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聖女の薬草処方箋  作者: 地野千塩


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エピローグ

 レナータ・バルべはため息をつく。マンナ村の農民だったが、今年の春は野菜が豊作。春の終わりまで収穫や出荷作業を行い、足や手は豆だらけだった。


「はあ、疲れたわ。もう老化かしら」


 そんなレナータは四十過ぎだ。そろそろ老後を意識する年頃で、身体の疲れもなかなか取れない。それに夫との喧嘩も多く、ストレスや不安も多かった。肌もくすみ、シワや白髪も増えたような……。


「レナータ! 大丈夫かい? これ、おすすめのハーブなんだが、飲んでみるか?」


 そんな折、畑で作業中、シスターのレーネがやってきた。レーネはこの村の修道院で働いているが、極度の薬草ヲタク。いつもハーブの良い匂いがする変わったシスター。しかし、根は優しく、レナータもよく相談していた。先日も何良いハーブがないかレーネに相談していたが、すっかり忘れていた。


「このハーブティー、何?」

「ミントとレモンバーナをブレンドした。これは不安や焦燥感などに効く」

「本当?」


 しかしレーネから貰ったハーブティーのパックからは、とても良い香り。ミントの爽やかさとほんのりとしたレモンバーナの匂いが優しげだ。以前、レーネに貰ったカレンデュラ軟膏などは強い匂いだったが、これはそうでもない。


「ありがとう、レーネ」

「ああ、私はこれから安息日かね。しばらく休むよ。神様だって復活するのに三日かかった。人間もそれぐらい休まんと。まあ神の三日目の復活は、預言通りに行われた神学を基本的に支持するがね」


 レーネは早口で語ると去っていった。手を振離、ほのかにハーブの香りだけ残して。


「そっか。安息日か。私もハーブティー飲んでゆっくりしましょうかね」


 レナータは身体を伸ばし、少々休み事を決めた。さすがに三日も休みはしないが。


 気づくと風は湿気を含み、生暖かくなっていた。もうすぐ春が終わり、雨の季節が始まるだろう。


 春はもう終わりだ。


 少し寂しいが、レーネから貰ったハーブティーもある。春の終わりだけは、ゆっくりと過ごしても良いかもしれない。

ご覧いただきありがとうございました。次は番外編です。聖女×ハーブのお話でした。


次は過去作のリライトになってしまうのですが「ネコと和解せよ」というコージーミステリの予定です。よろしくお願いします。


参考

・世界のハーブ手帖

・わたしのハーブ大全

・贅沢時間 ハーブティー大事典

・中世修道院の食卓 聖女ヒルデガルトに学ぶ、現代に活きる薬草学とレシピ

・ドイツ修道院のハーブ料理 中世の聖女、ヒルデガルトの薬草学をひもとく

・歴史や物語から楽しむあたらしい植物療法の教科書


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