幸運を呼ぶ黒猫〜其の二
「ちょっとまった〜〜〜!」
全速力で駆けつける、だが、彼女は振り返りもしない
「だから待てって・・・ん?」
様子がおかしい
とりあえず、進行方向が真逆なので相手の前方にまわる。すると・・・
「くぅ・・・」
「は?」
少し茶色がかったショートボブの小さな少女は、ぐっすりと眠りながら歩行している
「おい、起きろー」
「くぅ」
「起きろって」
「くぅ」
「・・・は!」
うつろな目は少しずつ潤いを取り戻し、彼女は感覚を取り戻す
「えーと、なんで私はこんなところにいるんだっけ」
「それは、今日が入学式である事と関係するんじゃないか?」
「うーん・・・そうだ思い出した!今日が入学式だから、学校に向かっているんだよ〜」
「そうか、ソレハタイヘンダナー」
「なんで、そんなに他人事なのー!君も私といっしょに遅刻だよ」
そんな事は分かっている。しかし、俺は
「なんでだろうな、全く損した気分にならないっつーか」
「むしろ得した気分なんだよな」
「え〜、なんで?」
この子は何か天然な気がした
「そうだ、名前、君の名前は」
「私の名前は『花咲 未来』みーちゃんって呼んでね」
いや、高校生にもなって「みーちゃん」とは呼べないわ
「俺の名前は『霧崎 優』これから三年間、よろしくな」
「うん、よろしく〜」
こうして、俺の青春は幕を開けた