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ズボン脱がすなコラ!

やべっ、ちょっと遅れちまった。


ーーガチャ

「おはようございまーす」


もう眞亜沙さんは、出勤したみたいだ。

廊下を進み、階段を上って真央ちゃんの部屋を開ける。



…………やっぱり寝てるのな


「ほれ、起きろー」


掛け布団を放り投げる。



ーーガチャ


ヴィオラが真央ちゃんの部屋に入ってきたようだ。

とりあえず真央ちゃんを揺すって起こそうとするか。


「ねぇ、あなた誰?」


ん? 聞いたことがない声だ。

振り返るとそこには知らない少女が立っていた。


「え? 君こそどちらさま?」


「あなた、見る限り不審者よね?

マオに触って」


なんだこの肝の座った小学生


とりあえず真央ちゃんをひっぱたいて起こす。 パチコーンッ


「痛っ!?

なになに!?」


「真央ちゃん、あそこにいるメンタル強そうな小学生だれ?」


「いやいや、それより真央の扱い酷くない?

出会って2日目でビンタしますか!?」


「なんか、俺が不審者扱いされてるんだよ。

もう慣れたけど」


「無視かい!

まぁいいわ。

後で覚えとけタカミネめ」



真央ちゃんはベッドから起き上がった。


俺と真央ちゃんとの茶番のせいで蚊帳の外だった肝っ玉少女がやっと喋り出した。


「たかみね? ほんとにどなた?」


「あぁ、優葉(ゆうは)

隣の陽花の双子の妹だよ」


「陽花ちゃんの双子の妹……にしては似てないな」


「二卵性らしいわよ

だから普通の姉妹程度にしか似てないの」


「マオ、それで結局その不審者は何者なの?」


「タカミネは真央の家庭教師をしてる不審者だよ」


「なるほど、通報すればいいのね」


「やめれぇ!」



相変わらず朝から元気に騒いでおります……



「あ、そういえば下で金髪の女の子とバンビーノがいて、噛まれてたよ」


「え!? ヴィオラが噛まれた!?」


「いえ、バンビーノが噛まれてました」


【悲報】

ヴィオラが犬を噛む




朝からアドレナリンビンビンなので1.2時間目は体育をすることになった。

陽花ちゃんも呼んで、公園に来た。



真「タカミネ、公園で不審者が鳩と戦ってる」


高「え? 俺が鳩と戦ってるのか?」


真「不審者って呼ばれ過ぎて、自分を不審者と信じて疑わなくなってしまったか……」


高「え!? 俺じゃないのか……」


真「なんでがっかりしてんのよ

それより不審者が鳩を蹴り落とそうとしてんのよ」



そう言われ、辺りを少し見回してみる。

そいつは、確かにいた。

飛び立つ鳩を必死に蹴り落とそうとしている中学生が……


高「Oh...shit...」


その少女はこちらに気づき、俺が今、最も言われたくないことを叫んだ。


「あれー!? 兄貴じゃん!」


高「F〇ck you!!」


「兄貴なにしてんのー? 子供たくさん連れて」


高「I don't know you!!

Do not call out to me!!

I am very fat!!」


真「なんで最後にデブ宣言してんのよ」


「んー? 私は英語わかんない」



少し取り乱してしまったが、もう関係者だとバレバレなので仕方なくコイツの説明をすることになった。


高「えーっとな、このバカは俺の従妹(いとこ)なんだよ

俺の住んでるアパートの管理を叔父さんがやってるんだけど、そこの娘で俺と同じアパートに住んでる」


「私の名前は高峰(たかみね) 梨香(りか)って言うんだ

中1だよ

あと兄貴と同じアパートに住んでる」


それは俺が言った、とは決してツッコまない。



高「てか、なんで平日のこんな時間に公園にいるんだよ」


梨「鳩を見てたら戦いたくなって戦ってたらこんな時間だった

もう学校サボっちゃお」


高「天才的なバカだな」



そんなこんなでバカも体育に参加することになった。


俺とヴィオラと真央ちゃんと陽花ちゃんと優葉ちゃんとバカ、大人数で遊ぶことになった。



大人数でやるなら、やはり鬼ごっこという話になり、半ば無理矢理に俺は鬼にされた。


思いのほか子供は隠れるのが上手く、追いかけることさえ出来ない状態だ。


高「みつからん……」




梨「ハッ!? 私はなんて愚かだったのだろう!?」


ヴィ「いきなりどーしたバカ?」


梨「逃げてばかりじゃ、ダメなんだ……!

立ち向かうことが大事なんだっ!!」


そう叫び梨香は、草むらを飛び出してきた。



高「なにしてんだお前」


梨「私は鬼に立ち向かうんだ!

逃げていたってなにも解決しない!

鬼を倒せばみんな逃げずにすむんだ!」


高「いやいや、みんな逃げたくて鬼ごっこしてるんでしょ」


陽「そうだね、戦わなくちゃ」


陽花ちゃんが恐る恐る公衆トイレの裏から出てきた。


高「はい?」


優「私もみんなが立ち向かうなら」


木の上から颯爽と優葉ちゃんが飛び降りた。


高「え? みんなこれ鬼ごっこだよ?」



真「待ってよみんな!

鬼だってもしかしたら悪い奴じゃないかもしれないよ!」


公園の向かいのコンビニの前で肉まんを食べながら真央ちゃんは叫んでいる。


高「そんなことよりお前、明らかにそこ場外だろ」


ヴィ「肉まんよこせー」


高「肉まんに釣られて出てきてる奴もいるし!」



梨「よし! みんな! やっちまえ!」


バカに見事なタックルを食らわされ、押し倒された。

その上に子供たちが飛び乗ってくる。


高「ちょおま、なんだこれ

おいやめろ! 梨香! ズボン脱がすなコラ!」



鬼ごっこなのに何故か鬼がリンチされました。


のちに肉まんを独り占めしていた少女も被害にあったらしい。


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