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籠目の星へ願う  作者: きぬがわ
4/20

一つ花慈善病院へ

 翌日学校は土曜でお休みでした。以世は思い切って両親のことを祖母に聞いてみようかと思いましたが、悲しい顔をさせてしまうに違いありませんからうまく聞けません。

 もしかしたら他の家の人の方が両親についてのことを詳しかったりするかもしれません。主馬は怖いので後回しにしましょう。会ったことがあるみたいですし、錦に聞いてみましょう。公務員ですからきっと錦もおやすみです。

「どうせ夜に会うのだ。急ぐこともあるまい」

 六波羅はそういいますが夜はせわしないからだめです。

 錦に話したいことがあるので会えないかとメールを送りますと、すぐ返信が来ました。早っ。女子か。六波羅と似たようなことを言われましたが、頼むと画像が添付されました。…サイズが大きすぎて見られない…。

「錦はすまほか? …ふむ、以世、がらけーの宿命だ。諦めろ」

 うるさい!

 素直に見られないと錦にメールを返しますと、次は住所が送られます。

 今日は一日ここにいるからよかったらきてほしい、だそうです。なになに…一つ花慈善病院?

「一の当主の道楽の一つか」

 道楽なんて人聞きの悪い。まだ家ですから場所をパソコンで検索してみましょう。…どうやら飴城駅前まで送迎バスが出ているようです。本数は少ないですが、急げば間に合いそうでした。

 一応地図を印刷してパソコンを閉じますと、祖母がやってきました。

「あら以世、おでかけ?」

 そうです。夜ご飯には帰ってきます。…でも夜ご飯食べたらこっそり家から抜け出しますと以世は心の中でつぶやきました。

「気をつけて行ってくるんですよ」

 はーい。以世は自転車こぎこぎ駅に向かいました。

「一の当主もいるかもしれぬぞ」

 いたらいたで二人同時に聞いてしまいましょう。

 駅前のゲーセンの駐輪場に自転車をとめて、ギリギリ送迎バスに間にあいました。しばらくバスに揺られて一つ花慈善病院にやってきます。林に囲まれてコンクリートの少ない緑がたくさんある所に立った、ちょっと古めの病院でした。雰囲気的には病気によさそうですが、ちょっと幽霊とかでそうですね。

 ちらほらおじさんやおばあちゃんが庭の手入れをしていました。患者さんでしょうか、お手伝いさんでしょうか。錦も病院の手伝いをしているんでしょうか。それともどこか悪いのでしょうか。

「三の当主に用があったのかもしれぬぞ」

 そういえば御室はここで働いていたんでしたっけ…。

「どうかしましたか?」

 庭にいたおばあちゃんが立ち尽くした以世に声をかけてくれました。かくかくしかじか、錦のことを聞いてみます。

「ああ、二反田の坊ちゃんのお知り合いですか」

 錦が坊ちゃん…。確かにそんなかんじします。

「あの子なら今奥でみんなと遊んでいると思いますよ」

 みんな?みんなって誰でしょう。

「行けばわかりますよ」

 おばあちゃんは案内をしてくれます。院内は静かで、結構色んな年齢層の人がいました。働いている人もそうですが、入院している人もです。慈善病院ということは、何か事情があったりする人達が多いのでしょうか。

「ごーすとはんとか!!」

 六波羅もうだまっててほしいです。

「坊ちゃんのお友達にしては、随分お若いですね」

 おばあちゃんは微笑ましそうに以世を見ました。いや、なんていうか、友達というか、その…。

「なにかやんちゃして二反田の坊ちゃんに捕まったりした…ようには見えないけれど」

 なるほど、そういう出会いもあるのですね。錦さんには色々お世話になっているのですと以世は適当にお茶を濁しました。…ちょっと乱暴かと思いましたが、錦はとてもいい人のようですね?

