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アークライセンス  作者: 植伊 蒼
第4部‐彼方の瞳‐
108/259

4章『陽炎色の思い出』:7

「話が長い、これに尽きる」

「俺もそうは思うが、せいぜい1時間ぐらいだったろ。立ちっぱなしだったってわけでもないし、そもそもアスカお前始まって10分でもう寝てたろ」

「話が長いから寝たんだよこれは仕方ない」

「10分で終わるわけねーだろ! お前はいちいち時間の基準がおかしいんだよ」

「えー、遅刻のことも言ってる? だってどうせ先生も遅れてくるし、大体5分たたないと授業始まらないじゃん。無駄よ無駄無駄」

「やってることはただの遅刻なのに言ってることが正しく聞こえるうっぜー」

 体育館で行われた始業式もせいぜい1時間少々で終わって、教室へ帰る途中の廊下。飛鳥と伊達はそうしてグダグダ言っていた。伊達の文句の通り、飛鳥は始業式の間しっかりと睡眠をとっていたのだ。

 都合2回ほどの起立命令を船をこぎながら華麗にスルーし、校長その他のありがたいお言葉を一つ残らず夢の世界へ置き去りにしてきた飛鳥。

 そんなサボり魔が長いだ何だと文句を垂れるのだから、我慢して話を聞き流していた伊達としてはちょっとぐらい怒ってもいいかなとそんな気分だった。

 飛鳥は、後ろの方で何やら話をしているらしい隼斗と美倉を、横目でチラリと窺う。

「どうした?」

「んーにゃ」

 頭の後ろで手を組んだ飛鳥は、視線を前に戻しながら首を横に振った。

(面倒なんだよな、美倉は特に……)

 飛鳥自身、自分は嘘が下手な方だと自覚している。アーク絡みのことを誤魔化す度に、美倉の疑いが深くなっている感覚はあった。

 最初に飛鳥がアストラルに乗った時にそれを見ている以上、彼女が疑念を持つのはある種当たり前だ。だが飛鳥としても研究を水面下で行いたいという東洞グループ全体の考えは理解できるし、可能な限りアークには近付いてほしくはない。

 隼斗ぐらい上手に嘘をつければそれなりのごまかしも効くのだろうが、無い物ねだりも仕方がない。

 飛鳥は組んでいた手を下ろすと、何でもないことのように言う。

「なんか俺の後ろ、空席だったろ? あれ何なんだろうってな」

「え? なんだそりゃ?」

「見てないのかよ。黒板に席の配置書いてたじゃんか、俺の後ろがなんか空欄だったんだよ。どういうことなんだろうって考えてたんだ」

「へー、そうだったのか。でもどうせ先生がミスったとかそんなんだろ」

「飛騨がそんな意味不明なミスするかねぇ」

 飛騨というのは、飛鳥達の数学教師で、クラスの担任でもある飛騨弾一ヒダダンイチのことだ。比較的若い者の多い星印学園の中でもかなり若い教師で、大学を出たばかりのようにも見える。一見少しチャラい感じだが、教え方自体はかなりうまい方で、年齢が近いこともあってか生徒からも信頼されている。しかしながら、やや馴れ馴れしいというか、距離感が妙に近いため飛鳥は彼を苦手に思っている。

「そういや夏休み開けたんだから飛騨とも顔合わせなきゃならないんだよなー。あーめんどくせ!」

「お前ホントあの先生のこと嫌いだよな」

「あのベタベタした感じがどうも受け付けないんだよなぁ。生理的にっつーか」

 おおよそ教師に対するものとは思えない失礼な評価をしながら、前をぞろぞろ歩く生徒達に続いて教室に入った。途端にあちらこちらの席にたむろし始める他の生徒を横目に、飛鳥はスタスタと自分の席へ歩いていく。

 ついて来た伊達が、椅子に腰かける飛鳥の机に手をつくと、ふと視線を黒板の方に向けた。

「あ、ほんとだ。空欄になってるな」

「だろ? まぁ何でも良いけどさ」

 言うだけ言っておいて、早々に面倒くさくなった飛鳥は自分の疑問もそんな言葉で片付けた。

 飛鳥の一つ後方、その列の一番後ろの席はやはり空席だった。夏休み明けな上、何故か勝手に席を名前銃にされていたので、他の生徒の机も荷物がかかっていたりしないため特に目立つこともない。

