(=゜ω゜)ノ先生!眼鏡は装備に入りますか!
異世界物を書いてみました。
読んでくださると嬉しいです。
異世界召喚。
最近のラノベや漫画で当たり前になってきたジャンルの一つ。
普通ならフィクションであり,空想話として片づけられるが,まさか本当にそれにあうとは夢にも思わなかった。
俺は,渕辺鏡。進学校と聞こえはいいが,全国から見れば普通の高校に通う二年生。黒髪黒目で中肉中背,十人聞けば十人がモブ顔だと言うであろう普通の顔,オタク的な趣味を少し嗜む,何処にでもいる普通の男子高校生だ。
それが今,何故かお城にいる。いや,正確にいうと俺が所属していたクラスの生徒四十人+先生一人の計四十一人(俺を含めて)いる。
こんなところにいる経緯を三行でまとめよう。
先生が朝のHRを始めた。
突然,床が光る。目がやられる。
ム〇カ状態から復帰すると,騎士や魔法使い,お姫様(だと思われる人)たちに囲まれてた。
何言ってるかわからないと思うが,実際俺にもわからない。本当にこういう場面にあったら,普通人は茫然するだけだよね。周りの奴等も周りをきょろきょろするだけで誰も口を開かない。
それはそうだろう。良く小説にいる正義キャラいるけど,そんな奴,普通の高校にいる訳がない。唯一,リーダーシップ取れるのは,学級委員長か先生ぐらいだろう。
俺もどうするべきか悩んでいると,お姫様が俺たちに近づく。
俺が何故お姫様と呼んでいるかというと,金髪のウェーブのかかった長い髪,クリっとした大きなエメラルドの瞳,透き通るような白い肌,お金が掛かってそうな豪華な服といった,どこからどう見ても上流階級な方としか思えない。そして,何より美少女,これに尽きる!
「皆様には突然のことで混乱しているとは思いますが,お話を聞いてください。私は,アルツメイヤ王国第二王女,スーシヤ・ツイバ・アルツメイヤと申します。どうか…どうか!この国を救ってください!異界の英雄様!」
お姫様(本当だった!)が俺たちに頭を下げてくる。
現在の状況に幾人かはついてきてないようだが,昨今のオタク情勢から今がどういう状況なのか気づいている者もいる。ガッツポーズする者や笑っている者,ステータスと呟く者等々。
分かる分かるぞ。特にステータスって呟く奴。俺もさっき言ってみたけど,ステータス画面は出なかった。少し残念な気持ちになったが,気を落とすな。後で声かけてみよう,話が合いそうだ。
お姫様は俺たちからの反応が無いからなのか,少し困った顔をしている。そういう顔も可愛いからずるい。異世界の住人は凄いな。
「すみません。内容はよくわかりませんが,お話はお聞かせください。現状,私たちはあなた方を頼るしかないようなので。よろしくお願いします」
「あっ,はい,よろしくお願いいたします。あの英雄様のお名前は」
「私共は英雄などではないのですが,私はこの二年文系のクラス担任をしております,島津将人と言います。ここが外国という事ならば,マサト・シマヅになりますね」
「マサト・シマヅ様ですね。ありがとうございます。では,シマヅ様と他の英雄様方もこちらについてきてください。このような多くの騎士たちに囲まれた場所より落ち着いた場所の方が良いでしょうから」
とりあえず,先生が対応してくれたおかげで話が進んだようだ。召喚された場所は神聖な雰囲気醸し出していたが,確かに石床の上よりかは椅子に座って話を聞きたい。
召喚された場所から移動する際,城下町が見えた。高層ビルの様な高い建物はなく,大きくても三階建てくらいの建物が見える。窓から見える中で一番大きな建物は遠くにある大きな壁,おそらく城壁だろう。他の奴等も興味深そうにきょろきょろしながらついていく。
最終的に案内されたのは,豪華な食堂。奥の席には,体ががっしりとした初老の男性。その隣にお姫様が座っている。
お姫様の位置から見ても,あれが王様だろう。なんていうか,威圧感があるな。その王様が立ち上がる。
「ようこそ,異界の英雄殿たちよ。まずは椅子に座ってくだされ」
戸惑いながらも全員椅子に座る。
