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アークライセンス  作者: 植伊 蒼
第2部‐暴君、出現‐
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エピローグ Ark-Memory_2

 ここがどこなのか、俺には未だに分からない。

 ただ、歩かなければならないと思えた。

 理由も分からないままに、歩き続けなければならないのだと思えた。

 だけどきっと俺の足は、どう結論したって止まりはしないだろう。

 自分の意思とは関係なく動き続ける自分の足も、今となっては当たり前にさえ感じられる。

 空は夜だ。

 星の浮かぶ夜だ。

 青い色の月が、まぶしいほどの光を放っている。

 大地は夜だ。

 街灯が照らす夜だ。

 うねる砂の海が、それらの光を照り返している。

 真っ暗な世界の中で、砂漠の色は分からない。

 だから大地は最初、ただの黒だった。

 夜に目が慣れた俺の目には、今はそれ以外の色が見えていた。

 踏み締める砂の一粒一粒が空と地上の光を反射して、銀色に輝いていた。

 一面の黒に見えた天空のキャンバスは、濃紺と黒の絵の具を乱雑に塗りたくったようだった。

 空に浮かぶ星の数は、いつの間にか増えていた。

 赤い光を放つもの、青い光を放つもの、白い光を放つもの。

 それぞれが違う表情を見せる星達が、味気ない夜空を華やかに彩っている。

 いつしか地平線だけでなく、俺が踏み締める砂漠のうねりも見えるようになっていた。

 盛り上がり、盛り下がりを繰り返す砂でできた大地の海。

 風の無い砂漠はどこまでも静かで、そしてどこまでも見渡せる。

 濃紺だったはずの前方の地平線に、四角い黒が混じった。

 歩き続けると、それは少しずつ大きくなっていく。

 俺がそれが空の模様ではないことに気付いたのは、少し経ってからだった。

 歩を進めるたびに、ほんの少しずつ大きくなっていく四角い黒。

 歩いて、歩き続けて、いつしか青い街灯が近くに無くなっていた。

 だけど、足を止めようとはまるで思わなかった。

 行くべき先は既に見えていたから。

 四角い黒に、黄色い光が見えた。

 ポツリポツリと、何かを反射したのではない暖かい黄色。

 それだけを見て歩き続ける。

 砂漠の果ては、そこにあった。


 方舟は、そうしてまた夢を見る。

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