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Rechte-Argument von Mars  作者: 久山想留
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字が読みづらくて誤字脱字も多いかもしれません。また話も長いと思いますが読んで頂けたら嬉しいです。

西暦3252年 革新暦252年 それは遥かに遠い未来の話であり、以外に身近な未来の話である。

これは、過去と未来を繋ぐ不思議な(えにし)の物語………

____________________


時を遡ること西暦2029年、21世紀を迎えてから早30年になると言う時であった。

街並みは2010年代からさして変らず、やれ新しいファッションだの、新しい携帯端末だの

新しい家電だなど、其れらは多少なりとも最新の物に切り替わって入っただけであって、

建物も人も動物もあまり変ってはいなかった。


法律は多少是正されているにしろ、国も世界も良い方へ変っていくでもなく

かといって、悪くなリ過ぎるって事も無い。ただ単に不況や就職率や失業率が

あまり改善されてない、その事実だけが残っていた。


だからこそ一人の青年は悩んでいた。普通に考えるなら、

とっと行動しろって言われてしまう話なのだが青年には其れが出来ずにいた…


働こう…働かなきゃ…このままではいけないって分かってはいるのに

働くのが怖い……また失敗したら……また駄目だったら……

そんな思いばかりが胸につのるばかりで自分自身の駄目さ加減や醜さに呆れや

苦しさや哀しさが青年の中で辛く圧し掛かっていた。


普通に働いている人たちが沢山いるのに、自分は働いていない…

「本当に何やってるんだろうな…」 青年は自分の手を眺めながら

ポツリとつぶやいた。


青年の名前は佐藤修護(サトウ シュウゴ)28才、本当は青年期では無く成人期に

入っているので成人なのだろうが、成人としての役目は果たせていないかった。

生活は結局親の世話になりっぱなしであり、家に居て家事はやっていたとしても、

28歳の大人が仕事もせずに家に居るなんて………ましてや男なのに………と

周りの人達に言われてしまうの仕方の無いことだった。


実際にその事で家族が嫌な思いしているなって、分かってはいるんだ。

この前だってそうだった…家庭のゴミを出す日に俺自身がゴミを出していたら、

奥様方に見つかって「あの人よ、あの人、佐藤さん家のごく潰し」「いい歳行ってるん

でしょう…働きもしないで何やってるのかしら」「働かないで生活してて良いんだったら

私もそうしたいわ~」などと、小さな声(その割には大きいが)で話していた。


俺自身が外に出ればこう言われてるんだ。家族の方がもっと酷い言われ方をしているのだろう。

嫌な思いをしているのは分かっている、分かっているんだよ!!でも怖くなって先に進む事が

出来ないんだよ!!俺の頑張り不足だ、忍耐不足だ、どうしてお前生きてるの…

周りはこう言うだけで、誰も相談には乗ってくれなかった。誰も俺を助けようとする人はいなかった。

でも、そんな中で家族だけが俺を支えようしてくれたんだ。甘えているのも分かってるよ、

それでも俺自身前え進む事が出来ないんだ。


「本当に情けないな…本当に…」


部屋に居て布団に横になっていたからなのか、俺自身の心の弱さなのか、こんな考えを

またしていたんだな…


部屋に置いてある学習机の上の置き時計を見て今何時なのかを改めて確認する、

時刻は午前0:58分あと少しで深夜1時になるという時間だった。


夜の家事も片付いて早々に布団を敷いたのが悪かったのか、布団に横になって寝るつもりだったのが、

こんな遅い時間帯まで考え事をするだけになっていただけだった。


考え事をすると自然に自分自身の悪い欠点ばかりを見つけたり考えてしまう様だ。

今日も最初は違う事を考えていたはずなのにも拘らず、今日も後ろ暗い事を考えて

しまったな。


「まぁ、気分を変えるためにもランニングでもして来るか」

何時も嫌な気分や苦しい時は遊ぶなり、体を動かして気を紛らわしているだからこそ

修護は今日も今日とて体を動かそうって思っいた……


ただ、その行いが彼自身の人生を大幅に変えるとも知らずに・・・・・・・・・


______________



町は僅かの明かりに照らされて静けさを湛えていた。

風は暑くも無く寒くも無く深夜だと言うのにも拘らず、ランニングや出歩くのが

とても気持ちのいい気候だった。6月に入ってはいたが雨が降り続く事も無い、

湿気で蒸し暑くなってもいい頃合なのにシャツ二枚着こんで、ジーンズのパンツを穿き

ながら散歩がてらのランニングをしていた。


この場所でずっと暮らしてきていたからこそ、修護自身、地球の気候が可笑しくなって

いるのを実感していた。例年なら6月は割と暑いために、シャツ一枚と短パンで過ごすのも

ざらじゃなかったのに、今年は少し厚着しても住みやすいと言う状況だった。


家をこっそりと家族に気付かれない様に出て、ランニングを始めだした。海が近い

この町を走るのは嫌いじゃなくて寧ろ好きだった。いつからかだったか、潮風が肌に触れた

時にもっと潮風を感じたくて海辺に向かって走っていて、それがとても気持ち好かった

から海辺の町を走るのを日課みたいにしていたんだ。


嫌な事を考えた時にはこうして海に近いこの町で海を目指しながら海沿いを走っている。

久里浜の海も休日とか長期休暇とかなら沢山の人で賑わうが、今日は平日の深夜なので

人はほんの少ししか居なかった。


まぁ、居る方もちょっと怪しいかもだけれど。

まぁ、こんな夜遅くに走っている俺も相当怪しいけどね。


海を眺めながら走っていると少し違和感を感じた。

体に違和感を感じたのではなく、海に違和感を感じたんだ。

何だか上手く言い表すことが出来ないのが残念だけど。

だからかな、休憩がてら浜辺に立ち寄って海を眺める事にした。


昼は賑やかであっても(騒がしいほどではないが)、夜は田舎と云えば田舎なので

夜は静かなのだが、今日はとても静で波の音が心地が好い。

深夜だから当たり前と云えば当たり前なのだが…


月明かりに照らされていた海はとても幻想的な空間を生み出していた。

そんな海で可笑しな光景が見えていた。


あんまし考えたくなかったのだが、目の前の海で何かがパッシャパッシャと水しぶきを