「あの子はいい子よねー」

 おばあちゃんはほんわかしながらいいました。なんだか錦はアイドル化しているようです。

 歩いて病院の奥に進むうちに段々とすれ違う人は少なくなってきましたが、逆に賑やかな声が近づいてきました。子供の声のようですが…。

 ついた病室には誰もいませんでした。おばあちゃんは以世と一緒に病室に入ってから部屋のもっと奥に進みます。外に繋がる扉を開けておばあちゃんはいいました。

「錦さん、お客様ですよー」

「はーい」

 部屋の外は庭のようになっていました。そこには子供にもみくちゃにされた錦がいます。

「よう、来たか」

「錦次! 次俺! ダイビングボディプレス!」

「あたしシャイニングウィザード!」

 数人の子供たちが何か錦にねだっていますが、何をねだっているのか以世にはわかりませんでした。

「お前ら、お客さんに挨拶はどうした?」

「えー」

「えーじゃねーよ」

「仕方ないなあ」

「こんにちはー」

 ごあいさつの大合唱に以世はひるんでしまいます。は、はい、こんにちは…。

 以世は錦に戸惑いの視線を向けます。これは一体…。

「話はあっちでな。じゃあ俺こいつと話あるからお前らしばらく俺抜きで遊んでろや」

「えー」

「えーじゃねーよ」

 錦はえらく子供たちと仲良しでした。錦は子供たちを置いて病室に入ると、以世を庭から部屋に招きます。以世が背中に子供たちの視線を感じながら部屋に入ると、錦は椅子を2つ引っ張り出してくれていました。

「ばあちゃんありがとな」

「いいえ、じゃあわたしはこれで」

 おばあちゃんが部屋からいなくなったのを確認してから錦は切り出しました。

「で? どうした?」

 いやなんというか…。いざ話すとなると言いづらいです。とりあえずここのことを聞いてみましょう。

「ああ、主馬んちの病院だよ。聞いただろ?慈善事業にこってるって。主馬本人は滅多に来ねえけど、御室がここで先生やってる」

 なるほどと以世は頷き次の質問です。錦はどこか悪いのでしょうか。

「悪いとこなんざねえよ、健康体。俺は時々遊びに来てるだけ」

 ではあの子達は病気なのでしょうか。

「病気持ちの奴もいるけど、殆ど健康」

 錦は大きく伸びをすると窓の外を眺めます。

「ここ赤ちゃんポスト的なやつとかあるし、孤児院みたいのも兼ねてるから。つまんねえだろうから遊んでやってんだよ」

 錦はすごく優しい顔をしていました。この人は本当にいい人なんだなあ。

 …なんだか静かだと思ったら六波羅が見あたりません。あきて寝ているのでしょうか。

「ま、そろそろ本題入ろうぜ」

 それもそうですが、やはり聞きづらいものですね。

 …錦に聞きたいこととは他でもありません。以世の両親についてです。どうして死んだのか、知ってはいませんか。

「以千代さんと旦那さんの死因?」

 ひどく不思議な顔をされました。

「今日狩りに来るんだよな?」

 ええ、行きますが…何故いきなりそんなことを聞くのでしょう。

「知ってたから来るんだと思ってた」

 一体なにを知っているというんでしょうか…?

「つーか、詳しく知ってるわけじゃないし、俺が教えるのとかきつい。六波羅はなんて?」

 以世が交通事故で死んだと聞いていると教えたら黙り込んで教えてくれなくなりました。

「うん、まあ、そうだよなあ」

 さっきの口振りからすると、なんとなく予想ができてしまう気もしますが…。

 錦は口元に手をやり、難しい顔で考え混んでしまいました。

「…家の中だと、交通事故で通ってんだよな?」

 以世はこくりと頷きました。錦は「知らないならそれでもいいんじゃないだろうか」と考えているようでした。顔に出てわかりやすい人ですね。

「僕らは六波羅以千代さんと弥生さんは妖怪に喰われて死んだと聞いているよ」

 第三者の声が躊躇なく答えを突きつけてきました。驚いて振り返ると、御室が胡散臭い笑顔を張り付けて立っていました。ですが以世は御室の出現より御室の言ったことの方が重要です。

