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口から火を吐いてみよう




「それじゃあ、火を吐く訓練に移るわよ」


「はい! おねがいします!」


 ギャネットが持ってきた果物の山は、全て私の腹の中に収まった。


 一心不乱に口の中に放り込んで食べていたので、どの果物がどんな味かはわからないままだけど。


 ……これから先も食事はあるだろうし、味わうのはそれからでも遅くはないかな?


「では、エッジ。体の中を巡っている魔力は感じるわね?」


「はい」


「その巡っている魔力を、少しずつ喉の辺りに留めるようにしてみて」


「喉……」


「あたしだとこの辺りがやり易いわね。あなたの場合だと、この辺りがいいかしら?」


 そう言ってギャネットが触れたのは、私の頭と首の付け根付近だ。


 触れられた場所に魔力を留めようと集中していると、舌の付け根辺りが熱を持ちはじめた。


「ギャネットさん! なんか、この辺が熱くなってきました!」


「順調よ。そのまま、熱の上昇が止まるまで続けて」


 言われた通り、体内を巡る魔力を少しずつ喉元に留め続けると、それに比例するように感じる熱もどんどん上がっていく。


 しかしある瞬間、いくら魔力を留めようとしても受けつけない感覚が返ってきた。


「ギャネットさん、魔力を留めるのはもう無理! みたいな感覚が返ってきたんですが」


「それが、火を吐くのに十分な魔力が貯まった感覚よ。覚えておきなさい」


「はい」


「で、貯まったら、喉元にある熱を一気に外に吐き出すの! コァァァァァ!」


 ギャネットの口から吐き出された火は真っ赤な光の玉に見えた。少し離れた地面に向けて光の尾を引きながら高速で飛んでいく。


 地面に着弾した後は破裂して燃え広がるかと思いきや、球体を保ったまま半分くらい地面にめり込んだ。


 あんなことも出来るのか。


「さ、あれを目標に火を吐いてみなさい」


 どうやら、私のために的を用意してくれたらしい。


「スゥー……ハァー………スゥー……ハァー」


 ギャネットの動作を思い出しながら集中する。


 喉元の熱を全て吐き出すイメージ……。喉元の熱を全て吐き出すイメージ……。


「スゥー…………ガァァァァァ!」


 口を目一杯に開いて吐き出した火は、ギャネットの出した火の玉より小さいが綺麗な球体のまま飛んでいった!


 しかし、飛距離は思ったほど伸びず、目標の手前に着弾した。


「あら、初めてにしては上手いわね」


「ありがとうございます」


 あんな火の玉を吐き出したのに、口の中には白湯を飲んだ後の様なぬるい熱しか残っていない。


 ドラゴンの体って強いんだなぁ。


「これで、火を吐く感覚は掴めたわね」


「はい!」


「あ。伝えてなかったけど、火を吐くのは目覚めた後は5回までにしなさい。今日はあと4回ね」


「え!? 何故です?」


 この後、色々と試そうかと思っていたんだけど。


「体の中を巡っている魔力、まだ感じるでしょう?」


「……はい」


 言われて意識を体内に向けると、魔力が体中を循環しているのを感じた。


「それはね、あなたの体を成長させるのにも必要な魔力なの」


「あ、そうなんですか」


「だから、使い過ぎると体の成長が中途半端になってしまうわ」


「訓練での魔力の消費と体の成長を天秤にかけたのが、5回の回数制限だと」


「そういうことね!」


 ギャネットは明るく締めくくった。


 つまり、目が覚めた後はひたすら食べて、火を吐く練習をし、体が成長するのを待つの繰り返しか……。


「それじゃ、食事を届けついでに訓練の成果を見てもあげるから、しっかり練習しなさいよ!」


「はい! ありがとうございます!」


 飛び立っていくギャネットを見送った後、私は残り4回の練習を始めた。



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