上げていた。


ま、まさかこんな時間に泳ぐなんて人イナイよね……

普通の人の話だけどね。


携帯の時間表示で時刻の確認をして見ると、今の時間は午前の1:35分だった。

こんな深夜帯に騒いでいたら近所迷惑になるって、普通に考えたら分かるだろうけど

目の前の海で激しく水しぶきを上げる誰かが海に居た。


えっと・・・・・・・・・


なんと言えばいいのだろうか、深夜帯に人様の迷惑になっても構わないと云わんばかりに

水しぶきを上げてるけど、あれってまさか溺れてる?こんな夜遅くに泳いで尚且つ溺れる

なんてあの人何がしたいのか分からないな。


でも、このまま放って置いたら危険だし助けないと、そう思って海に走っていき海に飛び込んだ。


バシャン!!といい音を立てながら溺れている人の処まで泳いで行く。

俺自身泳ぎが得意ではないし、息継ぎも下手だ。このまま助けに行っても二重で災難見舞われる

可能性は有るけれど助けを呼ぶ時間は無い、それに、潜水なら多少出来るから息の続く限りは

大丈夫だろう。それに溺れている人が居る箇所は水深があまり深くない部分なのが救いだろうし。


「待ってろ!!今そっちに行くから!!」

俺の叫び声が聞こえたのか、此方を一瞬見つめてきた。

何とか泳いで溺れてる人のいる地点まで着くと、溺れている人の腹を横から抱え

浜辺まで泳いだ。あと少しで砂浜だって油断していた、その瞬間海が光っていた。

しかも自分達の場所を円で囲むように光っていた。


何が起きているのか分からないし直感でしかないが、このままでは二人とも大変な事になるなと思った。

自分の事なのに何処か他人事の様に感じているけど、本当にこのままでは不味い感じがする。


何とか立って歩ける部分までたどり着き、溺れてた人を立たせると砂地まで走った。

だけど、光は俺たちを包み込むと光っている海の中に引きずり始めた。

これはもう駄目かも知れない、俺はそう感じたからこそ、せっかく助けたこの人だけでも

助かって欲しいと思って光の外へ突き飛ばした。


そして、俺は光の中から出てきた巨大な機械のような手に体を掴まれて海の中に引き摺り

込まれて意識を失った。


修護自身は死んだと思ったのだった・・・・・・・・・・・・・・


______________________




うぅ・・・う・・・お・・・れ・・・は・・・


はっ!


何だアレは夢だったのか?其れにしてはえらく現実的だったが…

其れとも俺はもう死んだのか?何も出来ずに親や周りに迷惑かけて終わるだけの人生が

俺の人生だなんて情けないな・・・


まぁ最後に人を助けれた事が出来ただけは良しとするか。


修護は自分自身のあっけない人生を振り返りながら周りを見渡した。

修護自身死後の世界には興味はあったので何時かは行ってみたいと思っていたけど

こうも早く来てしまうとは思ってもいなかった。


彼の中には、せめて一人ぐらいの人の役に立って、親にも恩返した後に死のうと考えて

いたからか素直に死んだ事を認められなかったのも事実だった。


でも、死んでしまったものはしょうがない諦めるしかないよな。

そんな思いを胸に周りを見ていると壁の中に光りが行き来しているのが見えた。

死後の世界は壁が有るのかぁ~などと、そんなどうでもいい事を考えていた。


壁の中を走る光は色とりどりで綺麗に思えた。ただ、壁も寝ぼけてて分からなかったが

細かい機械出来ているみたいで、なんだか進んでるよな死後の世界って・・・

そんな感想くらいしか出てこなかった。


色々なものをよくよく見渡すと俺自身がベッドの上で寝ている事が分かった。

壁とかを見ていて分かったが此処はどうやら個室の様だな。

それに奥行きもあまりないし、扉とかも有るみたいだから部屋なのだと認識出来る。

部屋の大きさは畳三畳分くらいだしな、部屋だってのどう見たって分かるけど…


死後の世界って、もしかすると集合住宅みたいにキチンと管理されているのか?

死んだら部屋割り当てられて其処で次に転生するまで生活していろとでも言うのだろうか?


まぁ、何にせよ情報は集めないといけないよな。

お隣さんも居たら挨拶しないといけないだろうし。


修護はベッドから降り立つと扉まで近寄っていく、そして扉を見てみると取っ手が無く自動ドアの様に見える

扉が有った。


だが近寄っても開く様子はない。


う~ん、どうしたら開くのだろうか?

扉の近くを色々探索してみると扉の横の壁に液晶みたいな物があった。

その液晶を覗き込んみたが何も起きなかった。


「もしかして、触って開くタイプなのか?」

液晶に手を触れた瞬間液晶が光り始めて、手をスキャンするかの様に光が画面の上から下へ、

右から左へと光が動いた。光りが動いた後に部屋の扉が開いた。


修護は死後の世界は相当進んでいるんだなとそう思った。


部屋の外へ抜け出すと狭い通路になっていた。

隣の部屋を探して見るが正面や左右には扉は無さそうで、どういう事なのか把握が出来ない。

部屋が在るものだと思っていたのにも関わらず、在ったのは通路の続きだけだった。

前も後ろもT字路になっていて、どちらの通路も何処かしらには繋がっていそうだ。


「訳も分からないし、無暗に散策しても迷子になりそうだが…しょうがない、彼方此方回って

見てみるしかないか…」


呟いた処で誰かが応えるわけではないが、決意を固めるためにとりあえず口に出してみた。

結果としては虚しさが残っただけで終わったがな。


はぁぁ……………何が有るのか不安でしょうがない。

とりあえずW11と書かれた前の通路を探索してみるか…

W11と書かれた壁の方へ向かうと其処でも通路が右左で分かれているみたいで、

どちらも通路が何かが有りそうだった。


結局悩んでいても仕方なさそうだし、そう結論付けて適当に歩いてみると何にか色々な物が

置いて有りそうだった事が分かった。それだけでなく色々部屋が有るみたいなのだが、

液晶みたいのに触れても反応が無くて、他の部屋を探しても皆が皆同じ反応だったのはこれいかに。


結局色々探っていたら階段を見つけたので、とりあえず上へ上へと上って最上階に着いた。と云っても3階くらいしかなった訳だけど。

最上階も通路が色々と有りそうだと思ったが、窓が有ったので先に外の景色を見る事にしてみた。


そして、修護は窓へそっと近づき外を見る。

外に見えた景色は青い大海原が広がっていた。

と云う事はこの建物の外には大陸が存在してるって事か?


