神様はどうあってもオレを転生させたいらしい
ついかっとなって書いた
俺は今襲われている。
誰に襲われているって?トラックさ。
俺は何十台ものトラックに追い掛け回されているのだ。
運転席には誰もおらず、会社名もバラバラ、だが執拗にオレを狙って追いかけてくる。
細い路地に逃げれは出口を大型トラックで封鎖され軽トラが突っ込んでくる、
建物に入れば玄関に突っ込んでくる。
大きい道路は論外だ、反対車線にいたるまでトラックで埋め尽くされた。
トラック達は自分がどうなろうと構わず襲い掛かってくる、俺が避ければ河に落ちUターンすれば無理に曲がろうとしてそのまま横転して後続のトラックが玉突き事故をおこす。
さしずめトラックのレミングスだ。
そういえば某司令官の日本名はトラックの集団と言う意味の映画タイトルからとられているらしいな。
どうでも良いか。
兎に角逃げた、やつらは害虫のように沸いて出てくる。
既に数十台のトラックが転倒し玉突き事故を起こし、そして河に落ちた。
近所の河はトラックで埋まっている。
だがそれでもトラックは沸いてくる、まるで日本中のトラックが集まっているかのようだ。
俺は道路から外れて人の通らない隙間や塀の上に逃げる。
だが恐ろしいことにトラック達は転倒した仲間の残骸を踏み台にして俺を追ってきた。
トラックの片輪走行だ。もちろんそんな曲芸でまともに走れる訳が無い。
すぐにバランスを崩して塀から落ちる、だが落ちたトラックが大地となり俺を追うための道を作り出す。
とうとう俺は大型スーパーの駐車場の中央に追い詰められた。
周囲は大量のトラック達で覆い尽くされている。
「やっと追い詰めました」
凛とした風のような声が聞こえた。
俺は声の主を探すが何処にもいない。
「上です」
声にしたがって上を向いた俺は息を飲んだ、そこには
パンツが居た。
そのパンツは純白で薄地だがレースとフリルが下品にならないようにあしらわれイヤらしさよりも可憐さを際立てていた。
さらにガーターベルトだ、精緻かつ絢爛な刺繍を施されたレースはその白い色と肌の色に融合し一つの芸術品と化していた。
風によってスカートがなびき、その一瞬にかいま見える空の青がパンツの白を際立たせる。
パンツとガーターベルトの絶妙なコラボレーション、トラック達はオレにこの光景を見せる為にここに連れてきたのか。
俺はトラック達に心から感謝した。
物言わぬトラック達はライトを数回瞬かせる、その輝きは「良いってことよ」とはにかみながら答えているかのようだった。
「あなたはこれからトラックに撥ねられて異世界に転生するのです!!」
・・・・・・え?
「そして異世界を救う勇者となるのです」
「イヤだ」
「ふふふ、そうでしょう。男子たるもの未知の世界での冒険に心が踊らぬわけがありませ・・・・・・え?」
「イヤだ、死にたくない、まっぴらゴメンだ」
「な、何を言っているんですかあなたは!!世界を救う為に異世界に呼ばれるのですよ!!
勇者として困っている人を救うのは当然ではないですか!」
「勇者じゃないし赤の他人のために命を賭ける義理は無い、だいたい俺は只の高校生だ。
世界を救う力なんて無い、あとトラックに撥ねられて異世界に行きたくない」
「安心なさい、異世界に転生した勇者は従来の人間を遥かに超える強靭な肉体と奇跡の力
『勇者チート』を授かるのです、あとトラックに撥ねられるのは異世界に行く為の必須儀式です、
トラックに撥ねられることで肉体と魂が分離し転生先の肉体とリンクしやすくなるのです」
「そんな特典が付くなら俺じゃなくても良いだろ!!あとなんでトラックなんだよ!!魔法陣とか謎の光とか無いのかよ!!あとそれ只の交通事故だ!!」
「貴方でなければ駄目なのです、異世界では恐るべき魔王が復活しその後ろには魔界の支配者である大魔王が糸を引いていて更にその後ろでは神に封印された邪悪な魔神王が大魔王神の斥候として控えているのです、並みの勇者では返り討ちにあってしまいます。
ゆえにあらゆる世界に中で最高の勇者になれる素質を持った貴方が勇者になる為に選ばれたのです。
あと魔法陣や謎の光は只の演出です、実際には魔法陣に乗った瞬間足元からトラックが召喚されて撥ねられます、謎の光に目が眩んだ直後にトラックに撥ねられます。
トラックで無いと駄目なんです」
「何で駄目なんだよ!!」
「神様がそういう風にしたからです」
地獄におちろゴッド。
「だいたいお前は何者なんだよ!!」
「分かりませんか!?」
そういってパンツは姿勢を前かがみにしてオレを見る。
パンツはおっぱいだった。
腰に手を宛てて無防備に晒されたおっぱいは体の動きに合わせてバルンバルンと揺れる。
リンゴ?いや。メロンだ。
おっぱいは胸部にやわらかメロンを二つ搭載していた。
何故かメロンは服の中に格納されている。
それは駄目だろう、隠していては意味が無い、見せよう。
服の上からでも分かるあの動き、ゴムボールの様に撥ねる動きの中にプリンのような柔らかさの揺れがある。
何故上空にいるんだ、地上に下りてくるべきだろう。
いや降りてきたらパンツが見えなくなる、それはもったいない。
降りてくればパンツが見えず降りてこなければメロンに触れない、なんて恐ろしい二者択一なんだ。
俺は額を流れる汗にも気付かずパンツを凝視していた。
「人間である貴方には理解が及ばないようですね、私は天使、大いなる神の御使いです」
おっぱいパンツ天使だと?
