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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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千七十一 美嘉編 「どうして大人と同じことが」

六月七日。金曜日。雨。




千早ちはやちゃんは、どうして沙奈子に対してきつく当たったのかを、自分の口で自分の言葉で説明してくれた。その上で、


「ごめんなさい」


って言ってくれた。その謝罪が本心からものだっていうのが今の彼女の様子から分かるから、僕は彼女のことを今では完全に許してる。


だけどこれがもし、


『こいつがウジウジしてて、しかも『私って可哀想でしょ』アピールしてんのが悪いんだろ!。イジメられる原因をこいつが作ってんじゃん!』


とか言うような子だったら、今でももちろん許してなかった。でも、千早ちゃんはそうじゃない。


だけど千早ちゃんが僕に対しても謝ってくれたのは、それは僕が彼女の言葉に耳を貸す姿勢を見せていたからだろうなっていうのも分かるんだ。僕が聞く耳を持たない感じだったら、彼女はきっと今でも謝ったりしてないと思うし、そもそも沙奈子ともこんなに仲良くなってくれてないと思う。


子供は未熟だ。経験が少ないんだから未熟で当然なんだ。それを大人の側が理解してないと、子供のことそのものを理解できない気がする。


と言うか、大人だってかつて子供だったのに、自分が未熟な子供としての時期を過ごしてきたはずなのに、どうしてそれを忘れて、大人基準で考えるんだろう?。


沙奈子の通ってた小学校は、まさにその部分をきちんと考えてたんだろうなっていうのが分かる。未熟だからこそ失敗するし対処の仕方を間違える。大人と同じことはできない。子供が完全に大人と同じことができるんなら、そもそも大人が指導する必要もない。それを前提として学校側は丁寧に対処しないといけないっていうのが分かってるだけなんだって。単純にそれだけのことなんだ。


だけどそれができない学校もある。


子供同士の厄介事を子供に丸投げしておいて、だけど子供は未熟だから対処に失敗して問題が拗れる時もあって、本当にどうしようもなくなってから頭ごなしに、


『どうして大人と同じことができないの!?』


みたいな感じで偉そうに言うだけだから、しかも『手間かけさせんなよ。メンドクサイ』とかいう本音が見え見えな態度でそんなだから、結局、何も解決しないどころか余計に拗れるって感じなんだろうなっていうのがすごく分かってしまった。


沙奈子の学校の対処の仕方を見てて。


そうなる努力をせずに『どうせイジメなんてなくなるわけがない』と悟ったみたいに諦めて、ううん、『諦めて』なんてものじゃないな、ただ『手を抜いて』、それで取り返しのつかないことになってからオロオロして。


子供たちはそういう大人の姿を見てるんだよ?。



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