「そういやアスカ、前言ってたVRの格闘ゲームやったか?」

「前って、その話したの相当前じゃないか? まぁ一応やったけど、やっぱゲーム的には微妙だったじゃん」

「だよなー、俺も最初は面白かったけどやっぱすぐに飽きたわ」

「まだまだ一発芸の領域だな、ありゃ。そもそもVRでゲームってのにノウハウが無いんだろ、ある程度体裁は整ってるけどゲーム自体がつまらないんじゃ――――」

 そう話したところで、教室の前の扉が勢いよく開かれた。

「っと……」

 話をしていた伊達が踵を返して席に戻る中、友達の机に集まって駄弁っていた他の生徒たちも次々に自分の席へと戻って行く。

 席につけだ何だと言われないうちに行動する辺り、やはりこの学校の生徒は比較的真面目な部類だ。

 ややざわつきはあるものの随分静かになった教室をぐるりと見渡して、出席簿を教卓に置いた飛騨が口を開いた。

「よーっし、静かにー。……はいじゃあ出席確認するぞ。欠席してる奴挙手しろー」

「……できるわけねぇだろ」

 頬杖をついて小声で吐き捨てた飛鳥。途端、都合のいい時だけ地獄耳男、飛騨の目がきらりと光った。

「お? どうした星野、欠席か?」

「アンタの目には何が見えてんだよ!」

 机にガツンと拳を叩きつけて飛鳥は怒鳴るが、教室中からどっと笑いが出てしまっては文句を続ける気にもならない。上げかけた腰を下ろして、腕を組んだ飛鳥はふんと鼻で息を吐いた。

 もう一度教室全体を見渡して、飛騨は電子化された出席簿にチェックをつけた。

「うん、長期休暇明けからさっそくサボってる奴とか遅刻してくる奴とかいなくてよかったよかった。なぁ星野!」

「もういちいち俺に振るんじゃねぇよ今日遅刻してないだろ!」

 飛鳥は毎週月曜の朝のショートホームルームと、あとは1時間目にあたっている数学の授業も何度か遅刻をしている。

 そこは反省すべきところだが、だからといってクラス全員の前で何度も狙い打ちされていては吠えたくもなる。もはや教師に対する言葉づかいではないが、ニヤニヤと笑みを浮かべる飛騨は気にした様子もない。

 こういうところが、飛鳥が飛騨を苦手にしている理由だった。

 流石に相手をしているのが面倒になって、飛鳥は視線を逸らすとそのまま無視を決め込んだ。

 飛騨は肩をすくめると、出席簿を閉じて視線を前に向けた。

「じゃあいくつか連絡事項があるから、とりあえずそれをするぞ。皆分かってると思うが、今日は4時限目以降は普通に授業がある。……まぁ午後からでいいだろうとは思うんだが、そういうことになってるからな。ちなみに俺も若干授業しんどい」

 生徒目線の発言にクラスからぽつぽつと笑いが漏れる。

 これで教師の怠慢だ何だと言われないのは、飛騨自身の授業の質の高さに依るのだろう。

「というわけでこのホームルームは3時限目終了までに終わらせる。ただちょっと始業式自体が押してたから、終わってもギリギリだな」

 そんな無駄話をするならさっさと言うことだけ言えば良いのに、と心の中で毒づく飛鳥。

「さて、だ。もろもろ連絡はあるんだが、その前にちょっと言っておかなきゃならないことがある」

 飛騨は教卓に両手をつくと、やや真剣な声音に切り替える。右手をすっと持ち上げて、飛鳥の、いやその後方を指さした。

 生徒の視線がそちらに集められる中、飛騨は続ける。

「そこの空席、いい加減気になっている人もいると思う。あんまり引っ張っても仕方ないから結論から言うと、なんと今日からこのクラスに転入生がやってきます!」

 適当な様子で声のトーンだけ上げた飛騨の言葉に、教室にざわめきが生まれる。

「転入生……?」

 しかし、高校1年の夏休み明けというかなり半端な時期の話に、飛鳥は訝しげに眉を寄せる。時期的にはかなり不自然だが、なにやら引っかかるものがある。

 首を傾げる飛鳥を含めて、生徒たちの反応が芳しくなかったからか、飛騨はチラッと教室の扉に視線を向けると、こんなことを言った。

「ああ。喜べ男子、転入生は女子だぞ」

 ざわ……が、ざわわ……ぐらいになり、それでやっと飛騨が満足げにうなずいた。

 どんな子なんだろうとか、それに類する言葉があちこちで飛び交う中、飛騨が教室の前の扉の方を向いた。

「よーし、じゃあ入ってきていいぞー!」

 その言葉と共に、教室のスライドドアが音を立てて開かれた。

 カツン、と床を叩く上履きの音。

「っ!」

 明るい茶髪のポニーテールを揺らしながら現れた美少女に、教室は静寂に包まれる。

 スッと閉じていた瞼を開いた、彼女の名は――――


「本郷泉美です。よろしくお願いします」


 彼女はそれだけ言って頭を下げると、すぐに顔を上げた。

「なっ――――」

 途端に、教室の中でひときわ大きなざわめきが息を吹き返す。クラスの中で見ても、間違いなくトップレベルの容姿をもつ泉美だ。特に男子にはそれなり以上のインパクトがあったらしい。

 あちらこちらでひそめるでもない声が飛び交う中、飛鳥は上げかけていた腰を必死に押しとどめていた。

(そう、だ。こっちに来たってことは、普通に学校にだって来るってことだろ。アーク関係の人間はここに集中してんだから、何もおかしいことじゃない。……落ち着け)