たしかにヤツの背中には白い羽が生えているが別にどうでも良い。
俺は落ち着いてズボンから携帯電話を取り出しパンツとオッパイを撮影した。
「ふふ、神々しい御使いである私を撮影したくなるのは当然ですね。
仕方ありません、好きなだけ撮るが良いでしょう」
許可が出たので動画モードで撮影をする
「・・・・・・もう良いですか?」
「ああ、ありがとう」
素晴らしい物を頂いた。
「ではトラックに撥ねられて死に・・・転生しなさい」
「イヤだ」
「ふふ、そんなことを言ってどうやってこのトラックの群れから逃げるというのです?」
「それは・・・・・・だ!」
「え?」
「だから・・・・・・だ!」
「ちょっと聞こえませんよ、もっと大きな声で話しなさいな」
「そんな所で話してるからだろ、風で音が聞こえづらくなってるんだよ」
「しょうがないですね」
いまだ!
「おりゃぁぁぁぁぁ!!」
降りてきた天使に飛び掛ってその体に抱きつく。
逃げ出さないようにしっかり脇に抱き抱えて右手はオッパイを背中側から掴む。
「ななななっ!!」
「これならトラックに撥ねさせることは出来ないだろ!!」
オレを襲えば自分も一緒になって撥ねられるのだから。
全力でトラックの隙間をすり抜ける際の体の揺れに合わせて自然にオッパイを揉みしだく、右手はオッパイに添えて揉みしだくだけ。だけ。だけ。
トラックの群れをすり抜けたオレから逃れようと天使が暴れる。
「離しなさい!神から授かった清き体に人間が触れることは許されませんよ!!」
「だったらトラックに襲わせるな!!」
「トラックに撥ねられるのが正式な転生の手順なんです!!」
「まっぴらゴメンだ」
天使は羽根を羽ばたかせてオレの腕を逃れようとするが俺は天使のフトモモを抱きしめて服を掴む。
「いい加減にしないと天罰を下しますよ!!」
言った瞬間全身を電気が走る、あまりの事にフトモモから手を放してしまった。
「さぁ!転生の時間です!!」
そうはいかない、トラックに囲まれた時から地形は確認済みだ。
地元の人間の土地勘を舐めるなよ!
俺はよろめきながら用水路脇の通路に飛び降りる。
そのまま用水路の脇にそって走り途中にある人が入れるサイズの下水管に潜り込む。
子供の頃の秘密基地だ、この中ならトラックは入ってこれない。
「きー!!地上に出てきたときが貴方の最後ですよ!」
天使の遠吠えが聞こえる、だがどうでも良いことだ。
俺は安全な場所にたどり着いたことを確認してから腰を下ろす、
そして手に持っていた物をじっと見た。
天使のフトモモに抱きついた時につかんだパンツだ。
電気ショックでフトモモからは手を放してしまったがパンツだけは手放さなかった。
間違いなく俺の勝利の証だ。
俺はつかの間の勝利に酔った。
次に会うときは俺を警戒して天使は空から降りてこないだろう。
きっと彼女はパンツを取られたことに気付かずドヤ顔で空から俺を見下す。
ノーパンの天使に会う時を楽しみに思いながら俺は束の間の眠りに付いた。