里奈編 「みたいな考え方を認めることに」

九月二日。水曜日。晴れのち曇り。




絵里奈が育児休業に入って二日目。


でも、何だかんだで絵里奈に指示を仰いだり、お昼を作ったりっていうのはそのままだった。


絵里奈自身、そうしてる方が落ち着くらしいし。


なにしろ、家のことは、一階の掃除くらいしかすることがない。二階には上がらないようにって家族で決めたから、時間が余ってしまうっていうね。


二階三階の掃除は、僕と沙奈子と玲那でする。


と言うか、学校から帰って課題を終わらせると、千早ちはやちゃんが、


「お~し!。掃除するぞ~!」


って言って、三人で掃除してくれるんだ。もちろん、沙奈子の指示の下で。山仁やまひとさんの家でも、三人が中心になって、星谷ひかりたにさんやイチコさんや波多野さんや田上たのうえさんが協力する形で掃除してたみたいだね。


それも結局、千早ちゃんや沙奈子にとっては『遊び』だった。楽しんでるから苦にならない。


千早ちゃんにしてみれば、


『沙奈子や大希くんと遊びながら、お世話になってる恩を返す』


みたいな形になってて、ただただ一方的にお世話になってることの心理的負担の軽減にもなってるらしい。


遊びながらそれができるっていうのは、すごくいいと思う。その発想ができるというのも、ある意味じゃ千早ちゃんの『才能』なのかもしれない。


ただそれは、本来の『家庭』の中では『安らぎ』や『楽しさ』というものを得られなかった彼女が、


『楽しく料理や家事ができる。ということを『遊び』と捉えられてしまう』


ことで成立してるものかもしれないけどね……。もしそうなら、必ずしも喜ばしいことじゃないかもしれない。だから僕は、


『子供が家の手伝いをする』


ことそのものを『普通』と考えないようには心掛けてるんだ。でないとそれこそ、本人が苦痛に感じているにも拘わらず家の手伝いを過度に強要するのを正当化してしまう気がするから。


『家の手伝いをするのがいい子で、そうじゃない子に価値はない』


みたいな考え方にならないように気を付けたい。


だけどそれでも、今の時点で彼女自身が楽しめてるなら、わざわざ取り上げる必要はないと思う。


その辺りの『個別の事例』についてちゃんと『個別に判断』できることも、大人に求められるものなんじゃないかな。


何でもかんでも一括りにして『良い』『悪い』を決めるというのは、『甘え』だと思うし『怠惰』だと思うんだ。


『そんな面倒臭いことしてられない!』


って言う人がいたとしても、僕はそれを『面倒臭い』と言って切り捨てることはしたくない。


それを切り捨てるということは、自分が逆に切り捨てられることを認めなくちゃいけなくなると思うから。


『世の中と上手く折り合いを付けられない人』


なんて、今時、どれだけいる?。『個別の事情』を考慮しなくていいって言うのなら、


『世の中と上手く折り合いを付けられない人たちを全員を切り捨てた方がいい世の中になる』


みたいな考え方を認めることになると思うんだ。



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