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異世界!無双されし廃パーティー めるふぃす  作者: 水無 藍
1章 アリアと未踏のダンジョン
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7話 スキル

 いつも通りメルクは朝食を終え母親の見送りをする。今日も森へ出向き狩、魔物狩りをしているパーティーを探す予定だ。また、道中に剣代わりに使えそうな木があれば拾って帰ろうとも決めている。準備を整え早々に出発する。



 昨日と同じ道を進み森へ入って魔物狩りをしているパーティーを探す。

 すると森の奥から僅かに音が聞こえてくる。


(今日はすんなり見つかりそうだな)


 メルクは声のする方へ駆け足で近づいていく。

 音のする位置から40メートル程離れた茂みに隠れ、遠目で状況を確認する。


(冒険者2人とゴブリンが6体か)


 見た目から剣士と僧侶っぽい二人だけで戦っている。どうも低レベルのため苦戦しているようだ。


(あの剣士ボロボロだが大丈夫か?)


 僧侶は何も出来ずに狼狽えており、剣士の攻撃は遅すぎてゴブリンにすら避けられている。

 メルクは敵の背後の茂みへ静かに移動する。


(これはまずい状況みたいだな、ちょっと手伝ってみるか)


 足元に落ちている石を拾い、剣士が攻撃しようとするゴブリン目掛けて石を投げた。もしゴブリンに見つかったとしても、メルクは逃げ切れると判断した。


(おりゃ!)


 石はゴブリンの後頭部に当たり、ゴブリンは一瞬こちらを振り返った。

 その瞬間を見逃さず、剣士はゴブリンの首を跳ねることができた。


「よしっ!次いくぞ!」


 メルクは剣士のタイミングを見計らって次々と石をゴブリン目掛けて投げる。

 ゴブリンの知能は低いのか、石をぶつけられたゴブリンは必ず後ろを振り返る。


「ハァハァ…やったぞ…」


 剣士は全てのゴブリンを倒すことができた。

 お膳立てしたメルクには一切気づかない剣士は、どうやらレベルが上がったらしい。剣士が喜びの声を上げるなか、戦闘でできた傷が完治したようだ。


(お?レベルが上がると体力も全回復するのか?)


 ほとんどのゲームではレベルが上がるとステータス値はMAX状態に回復する。この世界も同じのようだ。

 時間差でステータス画面にログが流れる。メルクもレベルが上がったようだ。


【 ゴブリンを6体倒しました。 経験値24EXPを獲得しました。 】

【 メルクはレベル3に上がりました。 】

【 ステータスが 体力+2、魔力+4、力+2、耐久+2、敏捷+1、知力+2 上昇しました。 】

【スキル ウィンドスラッシュ を取得しました。】



(うぉぉぉぉ!攻撃スキルきたぁぁぁ!)


 メルクはレベル3で早くもスキルを取得した。スキル名からすぐに攻撃スキルと判断出来たが、剣を所持していないため検証が出来ない。


(とりあえず落ちている枝で試してみるか)


 ゴブリンから魔石を取り出している二人組のパーティーに目もくれず、メルクは早々とその場を後にした。少し離れた場所を歩きつつステータス画面を見つめる。



【名前】  メルク・アクレイド 8歳

【レベル】 3

【職業】  魔剣士

【ランク】 F   


【体力】  10

【魔力】  4

【力】   6

【耐久】  6

【敏捷】  5

【知力】  9


【パーティー】 めるふぃす

【経験値】 42/66EXP


【スキル】

 ・ウィンドスラッシュ


(魔力が増えたってことは魔力を使うスキルだろうな…)


  ゲーム内でも魔剣士は技によって魔力を消費することを思い出していた。

 足元をキョロキョロしながら歩いていると、丁度良い大きさの枝を見つけ手に取る。

 

(スキルは自然に使えるようだから…)


 メルクはウィンドスラッシュのスキルを意識して枝に力を込めてみる。

 すると枝が僅かに輝き始める。


(おお、魔力が枝に伝わっていくような感覚があるぞ)


 そのまま前方にある木に向けて枝を振り抜きスキル名を放つ。


「ウィンドスラッシュ!!」


 すると枝から魔力が解放されたかのように、無数の鎌鼬がビューと轟音で放たれ木を切り刻む。木の表面には無数の切り傷が残る。


(おお、スキルが発動したぞ、魔力2も使うのか)


 メルクはスキル発動に感動しつつステータス画面を確認する。どうも魔力が『2』減っていいるようだ。


(これはレベルが上がると威力が増すのかな、それにしてもレベルを上げて魔力を増やさないと)


 現状ではスキルを2回しか使うことが出来ない。


 メルクはこの威力だとゴブリンみたいなF級の魔物だと倒せると想定した。けれでもスキル発動階数があるので魔物は1体でなければ都合が悪い。

 メルクはこのまま1体でいるゴブリンを探すために歩き出す。


(ソロで討伐すれば1日2体でも経験値は十分だな)


 まだ6歳のため、このペースで今は十分だとメルクは考える。ゲームとは違う世界だとしっかりと理解しているつもりだ。ゲームだと森から何日も籠って狩りを続けていただろう。


 森を彷徨っているとあの臭いが漂ってきた。メルクは茂みに隠れて辺りを見回す。


(お、ゴブリンがいたぞ、しかも1体だ!)


 ゴブリンは群れて行動すると思っていたため、1体でいるゴブリンの発見に苦労するだろうと思っていたが、それはすぐに発見することが出来た。


(よし、背後からスキルを一発かましてやるか)


 メルクは枝を持ってゴブリンの背後へと回る。

 スキルを意識し枝に魔力を込める。枝が僅かに光る。


「ウィンドスラッシュ!!」


 メルクは声を上げスキルを発動する。

 ゴブリンが後を振り返った矢先、鎌鼬がゴブリンを襲う。


「グギギギッ!!!」


 擬音を発したゴブリンはそのまま地に伏せる。

 体中切り刻まれた痕が残る。

 

(お、やったか?)


 メルクはステータス画面を開き確認するとログが流れる。


【 ゴブリン を1体倒しました。 経験値12EXPを獲得しました。 】


 経験値もメルクが想定した数値が入る。

 ゴブリンから魔石を取り出したいがナイフすら持っていないため、泣く泣く後にするメルクである。


(なにかしら武器がほしいな)


 今日は魔力が尽きたため、町へ帰ることにした。魔力は寝れば回復するだろうと思いつつ、武器をどうしようかと悩みながら森を後にするのであった。








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