えっ?……………………ええええええええええええええ!!


しかし、何で何で外が海なんだ!!この建物って死後の世界の建物じゃないのかよ!!

海の遠くの方では何かの建物が沢山建っているし、この世界はいったいなんなんだよ!!

建物の壁がずっと機械仕掛けだったのは気になっていたが、やっぱり此処は死後の世界とはかけ離れた

違う場所に感じていた。いや、そう思う事しかもう出来なくなっていた。


どこか途方にくれていた次の瞬間だった。


ドゴオオオオオオオと云うかなり大きな音と共に建物が凄く振動した。


「うぁぁ、って、な、何なんだよ!!何が起こってるつうんだ!!」

いきなり建物が揺れた事で壁に思いっきり頭をぶつけて痛さに悶えていた。それなのにも関わらず、何回も何回も

建物が振動していく、それだけでなく音も大きくなって振動もより大きさが増していた。


このまま突っ立ってたら何回も壁に頭をぶつけそうだし、とりあえず出口を探すしかない、

危険を承知で修護は出口を探し始める。


でも、振動のせいで覚束ない足元は少しずつ少しずつしか前へ進む事が出来なかった。

それでも、何とか階段をもう一箇所見つけることが出来て更に上へ進む事が出来そうだった。


階段を上ったら扉がありその扉だけはバルブの付いた手動式の開閉扉で、疑問は有ったものの

状況を確認したくて固いバルブを何とか回す、最初だけ固かったが後は簡単に回す事が出来た。


建物の揺れはまだまだ続いているが何とか扉を開けると信じられない光景が広がっていた。


目の前で大きな爆発と共に人の様な形をした、大きな機械8メートルくらいは有るんじゃないかと思われる機械が

海に向かって落ちって行った。海に落ちって行った機体は海に入った瞬かに爆発した。

その影響でまた建物が揺れた。ただ、空には何機も人型の機械が浮いていた。

そして、建物の外には大きな砲門が幾つかあり全部で6門くらいの砲門が空に向かって砲撃する。

ボン!!っと大きな音と共に空に浮いている人型の機械を撃ち落とそうとしているみたいなのだが、いとも簡単に避けられていた。


はは…これは…夢だって…死んだのに夢見るのは可笑しいだろうけどさ…

ソレかアレかなゲームのやりすぎでこんなのを見ているのかな…

はは…笑えない冗談だよ本当にな。


冗談だって思い込みたかったのにも拘らず容赦なくこれは現実なんだと思い知らされる。

なぜなら空に浮いている人型みたいな機体がこちらに向けて弾丸を打ち込んで来ただけではない。

水中からも人型の機械が水しぶきを上げながら此方へミサイルを撃ってきた。


ドゴンンンンと音がした瞬間にミサイルは撃ち落とされていくが、ミサイルが撃ち落とされた時の爆風と振動で修護は壁に体を

思いっきり叩き付けられた。壁にぶつかった痛みが此処は現実だよと容赦なく突きつけていた。


よくよく見れば砲門が付いている場所は甲板だった。しかし、これは建物であっても地上の建物でなくて船だった様だ。

修護は混乱する頭を何とか冷やしていきながら色々と観察していく。

そして、修護はある事に気が付いた。甲板の真ん中ら辺に、大きな四角い穴が開きそうな線が見える。


もしかして、こっち側にも人型の機械ないしは、ソレに順ずる何かが有るんじゃないのか?

