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女と秘密の部屋と荊姫

モニターの一つが赤く点滅を始めた。

女が小さく舌打ちをし、対応するキーを叩く。


「なっ!?」


表示された内容に女の表情が凍りつく。

信じられないモノを見るかの様に幾度となく見返す。


慌てて通信端末を起動させるが、繋がるまでの時間ももどかしく感じる。


「どうした?『賢者の石』の最終調整はまだ終わってな・・・・・・」

「『眠り姫』に『(いばら)』が巻きついてる!!」


男の呑気な声を遮るように、一息で叫ぶ。


「!? どういう事だ!? 何があった!?」

「詳しい解析はまだ・・・・・・ただ、『荊』のレベルはSよ」


通信端末の向こうで息を飲む音が聞こえる。


「『魔法使い』のことは消した。だとしたら何だ? 他に影響のあるものは・・・・・・クソッ、もう少しだってのに・・・・・・」


普段と違う乱暴な呟き。考えをまとめようとする時の男の癖だ。


「『賢者の石』は使えないの?」

「使えなくはない・・・・・・が、今使えば『荊』も余計なログも残るぞ。どちらにせよ、ろくなことにはならないだろうな。」


話しながらも女の指が忙しなく動く。情報を解析し、一部を男の元へ送る。


「何かの原因で、古い記憶と新しい記憶が反発してるみたい。せっかく処置出来てたのに、今になってどうして・・・・・・?」

「対処は出来そうか?」

「混乱状態の『お姫様』はアタシには無理。『魔法使い』ならどうにか出来るかも。あるいは・・・・・・『ADAM』」


「そんなこと『ADAM』に頼めるかよ。クソッ・・・・・・『侍女』は何をしてたんだ!! ちゃんと見てなかったのかよ!?」

「八つ当たりしないでよ。あの子は何も知らない普通の子なんだし。知ってても何も出来ないわよ・・・・・・」


深いため息にも似た深呼吸がイヤホンから聞こえる。

少しだが、頭が冷えたらしい。


「とりあえず『賢者の石』の最終調整を急ぐ。最悪、『お姫様』の回収を頼む」

「・・・・・・一応、ギリギリまで待つわよ?『お姫様』が限界になるか、『世界』の崩壊か。どちらかがスタートした時点で回収作業を開始す・・・・・・!!」


解析結果に女の表情が再び凍りつく。

男に言うべきか、言わざるべきか。




『お姫様』に『ADAM』が接触している。




きっとこの解析もバレているだろう。

いや、こちらが解析出来たということは『ADAM』がわざとさせた可能性が高い。

『ADAM』ならログや揺らぎも残さず『お姫様』に接触出来るのに、こちらが気付くようなエラーを出している。


一体、何の為・・・・・・?


それより『お姫様』が気になる。

記憶の混乱のタイミングで『ADAM』が接触している事を考えると『ADAM』が何かを仕掛けた可能性が高い。


これは、アタシだけで処理出来る領分じゃない・・・・・・けど、相手の目的が分からない上、ここのあらゆる通信回線は『ADAM』に筒抜け。

迂闊に話すのも躊躇(ためら)われる。



《ADAM》はこの施設(システム)・・・・・・いや、世界そのものなのだから

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