「弥生さんの仇討ちに失敗したみたいよ」

 白衣の裾をひらひらさせて、御室は新しい椅子を引っ張り出して座りました。喰われたっていうのは、一体どういうことでしょう

「そのままだよ。モグムシャア」

「おい御室やめろ」

「知りたいことは教えてあげた方がいいじゃないか。後悔するか奮起するかは彼次第なんだし」

「言い方ってもんがな」

 父の仇というのは…? 父は殺されたんですね?

 以世の声は思った以上に小さなものでしたが、二人はきちんと聞き分けてくれていたようです。

「僕らも詳しくは知らないさ。多分六波羅の方がくわしいと思うけど…弥生さんが喰われたあと嘆き悲しみ一月丸々戦闘準備に費やした以千代さんが負けるってくらいだから、相当強い相手だったんだろうね」

「そう、だったのか? やたら詳しいな」

「んー、そうきいてはいるけど割とうろ覚えだから鵜呑みにはしないでね」

 御室の様子はすごく軽いです。他人事ですから当然といえば当然かもしれませんが、ちょっと以世はもにょっとした気持ちになりました。

「なあ…そんなやばいのまだウロウロしてんのか?」

「さあ?」

 二人がそんな会話をしている間、以世は御室の言葉が頭でぐるぐるループしていました。

 両親が食べられた? 妖怪に?

「以世、大丈夫か?」

 錦が心配そうに顔を覗き込んできます。大丈夫です。多分、大丈夫です。でも酷く辺りが寒いような気がします。

「貧血かなあ、チョコたべる?」

 御室の差し出すチョコは高そうな包み紙でしたが、食べる気にはなれませんでした。

「大体なんで六波羅はこんな大事なことを秘密にしてたわけさ」

「ショッキングな死因だからに決まって…ああ、わり、もうやめるか…」

 以世はしっかりせねばと自分に言い聞かせました。自分が知りたいと言ったのですし殺されたのかな程度に想像はしてましたから大丈夫です。

「強い子よい子だよ」

 御室がそういったとき、庭へ続く扉ががらっと開きました。

「錦ー、まだー?」

「あ、みーむんだー」

「みーむん爆発しろー」

 子供たちが待ちくたびれたらしく大きな声で言いました。みーむんとは御室のことのようです。みーむんこと御室はにっこにこ笑顔で子供たちに向かって声を上げました。

「あははー、そんなこと言ってると腹かっさばいて中身売りさばくよー」

「ぎゃー、あいつ本気だぜ!」

「目がマジだ!」

「逃げろー!」

 笑いながら逃げていく子供たちへ「転ぶぞー」と錦が声をかけたり、御室が微笑ましそうにひらひらと手を振って見送ったりしています。みんな仲がいいのですね。

 以世がそう思っていたとき、ぽつりと御室が呟きました。

「一の家も考えたよね」

 何のことでしょう。そう聞きますが御室はにこにこ笑ったままです。

「べっつにー」

 なんだか妙に楽しそうですが…。そういえば、あのおばあちゃんや庭の手入れをしていたおじさんも入院しているのでしょうか。元気そうに見えましたが。

「彼等は身寄りが無くてここに住んでる人達さ。ここ、無償だから結構来るんだよね」

 それだと人が大挙して押し寄せて一杯になりそうなものですが。

「大丈夫大丈夫、ここ評判悪いし回転早いから」

 回転? 御室の言葉に以世は首を傾げます。

「仕事先とか、養子縁組みとか、住む場所とか紹介してんだよな御室」

「そうそう」

 錦と御室が世間話のようなノリで話し始めます。結構いろいろやってるんですね、ここの病院って。

「出てった奴らは今頃なにしてんだろうな」

「何もしてないんじゃないかなあー」

「水差すんじゃねえよ」

「だってここを頼るってとこから乞食発想じゃない。タダで寝床と飯にありつけるんだから。どんなに仕事斡旋したってやる気がなかったらすぐやめちゃうさ。人間ってそう簡単に変われないよ」