今が一番上の階だとすると、甲板の下は2階くらいか?そこに行けば何かが有るのかもしれないな。

そう考えた修護は階段をゆっくりと下りながら2階を目指した。


「この建物は武装船何だろうし応戦出来る事から考えても戦艦クラスだと思う。だからこそ、艦載機の

1機や2機は有るんじゃないか?もし有れば動かせられるかどうかは分からないけど1機貰って逃げる。

それしかないな…うん、それしかない!」

盗みを働く事は悪い事であったとしても、状況が状況だし何が何だか分からない状態なんだから

許して欲しいと思いつつ俺は自己肯定するしかなかった。


揺れている戦艦の内部を慎重に進んでいくと声が聞こえて来た。声は大きくなかったものの人が居る事だけは

今初めて知ったよ。だからこそ、罪悪感に苛まれるだろうけど今は使えそうな物が有るかどうかの

状況を確認する方が大事だ。揺れる船が何時撃沈されるか分からない以上早くしないと…


何とか声のした方に慎重に歩みを進めていくと2階のとある部屋の扉が開いている様だった。

そして、そっと扉の所から中を覗くと人が沢山いて色々な作業を行っていた。

一人は部品を運んだり、一人は機械の整備したり、一人は機械に乗り込んだりと人それぞれでは有るものの

皆が皆忙しそうに動いていた。


それに考えた通り人型の機械みたいのが何機か存在しているみたいだった。

「色んな人が忙しなく動いているし、あれなら1機くらい拝借出来るかもしれないな」

まぁ、動かせられるかどうかは別としても何もしないで死ぬよりは良いだろうしな。


修護は人の目を掻い潜りながら人型の機械に近づいていく。人に気付かれたらヤバイと云う緊張感で

汗がダラダラと出ているのではないか?と錯覚してしまうくらい緊張してしまう。

周りを確認しながら気付かれない様に、仰向けで横になっている機体に接近する。

そして何とか無事に機体の下に辿り付く事が出来ると、ほっと溜息をする。


人型の機械はコックピットが胸にあり、そのコックピットハッチが開かれていたため、内部を窺うことが出来た。

見たところは、コックピットの内部のメカはアニメやゲームで見る様な内部構造をしている様だった。

コックピットには椅子があり、その椅子の周りには、左右それぞれに操縦用のレバーが付いており、足元にはペダルが四つ存在していた。

左右のレバーにはボタンがそれぞれ5つづつ付いており、椅子の右腿の近く付近にも様々なボタンが存在している様だ。

さらには足元のペダルも4つ有り、其々が其々の意味を持っている様だった。

また、左腿の横には黄色と黒の縞々模様のレバーが有り、ソレには赤文字でESCAPEと書かれている。コレは多分脱出用の

レバー何だろうと考え無暗やたらに触らない方が良さそうな事だけは理解できた。


人が来てしまう前に機体に搭乗出来たのは良いものの、何処で機体の電源を入れるのかがボタンが多い為に分かりずらく、

適当にボタンを押して自爆してしまったら元も子もないので、一つ一つ確認してみるしかなかった。一つ一つにライトだの何だの色々なスペルが書いて有るのは

いいのだが、文字が何の文字なの結局分からない物が多かった。唯一分かったのはレバーとライトくらいだ。

結局賭けでしかないが、適当にボタンを押す事しか道は残されていない様だ。


ふぅ~と、深呼吸をしてから右太ももの右横にあるボタン群を一個一個慎重に押していくが機体は起動していない。

もしかして駄目だったのだろうか?最後に残された色が少し違う怪しいボタンを押してみるとヴォンと云う音と共にコックピットの機械が光りだした。

さっきまで反応してなかったボタンも光っている。


「機動したって事でいいのかな?兎に角ハッチを閉めよう」

じゃないと警備の人やら兵士やらが沢山来るんだろうしな。

多分でしかないがハッチと書かれていると思われるボタンを押してみるとハッチが閉まり始めた。

さらにハッチが閉まるとハッチの所も含めた、大きなモニター画面が前に広がっていた。


ライトと思われるボタンを押すとコックピット内部に明かりがついていく。明かりは座席の処や真上にもある様だった。

コックピットの内部が照らし出されて見えずらかった部分にも色々な部品がついている事も分かった。

操縦席には上から下へと固定するシートベルトも有るみたいだ。


車でもそうだが、シートベルトは付けないと危ないし此処は付けておくか。

座席のシートベルトをキッチリと付けると、遂に本題へと移る。


操縦の仕方なんて基本は分からないが、ゲームセンターとかに有ったロボットゲームの操縦席をつい頭に

思い浮かべてしまうがゲーム筐体と同じとは限らないはずだ。それでも、ついつい頭に思い浮かべてしまう。

ただ、ゲーム筐体と同じような操縦方法だったら結構助かるかも知れない。

安易な考え方かも知れないけれどレバーを握り、真ん中のペダルを右足で踏むと、機体が動きだした。


うぉぉ、何て言えば良いのか、とにかく感慨深いものが有った。

まるでゲームやアニメの世界に入った気分の様で気持ちは昂った。

男だからこそ、一度はこうした二足歩行型のロボットに乗ってみたいと思った事は有ったけど、

実際に乗れる、いや乗る日が来るなんて想像もしてはいなかった。

だけど、此れが実際の戦闘で乗る事に成ると云うのでなければ嬉しかったんだろうけどさ、

実際は戦闘で使う事で死ぬかもしれないと云う恐怖が纏わり憑く訳なんだよなぁ………


そう考えると怖くなる、アニメやゲームでは格好いい活躍する機体達が有る一方で沢山落とされていく機体が存在している訳だし、

一般機は専用機や高性能機には勝てていない場面ばかりは映っても、一般機が打ち負かす場面は無いだろう。


俺が乗った機体ってどっちなんだろうか?一般の量産型の機体だったら初心者が乗っても的にシテクダサイって言ってる様なものだよな。

やっぱり、これって結構不味い事なんじゃなかろうか?


しかし、修護が考えるよりも前に機体の外に居る人達が騒ぎ始めていた。

彼が乗る機体に対して多くの人が声を掛けてくる。


おい誰が乗っているんだ!! 許可なんて出してないぞ!!

パイロット名前を名乗れなど、機体の外から多くの声が飛んで来ていた。


もう引き返す事が出来ない所まで来てしまった訳だしこのまま外へ出て行くしかない。

それにこうしている今も船内はかなり揺れているしな。

このまま訳の分からないまま全滅なんてやっぱり冗談じゃない!!


兵士がやって来て銃で威嚇射撃をしてきていたが、ソレを気にするのをやめて

近くに有った大きな銃やら剣などの人型機械用の武器類を奪いつつ外に出る事にした。


とりあえず右のレバーを前へ押すと機体の右腕が武器へと手を伸ばし始めた。

右レバーを押したり引いたりすれば機体の右側が反応する事が解ったし、

左側なら全部左に成るって事で良さそうだ。


右手に銃を左手には剣を持たせる事が出来たのは良いけど、次はペダルだな。

最初は適当に踏んだが、今度は考えて踏んでみるしかない訳だ。

周りには人が何十人か居るし下手に動かして“プチ”なんて阿鼻叫喚の地獄絵図だけは避けないと…

つっても外部へ声を出すスピーカや通信ボタンの配置も解ってないし外の人達に伝える方法が

分からないんだよなぁ~結構困るぞこれ。


ペダルの方をよく見てみるとペダルその物にも番号が割り振られていた。

1番は真ん中にある右足用のペダルで2番は真ん中にある左足用のペダルで、

3番は外側にある右足用のペダルと4番は外側にある左足用ペダルの様だ。


1番を踏んでみると前へ進み2番を踏むと後ろへ下がった。

ペダルの確認をやってる途中に、うぉ危ねぇぞ何やってんだよ!!うわぁぁ!!アイツ素人だろ絶対!!

