魔法教師になりました。
2023年 日本
「速報です。今入ってきた情報によりますと、我々人間が飲むだけでまるで2次元世界のような【魔法】が使えるようになる薬を完成させたと中央化学研究所が発表しました。」
ある日のニュースでアナウンサーがそんなことを言っていた。どうやらその薬は小学生になる歳になると家に送られてくるらしい。オマケにその人その人に合わせて調合しているから飲んでも拒否反応や副反応が出ないという。
こんな夢みたいな発表を聞いた時、日本中、いや全世界中が驚いただろいただろう。しかしとある2人は全く驚かなかった。なぜなら
彼らは、_________。
「ねぇ、この薬って」
少女の一言を聞き少年もテレビに視線をむけた。
「!?、なんでこの薬が」
2人はニュースを見てから家を飛び出した。家から走ればものの10分で着く距離にある中央化学研究所は例の薬を作り出したと発表したところだ。こんなすごいことを発表した後だ入口には警備員が何人かたっていた。
「中に入れてもらっていいですか?僕達急いでいるんです。」
少年の言葉にとても真面目そうな警備員が答える。
「部外者は立ち入りを禁止されています。申し訳ありません。」
「でも、私たちは中にいる人にどうしても会わなきゃ行けないの!」
少女が訳を説明しても警備員は首を横に振るだけ、仕方がない。
「しょうがない、では強行突破と行こう」
少年が指をパチンと1回鳴らした。その瞬間、先程まで吹いていた風や後ろを走り去っていた車の動きがピッタリと止まった。
「行こう」
2人はさっきの真面目そうな警備員の横を通り研究室まで向かった。
ガチャ
「鍵は閉めたよ」
研究室にたどり着いた2人はドアの鍵を閉めた。
パチンと少年が先程と同じように指を鳴らした。すると研究室の研究員達が動き出した。
「こんにちは、例の薬を作った人は誰?」
「あ、あなた達は誰ですか?」
突然現れた2人に研究員達が尋ねる。時が止まっていた研究員達からすれば2人は瞬間移動でもしたかのように見える。
「いいから!早く教えなさい!」
「ちょっと!少し抑えて抑えて!」
興奮状態で冷静ではない少女を少年が落ち着かせる。少女に脅されて1人の研究員が口を開いた。
「私達も誰が作ったのか分からないのです。」
「は?どうゆうこと?」
少し冷静になった少女が聞いた。
「一緒に研究をしたことじたいはしっかり覚えているのですが、その研究員の顔、名前が思い出せないのです。」
「それって...」
研究員の不思議な証言を聞きとある確信がついた少年。その時後ろかガチャと音が鳴った。
「やぁやぁ随分派手にやってくれたね。魔界の人間さん。」
「誰だ!」
鍵がしまっていたはずのドアから1人の男が入ってきた。
「私かい?私はこの研究所の所長だよ。君たちあの薬の開発者が知りたいのかい?」
その男は2人が人間では無いことを知っていた。そのため2人はおそらく魔界の関係者だろうと推測した。
「はい」
2人が同時に答える。
「知ってどうするんだい?」
「あの薬は私達の生まれた世界【魔界】で力を持たずして生まれてきてしまった子供に力を宿すために使われるものです。」
「それがなぜこの世界にあるのか、そして誰が持ってきたのか突き止めたいんです。」
2人は至って真剣だった微塵もふざけずに本当のことを所長に話した。
「なのであなたが知っている開発者のことを終えてください。」
「人にものを頼む時はまずは自己紹介だ。」
先程はそれどころではなく名乗るのを忘れていたことにきずいた。2人は大人しく言うことを聞いた。
「僕はシレウ・コウです。」
「私はオルロ・アン」
2人が自己紹介をしたあとに所長は頬を緩めながらある提案をしてきた。
「取引をしないか?」
「取引?」
「私が理事長をやっている学校で魔法教師となって担当するクラスの生徒、全員をSランクにまでランクをあげることが出来たら、開発者を教えよう。どうだ?」
少年は考えた。現状自分たちは開発者のことが知りたい。しかし魔族が人間の教師?生徒を全員Sランクに上げろ?正直とても難しい条件だった。ランクを上げることに関しては現段階で人間のランク平均はDランクだ。仮に教師になったとして生徒にやる気がなかったら?考えるだけで頭が痛くなりそうだった。でも
「やってみようよ!」
少女はとても乗り気だった。
「ねぇアン、条件ちゃんと聞いてた?」
「聞いてたよ。コウは人間をなめすぎ!結構長い間、人間と関わってきてちょっとはコミュニケーション取れるし、それに私たちならなんとかなる!絶対」
少年は少女の何も考えずに行動に移す性格が羨ましくなった。
「うーん...わかった。その取引、受けます!」
「そう言ってくれて私も嬉しいよ。明日、中央第1高校の校門に8:30までに来てくれるかな?」
「わかりました。」
──魔族の魔法教師生活が始まった──