 そういった御室は普段のゆるそうな感じとは打って変わって厳しい瞳をしていました。でも、口は笑ったままです。なんだか以世は寒いものを感じて話題を変えました。

 では、評判が悪いというのは? 言ってから以世は変えた話題の内容がよくなかったと後悔しました。

「それがさあ」

 後悔した内容の割には御室は心底おかしそうな顔をすると、内緒話でもするみたいに身を屈めて間を溜めに溜めてから低い声で言いました。

「ここ、おばけがでるんだって」


「あら、帰るの?」

 以世はさっきと同じところでおばあちゃんに話しかけられました。ええ、用事は終わりましたし、バスもそろそろですし。

「また来て欲しいわー」

 ええ、また…。訳ありな人が集まっているのだとしたら、このおばあちゃんもなにかあったのでしょうか。手を振っておばあちゃんと別れると、以世は送迎バスを待つためにバス亭に向かいます。

「妙な所よ」

 あ! 六波羅! 今までどこに行っていたのでしょう。

「何、探検よ探検。ここは三つのの結界が張り巡らされていて自由にうろうろできなかったが、どうもおかしい…どうした? 以世」

 錦と御室から両親の話を聞きました。

「話したのかあやつら…。遠慮なしだな…」

 なんで話してくれな…いえ。

 自分のことを考えていてくれたのでしょうから、なぜとか、どうしてとか、もう聞きません。だから何があったのかきちんときかせてもらいたいです。以世は六波羅にそう伝えました。

「…話は明日だ。狩りに行くなら時が足りぬ」

 でもといってもだめでした。以世はバスと自転車でとぼとぼ家に帰りました。

 夕食のとき、壱世からの視線が痛くて仕方ありませんでしたが、やっとのことで無視して祖母に尋ねてみました。

 両親はどんな人だったのですか?

「どうしたのいきなり?」

 祖母にも壱世にも不思議そうな顔をされました。いえ、なんとなく…。

「…そうね、そろそろあの子達の命日だものね」

 祖母は納得してくれると懐かしそうに話し始めました。

「以千代は男勝りの勝ち気な子でね、壱世とそっくりだったわ」

「それたくさん聞いたよおばあちゃん」

 そう言いますが、壱世は嬉しそうです。

「弥生さんはちょっとぼんやりした方で、まじめな顔で面白いことばかり言っていたわよ。以世は弥生さん似かしらね」

 以世はぼんやりした覚えはありません。

「以千代は弥生さんのこと放っておけなかったのね。見てて少しはらはらする人だったから」

「まさに以世の父親だったぞ」

 どういう意味でしょう。

「そういえば、以吉さんの跡継ぎとして以千代が六波羅の当主になるというとき、大変だったわね」

 何かあったのでしょうか。

「女性当主というのが前代未聞だったからな。奴は別に構わなんだが、他の家がな…」

「私は会ったことはないんだけれど、以吉さんの知り合いが六波羅家と縁があるらしくてね、女の子の当主なんてって認めてくれなかったんですって。六波羅様の信仰って、広いのね」

 祖母の認識はちょっと違いますね…。そういえば祖母は六大呪家についてはなにもしらないようでした。祖父は祖母にそういったものを教えなかったのでしょうか。見えないから?

「んー、よく考えると、以千代が生まれたときから言われていたわね…」

「何言われたの?」

「そうねぇ…そのときはまだ親戚の六車さんって方々がいたんだけどね、そのおうちが色々とね。話しちゃおうかしら」

 是非知りたいです。以世がそういうと祖母はそう? とはにかみました。なにかいいことみたいです。

「おばあちゃんね、以千代を産んでから赤ちゃんがつくれなくなっちゃってね」

 いいことじゃありませんでした!

