1日目 博士との出会い
「少年」が「博士」に出会った日。
「さあどうする。二つに一つだ。」
「……そんなことできるワケねーだろ!」
マサトが走る。『人間暗殺者』に向かってゆく。
「…や、やめろぉぉぉ!」
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今からそう遠くない未来。この世に『魔法人間』が製造された。
制作者はタカムネ博士。超のつく変わり者のジーさんだ。
魔法人間は、人類が激減している現在、人間により忠実に作られたロボットだ。
人間と同じように生活し、人間と同じように家族を作る、ハズだった。
いや、それがタカムネ博士の信念だったのだ。
人類は今、欲望に満ちあふれている。
「友達用」と「新家族用」に作られたはずなのに、万を超える会社が「奴隷用」として使っているのだ。
博士はこのヒトがいない世界、子どものできない夫婦、そして友達のできない子に喜んでもらえればそれで良い……そう思っていた。
だからこそ、国や都から、いや今は全国合併令で国一つだが、寄付金をもらって無料に近い金額で配布をしているのだ。
でも現実は違った。
忠実に働いてくれる「奴隷」でしかないのだ。
少しでも抵抗すれば…
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「おじゃましま〜す……」
・・・誰もいないのかな。
僕はコンクリートの扉を少し開けた。
「あの〜だれか…」
ボンッッッッッ!
「うわぁっ!」
んだよいきなり!てか、不法侵入者=殺! ていう方程式が成り立ってんのか?
「お〜お〜すまんの、新しい研究の失敗じゃ。」
「け、研究?」
今の、僕に対してだよね。
中から声がした。よかった…人がいた。
さっきみたいな爆発(?)がないことを祈りながら、僕は声が聞こえる方へと進んだ。
中は意外と広いが、なかなかの地獄絵図だった。
壁をコンクリートで固めているのにもかかわらず、あちこちがぼろぼろになっている。
部屋の中は、常にやけにどす黒い煙が漂っている。
そして一番の大惨事は…その中心にいるじじいだ。
頭は真っ白けっけ。でも頭のてっぺんに火がついている。
目にはグルグルメガネ。でもその分厚いメガネが割れている。
そしてその人の格好は…寒くないのか、ほぼ裸に近い。
「あの〜すみません…」
僕はおそるおそる声をかけた。
「よし、次の実験はどうしようかのぉ…」
え?無視?そっちから声をかけてながら無視ですか?
その明らかに危険いっぱいの物体は僕のことは目もくれていない…てゆーか、見えてない。
「次は、このカエルにコーラと納豆を混ぜて…」
「おう゛ぇええええええええええええええええ!」
いつもでは考えられない声を聞いて、やっとその物体はこっちに気付いた。
「…?」
しかしじじいは首をひねって1,2秒。
・・・。
「かぜかのお」
「ありえねーだろ!どこにこんな胸くそ悪い風?風邪?いやどっちでも良いけど、とにかく気付いてくださいよ!」
「ん?誰じゃ、お前。」
ここまで言ってやっと鈍い反応を見せた。
これがタカムネ博士との初めての出会いだ。
雰囲気を変えてまた新しく始めました〜。(昔の小説のリメイクです)並行して「14歳の恋愛日記」もヨロシクです。(ここで宣伝…)