など騒ぎになっているけど今はそっちの声は無視だ。構っている余裕が本当に無いから。


ただ一つ言える事はこの機体のお外に居る皆様本当にごめんなさい!!

これ伝えたいところなんだけど今は色々この機械の事を理解出来ていないので伝えらない訳なんです本当にごめなさい!!


3番4番のペダルも確認したいが此処でやったら大惨事になるよねきっと…

仕方ない後はぶっつけ本番で覚えていくしかない。


―――良しやるか―――


右のレバーを引きながら右足の1番ペダルを踏んでみると前へ進みながら若干右へ向いたものの壁にぶつかって

機体ごと後ろへ倒れた。ボゴォン!!ってスッゴイ大きな音がした。座席の後ろにも液晶モニターが付いているから

確認出来たけど、人は巻き込まれてはいなさそうだったが大きく地面が凹んでいた。

初心者なので機体の動かし方が解ってないんです、だから今地面が凹んだ事は多めに見て欲しいと思う。

そして本当にごめんなさい!、この言葉しか出てこなかった。


今のでは、やり方が違うって事は動かし方は他に有るって事だな。

アニメとかで見るやり方じゃあ駄目だって事はペダルを使って色々するのか?

今度は3番や4番のペダルを踏んでみるか?そう思って3番のペダルを踏んだ瞬間

機体背面に付いているバーニアが勢いよく噴出した。


うおぉあおあおあぉ!!色々な悲鳴が混じった声が外から漏れて来る、俺らを殺す気か~船を壊すな~など

色々皆さん思うところは有ると思いますよぉそりゃぁね、でもね、こっちは行き成り訳の分からない場所へ来て頭が混乱している上に状況を理解していこうとするだけで一杯一杯なんで許して欲しいんですがね、許されないですよね~


本当に本当にごめんなさい…


機体を再び立たせる事は出来たけどこのままじゃ又壁にぶつかって倒れしまうし4番のペダルも試したい、

そう思って4番ペダルを踏むとバーニアの噴射が徐々に止まっていった。

成る程つまり4番ペダルは車のブレーキに当たる訳だな。でも、そうしたら旋回はどうやりゃぁ出来るんだ?

適当にペダルを踏んで大惨事になっても嫌だし4番のペダル踏んだままで適当に1番当たりを踏んでみると

機体の右足を軸に右後ろ方向に旋回した。


へぇ~旋回できたんだこうも簡単に出来たんだねぇ~


簡単に出来るんなら教えてくれい!!コン畜生~

って馬鹿な事考えてる暇はないんだったな。早く外に出ておかないとまた被害出すだろしな。

その場旋回をした後甲板に出口を探して見つけた。


よし此処から出て行くか、今度こそちゃんとやってみせる。

さっきは格好が付かなかったけど今度は大丈夫だろうさ。


この船の機体が出撃する場所は甲板の真下に有るみたいで出撃用ゲートに近づくと

扉が勝手に開閉される様に成っていた。


機体を出撃用のリフトの様な物に載せると下から上へと移動していく。

そして機体はゆっくりと甲板に出てリフトから降りるとゲートは勝手に閉まっていった。


甲板に出たは良いけど此処からどうするか?プランを起てていた訳ではない。

此処からどうやって抜け出すかしか考えていなかったからな。


ただ、俺がこのまま突っ立ってたら狙ってくださいと言っている様なものだし、

何とか機体を動かして相手の機体の撃った弾やら避けないと。


1番のペダルを強く踏みしめると前に向かって自分の機体が走り出した。

そして、甲板を最先端を越えると其処から3番ペダルを踏み込んでみると機体を空へ飛ばす事が出来た。


座席の前にはモニターが付いていたが、其処には高度や機体温度にブーストメーターが表示されていて、

ブースターを使用すると徐々にブーストの残量が減っていくのが見えた。

また、機体のエネルギー残量や武器の弾薬やエネルギー残量もモニターに表示される様に成っているみたいだ。


今回使っている武器は剣と銃だから、剣のエネルギー残量と銃の弾薬残量が表示されている事から、

武器を変えるだけでも画面表示が少し変化するのかも知れない。


機体はどんどん空へと上昇していく。空に浮いている状態で右のレバーや左のレバーを引いたり、押し込んでみたが、

機体が右のレバーを引けば右に行き、左のレバーを引けば左に行くのを繰り返していた。

空中に浮いている間はレバーを押したり引いたりするのは姿勢制御に成る様だな。


3番ペダルを踏み続けているだけだと高度を上げていくだけで、前へは動かない。

とりあえず3番ペダルを踏みながら3番以外のペダルを踏んでみるしか…


其処まで考えた瞬間だった。乗っている機体に行き成り衝撃が走った。

ガァコォォォォンって言うかなり大きな音だけではなく衝撃による振動が凄まじい。


ぐはぁ………


もろに衝撃を受けると此処までキツイのか?

外の光景がモニターを通じて分かるが敵の機体一機に抱き着かれてる様だった。

何とか取っ払わないと不味い、身動きを封じられてどうしようもない状況だぞコレ…


左右のレバーを引いたり押したりしても相手の機体にガッシリと押さえられて所為でビクともしない。

こうなればボタンを試してみるしかない!


ここまでぶっつけ本番で来たんだ我武者羅にやったら何とか成るかも知れないし、だから、やってみせる!!

右のレバーの人差し指のボタンを押すと右手に持っていた銃から弾が撃ち放たれる。


バン!!と銃の音が大きく聞こえるが、まだ敵の機体は離れていない。

今度は左のレバーを押し込みながら、左レバーの人差し指のボタンを押してみる。

目の前の画面に映っていた敵の機体に自分の機体が攻撃し様としているのは分かるんだけど、

やっぱり自分の機体が全然身動き取れていない。


このままじゃ、このままじゃ、やられる!!