うわ,この椅子ふかふかで座り心地いい!やっぱり高級なものだからかな,などと思っていると,最初にお姫様がやったように王様も頭を下げてくる。周りにいた騎士や魔法使いは下を向いて,王様を見ないようにしていた。
「私の愚かな命令よって英雄殿たちを召喚してしまったことをここに深く謝罪する。どうか恨むなら私だけにしてくれ。そして,できれば手を貸して欲しい」
「ま,待ってください。私たちは何だかはわかりませんが,丁寧に対応してくださったことは感謝しかありません。どうか頭を上げてください。まずはお話をお聞かせください」
王様は頭を上げて,先生と目を合わせて話し出す。
「すまない。では,英雄殿たちを召喚した理由だが,近いうちに魔界の穴が開くからだ。その穴から襲来する悪魔達を倒すために力を貸して欲しい」
「悪魔ですか…。悪魔とは空想上の生物ではないのですか」
「英雄殿たちの世界ではそうかもしれんが,こちらの世界では存在するのだ」
「しかし,手を貸して欲しいと言われても,何をさせるのですか」
「それは様々だな。悪魔の討伐,負傷者の治療,悪魔の穴を塞ぐが主になると思う」
「話を聞いている限り,私たちに戦えと言っているように聞こえます。しかし,私たちは一般人ですよ。中には武道系の部活や稽古に取り組んでいる者もいますが,それは極一部です。そんな私たちがお役に立てるとは思いません」
「確かに異界の英雄たちは,元々は力を持たない一般人だが,この世界に渡る時に女神様より力を授かっているはずだ。それを確認するための魔道具もある」
魔道具!夢が広がる素敵ワードが聞こえた!魔道具があるってことは,魔法もあるよな!
「女神ですか…。まさか,神も存在するのですか」
「存在する。数は少ないが,神自体が下界に降りてきたこともある。とりあえず,どのような力を授かったのか気になるであろうから,調べてみるとしよう。状態確認版を持ってこい」
騎士たちが返事を返すと,しばらくして三十センチ四方の箱を持ってきた。
「この魔道具に触れると,その者も今の状態を知ることができる。例えば…」
そういうと,王様が箱に手を乗せる。すると,箱の上から透明な板が出てくる。
名前:アルバトス・ユニ・アルツメイヤ
種族:人種
性別:男 年齢:42
職業:主:国王
副:剣王,鷲獅子騎手
根源値:89
生命力:321
魔力:32
力:62
耐久:51
知恵:50
精神:30
スキル
【釣りⅡ】【値切りⅠ】
特殊スキル
【王室作法】【常在戦場】
称号
アルツメイヤ国王 剣王 鷲獅子の主 Sランク冒険者『断剣』
王様のステータスが見える。基準がわからないが,〈強い〉という事だけはわかった。
「これが私の魂に刻まれた情報だ。英雄殿たちにも同じように魂の情報がある。とりあえず,シマヅ殿。やってみてはどうかな」
「…そうですね。生徒にやらせるわけにもいきませんし…」
先生も王様と同じように箱に手を乗せると,透明な板が出てくる。
名前:シマヅ マサト (島津 将人)
種族:人種(異世界)
性別:男 年齢:29
職業:主:魔剣士
副:教師
根源値:1
生命力:57
魔力:22
力:21
耐久:18
知恵:32
精神:12
スキル
【剣術Ⅰ】【教養Ⅲ】
特殊スキル
【異世界言語】
固有スキル
【魔剣召喚】【魔剣制御】
称号
異界の英雄
「こ,これが私の魂の情報ですか…。魔剣士?魔剣とは…」
「おお,魔剣士とは凄い!魔剣を唯一扱う事のできる職業,大変珍しい職業だぞ!流石は英雄殿だな!魔剣とは,魔力のこもった剣で普通の剣より強い力を持つ剣だと思ってくれていれば良い。それにしても,根源値が1なのにこの力は凄いな。成長した暁には是非とも戦ってみたい」
「そうですね。これが異界の英雄なのですね」
王様は,先生に対して獲物を見つけたような目をしている。お姫様は純粋に喜んでいる。
「そ,そうなんですか?」
「はい!普通の騎士たちの魂の情報の平均は30と言われています。それでも,根源値が10~15くらいでその数値です。それに引き換え,シマヅ様の力は平均20くらいですが,根源値は1でこの数値は驚異的です」
