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……え!? こわっ!?

真央ちゃんに『ミーア』というトラウマを植え付けた、5.6時間目の総合となった。

あの後、真央ちゃんは会社のシャワーを借りて事なきを得た。

心に深い傷を負ったようだが。


その後、無事に帰宅した。



「おぉ! すごい! この靴下滑らないぞ!」


カーペットを敷いていないリビングで靴下を試したが、これはすごい。


「ミーア怖い」


「真央ちゃん!この靴下すごいよ!」


「ミーア怖い」


「もう6時だけどお母さん帰ってくるの遅いね」


「マーマ遅い」


「そういえば夕飯作ってなかったな。

作らなきゃ」


「りょーりしてない」


「そのテンポの喋り方、無理してない?」


「むーりしてない」


これはカウンセリングが必要になるかもしれない。



ーーガチャ


「ただいまー」


この声は真央ちゃんのお母さんの眞亜沙(まあさ)さんの声だ。


「おかえりなさーい」


真央ちゃんは、ミーア怖い状態を解除した。



眞亜沙さんがお弁当を買ってきてくれたので、それをいただくことになった。

リビングにて3人で食事だ。


「お弁当、ありがとうございます」


「いーのよ。

今日は、初日だったけど、高峰くん、真央はどうだった?」


真央ちゃんは、こちらになにか、アイコンタクトをしてる気がする。

たぶん算数の話をして欲しいんだな!(ゲス)


「基本、なんでもできるみたいですね。

算数はちょっと苦手みたいでしたけど」


真央ちゃんに右足を踏まれている。

これはたぶん、寂しくて人肌が恋しいのだろう。

俺は、そっと、自分の左足を真央ちゃんの踏んでいる足の上に乗せた。



「初日だから適当に時間割を私が作ったのだけど、明日からは高峰くんが時間割決めていいからね」


「はい、わかりました。

算数を増やしておきます」


めちゃくちゃ真央ちゃんがこっちを見つめてくる。

やめろ、照れる


「私、シングルマザーだから、真央がずっと家で1人じゃない?

だから可哀想でね。

高峰くんが家庭教師やってくれて頼もしいわ」


「そう言ってもらえると嬉しいです」


「それとね、出来れば学校では出来ないこととかをやって欲しいの。

外に出て買い物とかでもいいわ。

色々なことを教えてあげて」


「わかりました」




たわいのない会話は1時間程続いた。



「じゃあ、そろそろ帰らせてもらいます」


「じゃあね、高峰くん」


「タカミネ、ばいばーい」


それにしても1日で呼び捨てのタメ口ってすごい奴だな。

でも今日は、1日が1ヶ月くらいに感じた。

楽しかった。




自宅は、浅間家から歩いて20分程度

遠くもないが、歩くとなると少しある。

だけど、歩くのが好きなので歩くことにしている。


住んでる家は、父親の弟、つまり叔父さんが大家をしている八畳一間のボロアパートに住んでいる。

家賃は格安にしてもらっている。

一人暮らしには、ちょうどいいくらいだ。


ボロアパートのボロ階段を上り、ボ廊下を少し歩く、奥から2番目の部屋が俺の部屋

その俺の部屋の前ではブロンド髪のタレ目の少女が体育座りをしている。

……え!? こわっ!?



「あ、広志!」


「って、ヴィオラじゃん!

なんで日本にいるんだよ!?」



この子は、ヴィオラ・エスポジト8歳

俺が留学していたエスポジト家の次女で、イタリアにいるはずである。


「りゅーがく、しに来た」


「は?」


「パパが広志に会いに連れてってくれたの」


ダメだ……

状況が飲み込めない……


「……とりあえず俺の家に入りな」


「うん!」



ヴィオラの話によると、留学とのことで俺の家に置いていかれたらしい。

詳しい状況を知りたいので、エスポジト家の大黒柱であり、ミーアとヴィオラの父親である、ダヴィデ・エスポジトに電話をかけた。



「もしもし、ダヴィデさん?」


「おー!この声は広志!

元気かい?」


「元気ですよ、元気じゃなかったらまずいですよ!

ダヴィデさんは、元気じゃない人の家に娘を置いていったことになるんですから!」


「そうそう、ヴィオラを留学させるからよろしく」


「いやいや、急過ぎますよ!」


「だって、広志が今度ヴィオラを留学させてやるって、ウチにいた頃に言ってたじゃないか」


「言いましたけど、それにしたっていきなり過ぎますよ!」


「だって仕事で日本に来たんだもの」


「仕事って、ダヴィデさん小説家じゃないですか」


「日本の事を書きたいって言ったら出版社がお金出してくれたんだよ!

最高だぜ!」


「じゃあまだ日本にいるんですか!?」


「もうイタリアだ! 残念だったな!」


「ほんとに色々と残念ですよ!」


「まぁ、あれだ、飯食わせときゃなんとかなるだろ」


「自分の娘をたまごっちみたいな扱いしないでくださいよ!」


「ヴィオラに3000持たせてあるから、それを使ってくれ」


「少なっ!?」


「実はユーロだ! 残念だったな!」


「やかましいわっ!」



ということでヴィオラと3000ユーロ(日本円で36万円)がウチに留学することになった。


一応、姉のミーアにも連絡してみた。


「もしもし、ミーア?

ヴィオラが日本に、おいてけぼりなんだけど、ミーアがヴィオラを世話できないかな?」


「オレは車で寝泊りしてるから無理だぜ!」


「なにそれ!? たくましい!?」



ということで今日からミーアとヴィオラがウチに住むことになった。


……えっ!? なんでミーアまで!?



挿絵(By みてみん)

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