どうする?色々ボタンは有るけど敵に抱き着かれたままじゃ、武器は効力を発揮しない。

左右のレバーを押したり引いたりだけでなく、足元に有るペダルも全部試しに踏んでみるか…

でも、連続で踏むとかでも反応が違うって事は有るのだろうか?


そりゃ、ロボットゲームとかだったら十字キー連続入力やスティックを連続で弾くとかで緊急回避とか出来るけどさ

実際のロボットでそれらが出来るのだろうか?


まぁ、物は試しって言葉も有るしやってみるか。

一時的に3番ペダルを踏むのをやめて1番ペダルの連続踏みを行う。

そうすると俺の機体は相手を蹴り離した。

そして蹴り離した一瞬の隙に左手のレバーを押し込みながら左レバーの人差し指の押した。


画面に自分の機体の左腕が、相手の機体に向けて剣を振り下ろした。

剣は相手の機体に当たると刃が回転し始めて激しい火花と一緒に相手を斬り捨てた。


えっと、やったのか?本当にやれたのか?


俺は何とか1機の機体を壊す事に成功したみたいだった。

自分自身本当に信じられないぞ、俺が人型機体に乗って敵の機体を壊すなんて

夢だって言われたら信じてしまいそうだが、敵の機体を切っているときに激しい振動に機体が揺れていた事が、

これは、現実だと物語っていた。


そして斬られた機体は腰から真っ二つとなり、上下に真っ二つになった機体が落ちていきながら爆発していった。


ドゴォンと云う音とも爆風が俺の機体の処まで来ていた。爆風によって機体がかなり揺れた。

本当のロボット乗りって毎回毎回色々な衝撃が体を襲うって事を俺は初めて知った。


ペダルを踏むのを忘れてたために機体が水面に向かって落下していくが3番ペダルを踏みなおしてブースターを起動させて、

また、空を飛び始めた。ブーストのエネルギー残量はペダルを一瞬放していた間に少量だけ回復していた。


でも、敵の機体はまだ7機くらいはいて、その機体達全部が俺の方へ向き直っていた。

ふぅ、コレは全員俺を倒そうって考えだよな…


此方に向かって7機全部が銃を向けて撃ち始めて来た。俺は何とか機体を右へ左へと動かす事で敵の弾を避けていく。

そして、敵の一機に近づいた時に右のレバーを押し込んで人差し指のボタンを押す。

そうすると、近づいた敵機の1機に腹辺りから穴が開き始めていき、その機体を俺は2番ペダルを連続で踏みこんで蹴りを喰らわした。

そして、蹴りを喰らった機体は蹴り飛ばされた先で爆発を起こした。


残りは、6機になったけど俺の方が不利な事実はまだ変る事がない。

残りの機体の一機が此方に向かって来た、それをペダルを踏むのをやめる事で機体の自然落下が始まりそれによって相手の斬撃をかわす。

避けた後直ぐに左のレバーを引き戻しながら人差し指のボタンを押して、左手のレバーを今度は思いっきり押し込んだ。

俺の機体の左手が下から切り上げる動きをして相手の機体を左右に分断する。

分断された機体は爆発しながら落ちて行った。


今の機体が壊れた事で残りは5機か?

でも大分動かせるように成ってきたぞ、これならやれるか?


よしよし、この調子で次の機体を……

…ってそう上手く行く訳ないか、敵一機の攻撃が右肩辺りに被弾していた。

敵の撃った銃弾がどうやらヒットしたらしい。

それに機体のブーストゲージが0になっていたみたいで、行き成り海の中に落っこちた。

落ちた時の衝撃で右肩に大分ダメージが蓄積した様で、火花が大きくなり始めていた。


このままじゃ右腕が壊れるのも時間の問題だな。

何とかして右腕を外せないものか…


そう考えた俺はこの機体の左右のレバーに、本の少しだけ意識を向けた。

この機体のレバーに色んなボタンが付いているが一つ一つを押していくと、

中指のボタンはエネルギーの充填率を上げる物だったらしく、

モニターに機体の部位にどれ位エネルギーを送って、どれくらい削るのかの表示が細かく出ていた。


う~ん、コレは違う様だけど右腕のエネルギーを左腕に送れるみたいだな。

中指のボタンを複数回押してみると表示されている部位の明るさが変っていた。

光って居る箇所の明度によって、エネルギーの供給先が変っていくって事か?