「そうですか。ありがとうございます。スキルや力などはよくわかりませんが,それ以外は間違っていなさそうなので大丈夫そうですね。その箱を使った後も体に異常はないようですし,アルバトス王を信用しようと思います」
「ありがとう。では,他の英雄殿たちもどうかな。もちろん拒否しても構わんが,ここにある物より精度が良いものは各国の王族が保有している物か教会の総本部にしかないのでな。自身を知るには良いと思うぞ」
先生がやったという事でクラスの番号順にやっていくことになった。前の奴が終わりようやく俺の番になった。これまでやってきた奴の中には『賢者』『剣聖』『聖女』といったビッグネームもあれば,『盾騎士』『調薬士』『司書』といった普通な感じの職業もあった。どんな職業になるかドキドキしながら,箱に手を乗せる。
名前:カガミ フチベ (渕辺 鏡)
種族:人種(異世界)
性別:男 年齢:17
職業:主:万能士
副:高校生
根源値:1
生命力:60
魔力:24
力:11
耐久:12
知恵:23
精神:18
スキル
【教養Ⅱ】【料理Ⅰ】
特殊スキル
【異世界言語】
固有スキル
【武具昇華(使用済み)】【道具導士】【器用貧乏】
称号
異界の英雄 ■◆◇の所有者 原初の主 万物の流転に逆らう者
なんだろう,これは。まず,根源値やら力やら特殊スキルまでは良い。だが,固有スキルと称号,手前は駄目だ。
待て待て待て!何が起こっている。何なの!ねぇ,何なの!王様とお姫様も固まってしまったよ。とりあえず,箱から離れよう。
そして,整理しよう。あの箱の素晴らしいところは,手を乗せたままだとフルオープン状態になるが,手を離すとしばらくなら透明な板が自分にしか見えなくなるという点だ。
という事で,確認だ。まずは,セーフゾーンの【道具導士】と【器用貧乏】からだ。
【道具導士】
ありとあらゆる『道具』と対象としたものを扱うことができる。
(対象が世界で『道具』として認識したものに限る)
【器用貧乏】
適正職業以外の行動の際限をなくす。
スキル上昇率が他の者より遅いが,多くのスキルを獲得できる。
道具導士は使い方によっては強いな。例えば,先程話に出た『魔剣』を世界の人が『道具』だと認識すれば,『魔剣』を扱うことができるということだ。といっても,そんなことはありえないから,このスキルの使い方としては,魔道具を使う感じで良いと思う。
器用貧乏は色々手を出しても良いかもしれない。職業で覚えられるスキルに制限がかかるという事をお姫様が教えてくれた。例えば,剣士は,鍛冶や調薬などの生産系のスキルが
取れない(料理とかは生産ではなく家事に入るらしい)。魔法使いは,剣術や槍術といった武器を扱うスキルが取れない。先生が前者,賢者の職業の奴が後者になる。その点,このスキルを持っているならばその制限が無いという事。名前はあれだが,良いスキルだ。
さて,それでは,意味不明な固有スキル【武具昇華(使用済み)】を見てみよう。というか,なんで使用済み!
【武具昇華(使用済み)】
武器か防具を最高の状態にすること。その武具の過去,現在,未来に関わるありとあらゆる可能性を集約させ,顕現させる。
この効果は最初に装備した武器又は防具に適用される。
(効果を適用することができるのは1回限り)
だから,どういうことだ!?俺は,この世界に来てから一度も武器や防具に触れてないんだが!武器だって,銅の剣やRPG定番の木の棒だって持ってないし,大穴で石床の石か。そんなものはトラップ過ぎるだろ!防具だって,鉄の鎧おろか革鎧すらつけてないんだ。今,つけているのは来た時のままで学校の制服と上履き,それと眼鏡くらいだ。どこに武具があるんだよ…。
だれか鑑定のスキル持っている奴いないかな。そうすれば,分かるのに…。
《【鑑定】が使用されました》
その声にびっくりして,顔を上げると,さっきまで見ていた透明の板とは違う,薄緑の配色がされた別の透明の板が出ていた。
名前:カガミ フチベ (渕辺 鏡)
種族:人種(異世界)
性別:男 年齢:17
職業:主:万能士
副:高校生
根源値:1
生命力:61
魔力:24(+500)
力:11
耐久:12(+200〈頭限定〉)
