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うなじに、爪痕

作者: 赤熊しの

隣にいられるだけで十分、だなんて思えない。


もう二度と。


-/-/-/-/-/-/-



「あ、由菜」


帰り道、信号で立ち止まった由菜に声をかける。


「健太じゃん」


そう言いながら彼女は、軽く手を挙げて返した。

信号が変わり、二人で歩き出す。当たり前のように、二人ならんで。


「昼間は、ちょっとあったかいね」


そう言って、由菜は太陽に手をかざした。

由菜の手は、カーディガンに隠れて指先だけが覗いていた。

言われてみれば、空気が冷たくても、日が当たると暖かい。

登校するときは朝練習のために早朝だし、下校も普段は日が暮れてからなので気づかなかった。


「テスト、どうだった?」


そう声をかけると、彼女は露骨に顔をしかめた。


「できるわけないじゃん」


今日は、冬休みがあけて初めの模試。

この結果は、二年に進級する際のクラス分けに大きく関わると、担任が言っていた。

そうやって変に脅してくるところが、進学校の嫌なところだ。


「まあ、今日は由菜の苦手な理系科目だったもんな」


一応フォローはしたが、そういう意味じゃないと分かっている。

由菜はもともと頭がいいし、明日は得意の文系科目だが、きっと明日も「できるわけない」だろう。

もちろん、その訳も分かっている。幼馴染だから。


「遼くん、元気?」


うつむいたまま言った。

これが、由菜の本音。


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