だとしたら、中指のボタンは押した回数によって充填する部分を決めれるって事だな。

それが解っただけでも、良しとしなきゃな。


左右どちらかのレバーの人差し指ボタンを長く押しながら、押してない方のボタンを連続して押していく事で

エネルギーを送る先が決めれて、決まったら今度はボタンを長押しするとエネルギーを送れる様に成っているみたいだった。

実際に右腕のエネルギーゲージが画面に表示されてE0になり、左腕がE150と表示されていた。

エネルギーを送る前の左腕のエネルギーが元々E75と表示されてた事から考えてもエネルギーの充填が出来たんだろう。

だからと言って右腕の問題が解決って訳ではなさそうだ。


右腕から火花が散っている状況は今だ変った訳ではなく、少しだけ安全になっただけの話でしかない。

根本的な問題は解決していないし、このままでは何れ右腕が爆発する危険だって伴うだろうし、

何とか切り離すことが出来れば…


まだ、ボタンも色々有るんだし出来る事はまだまだ有りそうだな。

今度は薬指のボタンを押そうとした時――機体の後ろから大きな音がした。

後ろのモニターを確認すると敵の機体が見えていた。


違うボタンを試そうと考えている間に残りの5機体の内4機体が一斉に海に入ってきた。

相手も俺目当てに水中へ入ってきたみたいだ。ただ、入ってきた機体は4機だけで残りの1機は

船へ攻撃を続けているらしかった。海面の上の方に爆風が少し見えたから多分そうなんだろう。


船は1機だけで後は全員で俺の乗っている機体ごと壊そうって事だよな。

4機がこちらに惹きつけられている間は、船が壊される確立は減ったんだろうし、後は4機を

俺が壊せれば問題ないけどな…


それに、何とか3機は倒す事が出来たんだ。このまま終わりってのは納得できないよな。


まぁ、上手く事が運ぶかどうかは全然分からない。

機体の右腕から出ている火花は多少小さくなったもののだ、火花が出ている状況事態が不味い事である事は変らない。


でも、こちらの思いなんか相手にとって見れば関係ないだろう。

相手は容赦無く此方に攻撃を仕掛けてくる。相手の機体の銃弾がこちらを掠めるが何とかペダルやレバーを動かして相手の弾丸を避ける。

避けれはしたが海の中って事も有ってか、空に浮かんでいた時より動きは少し重くなっていた。


相手にとっては俺は只の敵でしかないだろうし、しかも、相手の機体を落としているんだ此方に対して敵意を持ち直してても

可笑しくないだろう。


だけど、俺だって訳の分からないまま死ぬ気なんて無い!!

俺の機体は今右腕が使えない為に左手だけで攻撃しないといけないが……左手は近接武器だけだぞ

あの弾幕の中をどうやって近づけばいいのか?


ブーストゲージも気にしつつ戦わなければ動きが止まってしまうし、避け続けながらブーストゲージを気にして戦わなければならない、

そんな、精神的にもキツイ状況で、この状況に匙を投げてしまえば、この機体が落とされて俺自身の命が終わる。


一か八かの賭けではあったが右レバーの薬指のボタンを押してみると、俺の前に広がっているモニター画面にIt removes. と

アルファベットとの文字が表示され、体の部位の画面で点滅していた。


これってどういう意味だ?画面に動かすって表示されているみたいだが何を動かすんだ?

薬指のボタンを動かすたびに点滅している部位が変っていく。

点滅する箇所も事細かに表示されていて、右足の腿から下が表示されていた時に敵の攻撃を被弾してしまった。

だが被弾したのは丁度画面で表示されている箇所だったのを好い事に、

俺は右レバーの人差し指のボタンを押してみた。すると、ガコ!って音と一緒に右足の腿から下が外れていた。


なるほどな、動かすって何を動かすか解らなかったが、点滅している箇所を外すって意味合の事の様だ。

また今までの事を考えて、多分では有るが右のレバーなら機体の右側、左のレバーなら機体の左側をパージするみたいだ。


一応確認の為に右レバーでさっきと同じように薬指のボタンを押すと画面に右腕が表示され点滅している。

そして、人差し指のボタンを押すと右腕が肩から丸ごと外れていった。


これで腕の問題は何とかなったが、右足も腿から下をパージしているから移動速度やブーストゲージに大きく

響いているんだろう。移動速度が遅くなってゲージの減りもさっきより早くなっている…


これでは、状況は対して変らないか?いや、まだ方法は有る筈だな。


敵の1機が俺に近づいてきていた。他の機体は俺に向かって射撃による攻撃を緩めないで、

近づいてくる敵の機体を的確に援護していた。


機体の操作に慣れ始めてきたからか?射撃攻撃は避けれる様になってきているが、

敵の攻撃を避ける事だけで手一杯だった。それに近づいてきている1機は俺の直ぐ傍まで

来ている。


近づいてきている1機は、左手に所持していたブレードを構えている。

このままだと、敵の機体に俺の機体は真っ二つにされるな。


こちらだって只黙ってやられる積もりなんて無い。近づいてくる相手へ全速力で逆に向かって行った。

相手はこっちの行動に面を喰らったのか、敵の機体の動きが一瞬止まった。

俺はその隙を見逃さずに敵へタックルをかました。


俺の機体のタックルを喰らった敵は機体の動きを止めた。その隙にレバーを動かして、相手の右手を俺の機体の左手腕で掴み思いっきり引っ張った。

相手に射撃攻撃させない為にやった行いだったが、ズコン!!って音と共に相手の右腕が丸ごとすっぽ抜けていた。


「この敵の腕丸ごと抜けたな………右腕が有った肩口に挿してみるか?」

使えるかどうかは解らないが、上半身と右腕を繋ぐピンが壊れていないみたいなので若しかすれば使えるかもしれない。

そう思って右腕が有った位置に挿して見ると、ガコン!!ギュィィィン!!音がした後モニター画面に右腕のエネルギーが表示され、

SYSTEM SETTEING…と言う文字が表示された後、SETTING OKと表示されると共に右腕のエネルギー表示がモニター画面から消えた。


若しかすると、右腕がまた、使える様に成ったって事なのか?

試に右のレバーを動かすと、右腕が動き出して持っていた射撃武器をまだ動けてない敵に向けて撃ち放った。

撃った弾丸が敵に吸い込まれていくと、だんだんと相手の機体から火花が散り始めていた。

危険を感じて距離を取った瞬間に敵の機体は爆発していった。


相手から奪った体の部位を失った場所へ挿したりすると自分の機体で使える様にする事が出来る様に

成っているって事か…若しかすと足でも出来るのか?


