君と桜を~麗音愛&椿~
桜を2人で見に来た。
とは言っても観光名所じゃない
近所の桜並木だ。
「綺麗……」
ふわりと春の桜に
椿の髪が揺れる。
自分が見つめているのに気づくと
椿も、ほんのりと
桜色に頬を染めて幸せそうに微笑んでくれる。
舞い散る桜のなか、踊るようにして回って
喜ぶ椿は本当に可愛くて、綺麗だ。
「麗音愛ーっ」
そして自分の名を呼んで、駆け寄ってくる。
心が暖かくなる。
「椿……」
つい抱きしめてしまう。
「可愛い、大好きだよ」
「れ、麗音愛……」
「ずっと傍にいる
ずっと一緒だよ」
「……嬉しい……」
すりすり……と胸元に
猫のように寄り添ってくれる椿が愛おしい。
「ねぇ
桜の花びらってとっても可愛い、ハートみたいにも見えるよ」
少し腕から離れて、じっと見つめられた。
「麗音愛の頭に、ハート!」
「どこ?」
「そっち、違う
えーっと……とってあげる」
椿に髪が触れられるよう、少しかがむ。
「ほら、可愛い花びら」
かがんだので目の前に椿の顔があって
つい
ちゅっ……とキスをしてしまった。
あわわっと椿が慌てたように真っ赤になる。
自分も恥ずかしくなって誤魔化すために、また抱きしめた。
愛しくてたまらない。
「桜、また来年も麗音愛と一緒に見れるかな」
胸がギュッと締め付けられる。
闇に包まれた未来。
それでも……。
「当たり前だよ……」
「……うん……」
今は2人を護るかのように、桜の花は舞って降り注ぐ――。
お読み頂きありがとうございました!
呪術伝奇バトル×濃厚恋愛小説の番外編でした(#^.^#)