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封筒の謎とさらに謎な中身


朝のホームルームの時間。

やっぱり空渡君がいない事に誰も気付いていないし、不審に思ってもいないらしい。


不自然に一つ空いた机やロッカー。

空渡君の前後だった草水(そうず)君も竹原君も疑問を感じてないみたい。



やっぱりこの世界から空渡君は消えてしまったのかな・・・・・・



でも、この封筒は多分空渡君が置いたんだと思う。

夢でも、『手紙を探せ』って言ってた・・・・・・あれ?


自分で靴箱に置いたモノを探せ?

変だ。すぐに見つかるはずのモノを探せだなんて。

もしかして、この封筒と手紙は別のモノなんだろうか・・・・・・




なかなか開けるタイミングのない封筒。


かなり気がひけるけれど、1時限目の英語の授業中に開ける決心をした。


普通に郵便受けに入ってそうな真っ白な封筒。

しっかり封がしてあって簡単には剥がれそうもない。

ペンケースからミニカッターを取り出し、封筒の端に当てて少しずつ刃を進める。

気付かれない様にゆっくりとゆっくりと・・・・・・


「あー・・・・・・萌黄、この問題の答えは?」


背筋に緊張が走る。大丈夫、バレた訳じゃない・・・・・・と思う。

チラッと黒板を見る。殴り書きで書かれた問題文。

今年定年になるこの先生の字はきた・・・・・・年季の入った個性的で読みにくい文字。

しかも、今日は特に読み取りにくい。


字の形を推測し、問題を頭の中で再構成。

多分、こうだと思うけど・・・・・・。


「 えっと・・・・・・Then the Queen hurriedly gave her people the order to start.」


「よし、良く聞いていたな。前回も説明したが・・・・・・」


良かった。正解みたい。

安心して、ミニカッターを手にして開封する。


封筒の中には・・・・・・あれ?何も入ってない?

手紙が入ってると思ってたのに・・・・・・からっぽ?


思いきって封筒を逆さにしてみた。



ペチン



机の上にちっちゃい何かが降ってきた。

ケータイとかに使うメモリーカード。

何でこれを?



疑問に思いながらも、授業の終了を待つ。

幸いにも当てられる事はもうなかった。



先生が退室した後、メモリーカードをケータイに入れてみる。

中に入っていたのは写真。

学校の行事の写真ばかり。体育祭や文化祭、修学旅行のもある。

そのどれにも私が写ってる。これ、空渡君のだよね?

空渡君のじゃなかったら、イヤだなぁ・・・・・・。


どうやら時間順に新しいのから古い方に並んでいるみたい。

うわ、一年生の時のキャンプの写真まである。懐かしいなぁ。

これは、入学式のだ。こんなのまであるんだ・・・・・・。


うちの学校、大天照(おおあまてる)学園高等部の正門のところで私とお父さんとお母さんが並んで写ってる。

制服のブレザーの型が整い過ぎてて、いかにも新入生って感じの・・・・・・










何で!?どうしてこの写真があるの!?












他の行事の写真なら、先生や学校専属のカメラマンの人

が撮るし、行事毎に写真のデータが販売されるから生徒や学校関係者なら簡単に買える。


でも、あの入学式の写真はお父さんのデジカメで撮ったから、家族以外が持ってる訳ない。


言い様のない恐怖の様なものが身体を支配する。

恐る恐る次の写真を見る。



!!!!!!!?



あり得ない・・・・・・あり得ない・・・・・・

何、この写真!?



さっきと同じような入学式の時の写真。

でも違う。あり得ない。



()()()()()()()()()()()()()()私が写っている。




知らない・・・・・・こんなの・・・・・・何コレ・・・・・・いつ!?

こんなの知らない・・・・・・ちがッ・・・・・・ここは・・・・・・でも・・・・・・そんな・・・・・・私?

違う・・・・・・私・・・・・・知って・・・・・・何でこれが・・・・・・



頭の中でガラスが割れるかの様に、ナニかがバラバラになってゆく。思考が上手く定まらない。


目の前に赤黒い(もや)がかかったようになる。


怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い


頭の中が恐怖でいっぱいになる。

何故かはわからないが、全身にまるで火傷の様な痛みを感じる。



思い出してはいけない・・・・・・知ってはいけない・・・・・・



誰かの、何かの(ささや)きの様なものがこだまする。

目の前がぼやける。息が上手く吸えない。




助けて・・・・・・助けて・・・・・・助けて・・・・・・たすけて・・・・・・タスケテ・・・・・・



上手く声が出ない。口が上手く開かない。



助けて・・・・・・あきちゃん・・・・・・助けて・・・・・・空渡君・・・・・・



「みれなん!? 大丈夫!? しっかりして!!」



あ・・・・・・あきちゃんが気付いてくれた・・・・・・?


頭がボーッとして、状況が把握出来ない。


「ちょっと、誰か手を貸し・・・・・・」


慌てるあきちゃんの声が聞こえたような気がしたけど、私の意識はゆっくりと薄れていった・・・・・・

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