相手の機体1機に射撃しながら近づいて行き、相手の機体の腿から下を機体の左手で強引に引っ張るとやはりズゴン!!と言う音と共に

今回も腿から下が抜けた。ただ、足の付け根から引っ張って無かったからか、足が丸ごと抜けることは無いみたいだ。


機体の形はチグハグに成っていくだろうが、相手の機体の部品を自分の機体の部品にする事が出来る事が今ので分かった。

足もさっきと同じ表示がされて、足のエネルギー表示が消えると共にまた、使えるように成っていた。


良しこれでまた戦えるな。


足を奪われた敵の機体は、動きが急に悪くなっていた。

その隙に左レバーを動かして相手の機体の左手武器を奪いながら、

右レバーを動かして射撃を行っていく。


相手の機体の左手の武器を奪いながら相手の機体は火花を散らして壊れていった。

俺自身完全に機体の操縦に慣れた訳ではないが大分機体を扱える様に成ってきた。


「今ので6機め、後2機だな、これならいける!!」


海の中に居る機体は1機だけに成っているが、海の上に居る機体もそろそろ異常に気付いている頃だろうし、

ここら辺で敵と決着を付けておけばこの後が楽になるかもしれないな。


敵自身も面を喰らっているのか?動揺しているのか?俺が敵の仲間達の機体を次々と壊していた事で

海の中の敵の動きは悪く成っているみたいだった。まぁ実際問題最初は素人だと思ったんだろうけど、

そんな素人同然な奴が次々と敵を撃ち落していったら、動揺してしまうだろうな。俺だったらするだろうな。


動揺して動けていない敵機体が、そんな敵の状態が隙だと思った。

俺は敵に近づいて行くと、相手が此方に気付いて銃を撃ってきた。

只俺は敵の機体の攻撃を右へ左へとかわしながら相手に近づき、敵から奪った左手の武器を相手の機体の腹を横に一閃し、

振り向きざまに右手に持っている射撃武器で攻撃した。相手の機体は二つに分解していきながら爆発していった。


敵の機体は、後海の上だけだな。

機体のブーストゲージが完全に回復するまで少しだけ待ちながら、試してなかったボタンを試してみる。

レバーに有るボタンで言えば小指のボタンだけだけど、それで機体の各部の損傷率と消耗率とかを見れたら良いんだけどな。

さっきまで試しで色々なボタンを試していた訳だし、まさか小指のボタンを押しただけで行き成り自爆はないだろう。

レバー系のボタンは多分安全な物なんだろうし、そうじゃなかったら操作を間違える事は出来ないと思うけど、どうなのだろうか?

まぁ、本来は間違えて使う事はない様に設計されているんだろうけど。


戦闘とは違う緊張感が少し有ったが、とりあえずボタンを押してみると、モニター画面にはMANUALと表示された。

マニュアルって書いて有るのは良いけど、何を手動で操作するんだろうか?


小指のボタンから指を離してみたが、乗っている機体の動きが、何か変っている訳では無さそうだった。

レバーを色々と動かしてみたり、ペダルを色々と踏み込んでも、さっきまでの動きと何ら変化は無かった。


じゃあ一体何が変わったって言うのだろうか?

少しだけ考えいると、ブーストゲージが完全に回復していた。

ゲージも回復した様だし、何が手動に成ったのかを後々確認すれば良いだけの話しだ。


また、3番のペダルを強く踏み直すと俺の機体は垂直に上昇していた。


勢いの良いザッパァァンっと云う水しぶきと共に機体は海上に出た。

そして、出てきたのが俺だった事が相手にとっては予想外だったんだろう。

相手の機体はかなり動きが止まっていた。


だが、相手は俺の機体を見て少しすると、船への攻撃をやめて此方に振り向き直そうとしていたが、それよりも前に相手の機体の許へ辿りついた。

これで決める!そう思いながら、左レバーを押し込みながらボタンを押そうとしたが、レバーを押し込む時に違うボタンを押してしまったみたいだ。


その所為か?左手に持っていた武器をポロっと落っこどしてしまった。

それに押してしまったボタンのところの指が開いていた。


レバーを勢い良く押し込んだ影響なのか?武器は落ちたが、勢いはそのままに相手の機体を殴り飛ばしていた。

相手の機体は殴り飛ばされた勢いで、かなり距離を離していた。


相手の機体はこちらに一瞬向き直したが、状況が不利だと感じたのか?行き成り逃げ始めた。

俺はそれに呆気をとられてしまい、気を取り戻した時に銃を撃っても敵は全速力で逃げていた為に

結局弾を当てる事無く逃げ切られてしまった。


「行っちまったな……結局逃がしたのはしょうがないけど、これから如何するかな~」

俺は乗っている機体ごと船の方に振り向きながら船をまじまじと見た。


船は俺の時代にあった様な巡視船とか空母とか戦艦ではなさそうな事だけは見て直ぐに分かった。

「何て言うか、あの船、空を飛べそうなんだが 実際後ろに大きなブースターみたいのが付いているしなぁ」

俺が今見ている船も何処か流線型なデザインで見た事無い形をしている。


見ている分には凄く格好良いんだけどね。俺さっきまであの船に乗ってた訳?

それに、今乗っているこのロボットも一体何なんだろうな。


訳の分からなさが頭を痛くさせるけれど、2つだけ分かった事が有る。


1つ目は、俺は死んでいないって事だろうな。此処は死後の世界では無くて、

ちゃんと現実に存在している世界なんだろうな。さっきの戦闘でも分かるように体に振動や痛みを

もたらすのは現実でしか無いんだろうから。それに死んでいたら痛みを感じる事もなさそうだしな。


そして、分かった事の2つ目は、此処は俺の知らない俺達の世界よりも遥かに進んだ世界だって事だ。

目の前に有る船と云い、乗っている人型機械と云い、俺が居た世界の技術より遥かに進んだ未来的な

技術なんだけど、やはり此処は俺の居た世界じゃないんだろうな。


俺はこの先生きていけるのだろうか?元の世界はどうなったのかも気になるし。

この先不安しかないぞ、俺はちゃんとやっていけるのだろうかこの世界で…


元の世界でも駄目だった俺が、この世界で変わるかどうかは今はわからないけど。

今はこの現実と向き合わなければならないのが今の俺に課せられた最大の試練なんだろうさ。


艦橋のスピーカーを通して聞こえてくる声に俺は従いながら、機体を船に載せて大きな溜息を吐いた。


俺は変われない、変わらないと思っていた現実と別れを告げて、

新たな試練と言う名の現実に向き直していた……

少しでも読んで頂いただけで、自分はとても嬉しいです。本当にありがとうございます。


書くのが遅いので不定期更新になってしまいますが、これからも読んで頂けたら幸いです。


本当にありがとうございました!!

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