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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千五百十一 絵里奈編 「今後改めて考えるということで」

八月六日。木曜日。晴れ。




夏休み中の玲那は、厨房に立ってみんなの昼食を用意してたりした絵里奈と違って、ただただアニメを見たりゲームをしたりして過ごしてた。


『外が暑すぎて出掛ける気にもならない』という点では絵里奈も同じだったけどね。


ただ、だからといって、


『絵里奈よりも仕事に対する熱意や誠意が劣ってる』


とは、僕は思わない。そして星谷ひかりたにさんも、そういう部分を評価には入れないようにしてくれてる。


夏休み中にみんなの昼食を作ったのは、絵里奈がそうしたかっただけだ。『体を動かしていた方が気が紛れる』からって。


あくまで絵里奈のプライベートの過ごし方ってだけの話なんだ。それが玲那とは違ってるってだけで。


それに玲那だって、仕事をしてるみんなの邪魔にならないように沙奈子たちと一緒に二階のリビングで過ごすようにしてたし、絵里奈がやっぱりみんなの昼食を作るってなったら、一緒に厨房に入って手伝ってくれたりしてたって。その上で、


「仕事の面じゃ、イチコもフミももう完全に私が教えることなんてないからね。二人はちゃんとやってくれてるよ」


とも言ってる。


確かにイチコさんも田上たのうえさんもちゃんと仕事してくれてた。


で、それはそれとして、イチコさんが、


「やっぱ、ここを『社員食堂』ってことにして、代金払って食べるようにしたらいいんじゃないかな」


絵里奈の作ったカルボナーラを食べながら言ったらしい。


それは、ここを事務所にした当初から出てた意見。でも今は『SANA』としての業務を軌道に乗せるのが先ってことで後回しにしてたんだけど、イチコさんに加えて、


「私もそれがいいと思う。お金払わなくて済んでたのはありがたかったけど、それとこれとは別って思うんだよ」


田上さんの意見も同じだった。そこで、星谷さんにビデオ通話で告げると、


「なるほど。従業員の意見として一致をみてるのでしたら、一考の余地ありですね。ただ、問題としては、『社員食堂として運営する』のであれば、専属の栄養士なども入れなければなりませんし、様々な法令についてもクリアしなければいけないでしょう。現状のように、『従業員が職場のキッチンで勝手に自分が食べる分を調理している』形のままで行くわけにはいきませんから」


とのことだった。


「あ~、なるほど。言われてみればそうか」


「社員料金とはいえお金を取るんだったら普通に食堂と同じ扱いになるってことだもんね」


イチコさんと田上さんも改めて考える。


「何でしたら私が栄養士の資格を取って、兼任ってことでもいいんですけど、出産が控えてますからね」


「学校が休みの間は千早ちはやもやる気になってくれてるけど、中学生を雇うのは、今のご時世ではさすがにね。しかも学校が休みの時しかできないし」


絵里奈と玲那も、冷静に意見を述べる。


そんなこんなで、『社員食堂』の件については、今後改めて考えるということでこの時は保留になったんだって。



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