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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千五百十九 絵里奈編 「散々、周りの人たちに迷惑を」

八月十四日。金曜日。晴れ。


今日の最高気温は三十八度。あっさりと、この夏一番を更新した。


本当に気を付けないといけないな。




それはさて置き、絵里奈を見てると実感する。親は、特に母親は、ものすごく大変な思いをして子供をこの世に送り出すんだなって。


自分がどれだけ母親に迷惑を掛けて生まれてきたかを考えれば、


『誰にも迷惑なんか掛けてない!』


みたいなことを言うのがいかに現実を見てないかってのを感じる。


でもその一方で、そうやって大変な思いをして子供を生むからこそ、母親は、子供に対して、ついつい、


『あんなに大変な思いをして生んでやったのに!』


って思ってしまいがちになるのかもしれないとも感じた。


だけど、それは違うとも思うんだ。


だって、元はと言えば子供を生む決断をしたのは、親なんだから。その決断をしなければ、そもそもそんな大変な思いをすることもなかったんだから。


これはもちろん、母親だけのことじゃない。父親だって、『そういうことを』をしたから子供ができたんだし、ましてや『子供を生んでもらおう』と思ってのことだったら、当然、応分の責任は生じる。


なのに、それについてさえ、あれこれと言い訳を並べて責任逃れをしようとする人も多い。もしいい歳をした『大人』がそんなことを言ってるのなら、そんな大人がどんな世の中を作れるって言うんだろう。


自分の責任とさえ向き合えないような大人が。


そして、他人を傷付けて平気でいられる『大人』がいることについても、僕は情けなくて仕方ない。


いったい、誰から、そんなことを学んだの?。


誰かを傷付けて平気でいられるとか、しかもいい歳をした大人になってさえ、それが好ましいことかどうかの判断さえできないの?。


何のために人生経験を積んできたの?。いかに効率的に確実に他人を痛め付けられるかを学んできたってことなの?。


そんなことのために生きてきたの?。


僕は、嫌だ。


僕はそんなことに自分の人生を費やしたくない。そんなことのために生まれてきたんじゃない。僕の両親や兄は、それこそ、


『他人を傷付けるために生きている』


ような生き方をしてきたけど、だからこそ、僕はあの人たちと同じようには生きたくないんだ。




今日も、大きなお腹を抱えてふうふうと荒い息をしながら座椅子に体を預けてる絵里奈を見ながら、彼女を敬えない、労われない、気遣えないような人間ではいたくないとすごく思う。


自分も散々、周りの人たちに迷惑を掛けてきて、それを大目に見てもらったからこそ生まれてこれたのに、どうしてほんのちょっと気遣うこともできない人がいるんだろう。


そういう人は、自分がこの世に生まれてきたこと自体を呪っているのかな?。とさえ、感じてしまうんだ。



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