「分家の方とか以吉さんの知り合いとかはね、以吉さんに当主は男だけなんだから、もう子供が作れないなら離縁しろって口々に言ったのよ。離縁か、嫌ならお妾さんをつくれって。酷いでしょ」

 酷いどころか…なんですそれ、六大呪家関係者の言葉としか思えませんが、こういうのも日本の伝統的なアレなのでしょうか。よくないです!

「おばあちゃん悲しくてね、何度も泣いていたわ。でも産めなくなってしまったおばあちゃんが悪いんだしとその時は思ってね、それに以吉さんが好きだから…悔しいし悲しいけどお妾さん作ってくださいってね」

「言ったの?」

「言おうとしたけど言えなかったわ。だって私、あの人が好きなんだもの。誰かにとられるのはいやよ。それにおばあちゃんがもだもだしてる間に以吉さんがね、みんなの前でこう言ったのよ」

 祖母は嬉しそうに笑って言いました。

「自分の奥さんは後にも先にもふられてもこの人だけだから、浮気ができるはずはないって。周りの人は散々色々言っていたけれど、あの時は嬉しかったわ」

 意外と盛大なのろけ話でした!

「以吉もやたらもだもだしておったからな。奴がケツを思い切り蹴ってやったのだ」

 副音声がうざいです。

 祖母はしばらく嬉しそうにしていましたが、不意に寂しそうな表情でぽつりと呟きました。

「以吉さんたらどこにいったのかしらね」

 以世と壱世には何も答えられません。以世は壱世にどうしてくれんのよとでも言うように思い切りにらまれました。

「私に黙ってどこかに行っちゃうなんて、悪い人ね」

 祖母はどこかで諦めがついているようにも見えました。でも可能性があるなら信じて待っていたいと思う気持ちは以世にもよくわかりました。

「ごめんなさいね、お母さん達の話のはずだったのに。今日はおばあちゃんが食器片付けちゃうから、二人ともそのままにしておいていいからね」

 でもと双子が言っても祖母は聞きません。二人は食べ終わった食器をそのままにして部屋を後にしました。

「…以世、いきなりあんなことおばあちゃんに聞くなんて、やっぱりなにか…」

 あ、宿題忘れてました。以世は壱世に何か言われる前にさっさと部屋に引き上げます。不自然だったでしょうか…。

「まあ壱世なら怪しむであろうな」

 ですよねー。

 それから少したってから、以世は壱世に見つからないようにこっそり家を抜け出して駅前に向かいました。ちゃりちゃり自転車こぎなから考えます。以世は両親のことをほとんど覚えていません。ですから喰われたと言われてショックはショックでしたが、めらめら闘志が湧き上がるという感じではありません。

 でも妖怪さえいなければ、祖母が悲しい思いをしなくとも良かったかもしれません。大変な思いをさせないですんだかもしれません。以世達も、もっと幸せになれたでしょうか?

「以世、またあれらを前にして気をしっかり持っていられるか?」

 持ちます。持たせます。

「…無理はせぬようにな」

 大丈夫です。六波羅と鯉…六六鱗だっていますし。ドラゴンってすごく強そうですから安心です。

「ああ、あれならもう来ぬ」

 さらっと告げた六波羅の言葉に驚きすぎて間が空きました。それって一体どういう…呼べばくるって言ったじゃないですか!

「もう来ただろう。それにあれは元々送迎用だからな、戦闘には向かぬよ」

 送迎用? 送迎? 誰を? 意味がわかりませんけど!!

 じゃあ今日の狩りで以世にどうしろって言うのでしょうこの男は!

 丸腰! 丸腰なんですよ以世は!

「案ずるな以世、奴は偉大なる術師だと二つのも言っておったろう」

 六波羅は全然偉大そうに見えないからだめです。

「あんまりではないか!」

 つーん。

 六波羅にそっけない態度をとる以世ですが、急激に狩りが不安になってきました。

 …明日ちゃんと太陽がみられるといいんですがね。

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