知恵:23(+300〈補助〉)
精神:18
スキル
【教養Ⅱ】【料理Ⅰ】
特殊スキル
【異世界言語】
固有スキル
【武具昇華(使用済み)】【道具導士】【器用貧乏】
武具スキル
【神眼】【完全鑑定】【身体補助Ⅴ】【音声ガイド】【自動撃退】【変形】【不変】【付加:破壊不可能】【付加:状態固定】【付喪神】
称号
異界の英雄 神眼鏡の所有者 原初の主 万物の流転に逆らう者
装備
頭:眼鏡〈昇華済み〉:防具
胴:制服(上着):服
腕:制服(上着):服
腰:制服(下着):服
足:上履き:服
……あったよ,…防具。
「なんでぇぇぇえええ!なんで,眼鏡!眼鏡が防具になるのぉぉおおお!」
俺は頭を抱えて,天を仰ぐかのように絶叫する。突然,そんなことをしたからか周りの人たちが俺を変な人を見る目で見ていたが,それに気づかないまま悶える。しばらくそうしていると,心が天使なのか(見た目は完全に天使)お姫様が声を掛けてくれた。
「あの,どうしたのですか。どこかお加減でも…」
「お姫様!」
顔を勢い良くお姫様の方に向ける。
「ひゃい!なんでしょう」
「何故,眼鏡が防具なんですか!眼鏡は,普通に考えて,服飾品かアクセ扱いじゃないですか!それがなんで…」
「眼鏡ですか?フチベ様が付けているその眼鏡のことでしょうか?どうしてそんなに驚いているのでしょうか?眼鏡は,防具ですよ」
「はっ…?」
目の前にいるお姫様は何を言ってるいるのだろう。眼鏡が防具。この強い衝撃を受ければ,壊れてしまう目の矯正器具にどんな防御力があるというんだ。頭おかしんじゃないか。
「えっと,異界の英雄様たちの世界の事情は知りませんが,この世界では眼鏡は防具又は武器になります」
その後,お姫様から特別個人レッスンのおかげでこの世界の武具,道具事情を教えてもらった。
まず,この世界には,魔法というものが存在している。そして,先程使ったような魔道具,それに加えて魔法具が世界に溢れているらしい。
魔道具とは,古代から受け継がれるもので現代では復元が難しい魔法の道具のことをさすらしい。そのため,普段は使用が制限されるものもある。また,一個人で持つ者は少なく,ほとんどの魔道具は国が所有,管理している。
魔法具とは,現代の魔法使いたちが生み出したものでその種類は数多にあるらしい。それこそ,お湯を作り出すような身近なものからドラゴンを倒すために使う魔法の大砲などの兵器まである。
さて,これまでが前提。これからが武具に関してだ。基本的に見た目から武器,防具に分類されるが,そこに加わるのが,魔法具である。
武器に分類する魔法具だが,対象に麻痺を付与する等の状態異常を引き起こすもの,誰でも攻撃魔法が使える杖等の魔法攻撃を引き起こすものが《武器》に分類される。
防具に分類する魔法具だが,夜でも昼間のように見えるや一時的に足が速くなる等の対象に身体強化を引き起こすもの,鑑定や目の疲れを抑える等の補助的な効果をひきおこすものが《防具》に分類される。
そして,大前提として,この世界では,人の認識で対象の分類がされるらしい。そのため,多くの人が眼鏡は防具だと思っている。
さて,そこで疑問に思うだろう。何故,眼鏡は服飾品ではないのか。それはこの世界では,元の世界で言う凸レンズや凹レンズが出来ていないらしい。ガラス変成技術の発展よりも魔法で付与した方が楽というものだ。
故にこの世界では,眼鏡=目が良く見えるようになる魔法具,という方式が出来上がる。それは俺の眼鏡も例外ではない。そのため,俺の眼鏡は防具になり,おれの固有スキルも発動したということだ。
納得いかない!!!
こうして,俺は,チート眼鏡と共に異世界を生きていくことになった。
その後,この眼鏡のおかげで命を救われることがあったり,悪魔の幹部も楽勝状態,果てには将来を誓う合う仲にまでなるとは,この時の俺は想像もしていなかった。
読んでくださり,ありがとうございます。
これからも頑張って色々書いていくつもりです。
筆と気が乗ったら,悪魔との戦闘や最後の将来を誓う合う場面を切り取って書くつもりです。
今回思ったこと,異世界物なら書ける様な気がする,です。