2日目 少年のこと、博士との会話
「少年」の事情と、「博士」との話。
僕の名前はユタカ。
分厚いメガネ、『2』に見える手のひらのアザしか特徴がない。歳は15。
別にもてるような格好いい顔でもないし、…ま、はっきり言って童顔、地味男だな。
父と母は物心ついた時からいない。
たった一人の友達、ミユキも同じ環境に育った。
体つきもまるで双子のようにそっくりなのだが、
ただ一つ違うのは・・・手のアザが『3』のように見えることぐらいだ。
メガネはかけてない。髪は腰のちょっと上くらい。
顔は、…結構可愛いかな。僕とは大違いだ。
僕らは何故か一日ぐらい食事を抜いても平気な体をしている。
ま、父さんも母さんもいないしね。お金ないし。
え、他の日のご飯はどうしてるかって?
この国はまさに飽食…もとい放食大国。
そこら辺に食べ物が落ちている。
それだけじゃなく、道路に落ちているお金で一食分が摂れるくらい食べ物が安い。
食べ物だけじゃない。
テレビ、冷蔵庫、家までも、余るほど生産されている。
それもこれもこの人・・・タカムネ博士が開発した魔法人間のせいだ。(って言ってもその事を聞いたのはだいぶ後だけどね。)
せい・・・せいなのだろうか。
いつかはロボットが強くなり、ニンゲンの上に立つのではないか・・・僕はそう思ってならない。
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ま、それはさておき。
昨日は強すぎる威圧感に負け、オリンピックに出れるほどの勢いで走り帰った。帰ってしまった。
そして、今日。
「おじゃましま〜す…」
昨日の今日で、自分の体が言うこと聞かない。寒くないのに、ふるえが止まらない。
今日こそはちゃんと挨拶しなければ…
「よし、今日はカエルとオレンジジュースとふむ…コオロギの死骸を加えてみようかな…」
「わぁぁぁぁぁぁっ!おまえ馬鹿だろ!」
口の悪さがでてしまった。
「ん?誰じゃおまえは。」
2回目かよ!
前回はここで(実験に使われる!)と本能で感じ帰ってしまったが、今回はぐっとこらえ話しかけてみた。
「あの、今ちょっといいですか?」
「ちょっと待ってくれんか、今残っている食べ物で今日の晩飯を作っとるんでな」
「カエルやコオロギを食事に使ってんのかよ!てゆーか、その晩飯絶対美味くねーよ!」
今までの中での長文つっこみ…疲れた。
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やっと静かになった。僕は、無惨な部屋の少し先を行った応接間みたいなところに案内された。
「あの、今日…いや、昨日からお隣に住むことになりました、ユタカです。」
そのとき、さっきまでお茶らけだった博士の目が、真面目になった、ような気がした。
「君のお友達に、ミユキっていう友達がいないかい?」
「いるけど……何で知ってるの?」
「い、いや…昨日、君と同じように挨拶にきて、今日も遊びに来てくれての。寂しがってて、ワシのところに転がり込んでな…」
「えっと、確認しとくけど…変な気起こしてないよな……?」
「そんな訳ないでしょ。…ヤッホー、ユタカ♪」
「ミユキ!」
話を聞けば、ミユキはユタカにしか友達がいないことに悩み、博士に相談しに行ったという。
それで今…ケイトという友達用魔法人間を特別にもらい、一緒に暮らしているという。
「と、言うことでの、君のことを聞き、同じ症状にかかっているのではと思っての。
どうじゃ、ケイトと双子の成長型の『マサト』がいるんじゃが…もちろん15歳に設定しておる。どうじゃ?」
そっからだ…世界が変わり始めたのは。
全体の形が、だんだん見えてきたと思います。こっから、シリアスな場面と、コミカルな場面になってきます。




