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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千五百七 絵里奈編 「宝の持ち腐れ」

八月二日。日曜日。晴れ。




昨日の海も、去年と同じく平穏に楽しめただけで終われた。しつこいナンパにも遭遇しなかった。たぶん、今年もやっぱりあの、すっごい筋肉の監視員さんの近くにいたからだろうな。もう、存在そのものがセックスアピールみたいな鷲崎わしざきさんにあわよくば近付こうとする男の人は何人かいたみたいだけど、その監視員がギロリとにらみを利かせてくれたからか、諦めたみたいだったし。


どうやら、毎年のことだからか、監視員さんも僕たちの顔を覚えていてくれたみたいだ。そのおかげか、結人ゆうとくんも、鷲崎さんに言い寄る男の人を気にせずに済んだのか、多少だけど海で泳いでた。


それかと思うと、例年通り、砂浜で貝拾いをしていた沙奈子に付き合って、一緒に貝拾いをしてくれたそうだ。


六年生の時には、僕と一言二言やり取りをしただけで、その後は、鷲崎さんに絡んできたナンパとかの一件があって、正直、ちょっと落ち着かなかったのはあったからね。


でも、今年は、沙奈子と結人くんが当たり前みたいに一緒にいてくれた。


「なんだか、お似合いですね……」


僕のところに戻ってきた鷲崎さんが、嬉しそうに目を細めながら言った。


「そうですね……」


僕も、正直にそう応えられた。確かに、学校指定の水着を着た男の子と、やっぱり学校指定の水着の上からライフジャケットを着た沙奈子が、黙々と貝拾いをしてる光景は、ちょっと微笑ましいものがあった気がする。


一方、千早ちはやちゃんと大希ひろきくんは、イチコさんたちと遊んでた。星谷ひかりたにさんも一緒に。そっちはそっちですごく楽しそうだった。星谷さんも、大希くんと普通に遊べるようになってきたみたいだ。これまではちょっと意識しすぎてしまって逆に近付けない感じもあったのに。


そういう点でも、星谷さんも変わってきてるみたいだな。


うん。そうだね。他人からはじれったく思えるくらいにゆっくりとしたそれだけど、行きつ戻りつを繰り返しながらだけど、ちょっとずつ変わっていってるんだ。


沙奈子も、最初の頃みたいにすぐに疲れた様子を見せるっていうのはなくなってきてる。


鷲崎さんも僕のことを変に意識せずに済んでるみたいだし。それだけ喜緑きみどりさんとの関係が順調だってことだろうな。


ただ、そのセックスシンボルとしか言いようのないグラマラスな体にビキニという組み合わせは、たぶん、普通の男性にとっては眩しすぎるんだろうなって思うけど。


僕、大希くん、結人くんと三人の男性がいるグループなのに、その三人が三人とも『普通じゃない』僕たちの間では、完全に『宝の持ち腐れ』だったけどね。



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