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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千七十七 美嘉編 「本当に参考になったんだ」

星谷ひかりたにさんは言う。


「私は、子供とどう接すればどんな人に育つかという実例を間近で見られて本当に幸運だったと思います。他人を敬えない人、気遣えない人、労われない人と、イチコやヒロ坊くん、沙奈子さんとを見比べることができるのですから。


千早ちはやとの接し方も、山仁やまひとさんや山下さんのそれを見倣えばいいだけなのです。


親も、一人目や二人目の時は未熟で当然であり、先達から学ぶ必要があると思うのです。誰もが最初から立派な親にはなれません。


それを、『完璧な親になれるようになってから子供を生むべき』などとおっしゃる方は、順序を間違っていると思うのです。実際の経験を積まなければ、身には付きません。


しかし私の場合は、疑似的にではありますが『親』としての経験を積むことができています。私の接し方が千早の在り方に多大な影響を与えていることを、身をもって実感しています。


これは、私自身が子を持つようになった時に大変役立つと感じています。


それと同時に、私はまだまだ未熟です。だから手本となる方が身近に必要だというのも事実でしょう。


そういう点も含めて、私は学ぶことができました。これが、他人との関わりの重要性の一つなのでしょうね」


彼女の言葉に、僕も納得できてしまう。


「確かに僕も、山仁さんからすごくたくさんのことを教わったと思う。山仁さんは奥さんを亡くして一人でイチコさんと大希ひろきくんを育ててきた。母親がいない状態で父親としてどう子供たちと接すればいいのか、すごく考えてきたと思う。そしてそれが実際に功を奏してるのは、イチコさんと大希くんを見てれば分かる。


お母さんを亡くしたのに二人はあんなに朗らかで穏やかで、他人に八つ当たりして自分の憂さを晴らす必要がない人に育ってる。


しかも、『一人ではお風呂に入れない』とか『おねしょがなかなか治らない』とかっていう問題も、上手く対処してきた。虐待を受けて精神的にいろんな問題を抱えてた沙奈子との接し方も、山仁さんのがすごく参考になった。


イチコさんと大希くんも、沙奈子も、『普通』とは違う経験をしてきてる。だったら、『普通』と同じ接し方じゃ上手くいかなくて当然だと思う。山仁さんはお父さんとお母さんの両方の役割をしなきゃいけなかった。沙奈子の場合は割と早いうちに絵里奈が母親として接してくれるようになったことで僕はそこまでしなくても済んだけど、でも、今は一緒に暮らせてないからやっぱりある程度はその役目もしなくちゃならない。


本当に参考になったんだ」



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