 飛鳥は思わず声をあげそうになるも、なんとか状況を整理する事でそれを防ぐ。

 どういうリアクションをとればいいのか、飛鳥自身理解できていなかったからだ。

「んー、まぁ時間も押してるし、詳しいことは休み時間にでも聞いてくれ。じゃあ本郷、お前の席はそこ、星野って奴の後ろの空き席だ」

「わかりました」

 泉美は短く答えると、背筋をまっすぐ伸ばして机の間をゆっくりと歩いていく。

 目を開けた飛鳥の視線と、歩く泉美の視線がぶつかる。

 スタスタと。スタスタ、と。

 視線だけが交わされて、しかし言葉もなく二人はすれ違う。

「……………………」

 泉美は無言で飛鳥の後ろである自分の席につくと、鞄を横に引っ掛けた。

 教室全体の視線が自分の方向に向くのを感じて、飛鳥は居心地悪さに顔を伏せる。

 好奇の視線にさらされながらも、泉美は一貫して黒板に目を向けたままだった。

「はいはい、話続けるぞー!」

 その飛騨の言葉をきっかけに、集まっていた視線は前に戻る。

 顔を上げた飛鳥は、肩越しに後ろの少女に視線を送った。

(泉美……)

 飛鳥の集中など放っておいて、飛騨の長い説明は続く。



「じゃあこれでホームルームは終わりだ。次の授業の準備をして待っておくように」

 話を終えた飛騨はそれだけ言うと、号令も取らずにそうそうに教室から出て行ってしまう。3時限目が終わる少し前だった。

 途端にクラスメイトの何割かが勢いよく、泉美の席の近くへと駆け寄ってきた。

「こんな時期に転入なんてどうしたの?」やら「前の学校ってどこだったの?」やら「どこに住んでるの?」だとかごちゃごちゃした質問を一斉に投げかけられる。

 クラスに転入生が来た、という時のある意味で典型的なパターンだが、当の転入生である泉美の態度が、その典型とは異なっていた。

 泉美はチラリと全員の顔に目を通すと、ため息一つをついて席を立った。

「どうしたの?」

「……なんでもいいでしょ」

「えっ、本郷さん?」

 その場にいた女子が戸惑った様子で呼びかけたが、泉美はまるで聞こえていないかのように歩をゆるめることはなかった。

 そのまま無愛想に何も言わずに歩いていくと、あと10分少々で次の授業が開始されるにも関わらず教室から出て行ってしまった。

「…………」

 その背中を、飛鳥もまた無言で見送った。

 突然放置を食らった生徒たちが、後ろで戸惑った様子を見せている。その中で、ふとこんな言葉が聞こえた。

「なにあれ、カンジ悪い」

「だよね」

 集まっていた生徒の内の一部の女子の言葉だろうが、あからさまに気分を害されたという様子だった。

 飛鳥は軽く息を吐くと、彼自身もまたざわつく教室を後にしようとしたが、いつの間にかその場にいた伊達に肩を掴まれた。

「アスカ、どこ行くんだよ。もう授業始まるぞ」

 飛鳥は一瞬その場で立ち止まると、肩に乗せられた伊達の手を軽く外した。

「次が最初の授業だからな」

「それ寝坊は理由にできねぇぞ」

「最近先生みんな言い訳真に受けてくれないからどっちでもいいよ」

 飛鳥は適当に言って、視線を向けることすらなく教室を離れた。

 彼女がどこへ行ったのか、どういうわけか直感がそれを知っているような気がしていた。

 ポケットに親指を引っ掛けて、肩で風を切って歩く。廊下を突っ切りいくつかの教室の前を通り過ぎて、差し掛かった階段を一番上まで上った先に、立ち塞がるドアを押しあけた。

 微かな熱気を孕んだ空気が扉の向こうからなだれ込んでくるのを押し切って、校舎の屋上に足をつけた。

 眩しい陽光に顔をしかめて、手で日除けを作った飛鳥は、前方にいたライトブラウンのポニーテールを見とめた。

 屋上の柵にもたれかかった彼女は、誰もいないグラウンドを見下ろしていた。

「何やってんだよ、お前」

「……あぁ、アスカ」

 ゆっくりと振り返った泉美は、そこにいたのが飛鳥であることを理解すると、脱力した様子で柵に背中を預けた。

 気だるげな様子で近付いてくる飛鳥に、泉美はやや力の抜けた視線を向けた。

「で、あんたどうしたわけ?」

「そりゃこっちのセリフだよ。いきなりあんな態度取られてさ、みんな戸惑うだろ」

「……そ」

 手前2メートルで立ち止まった飛鳥の言葉に、泉美はかすかな声でそう答えただけだった。

 視線を逸らした泉美は、おもむろに閉ざしていた口を開いた。

「慣れないのよ」

 呟くような言葉に、飛鳥は泉美を見つめ直す。

 彼女はもたれかかった柵の向こうを肩越しに眺めながら、ひとり言のように言葉を続けた。

「ずっと向こうにいたからさ、出会う人間はみんな私を兵器かその延長にしか見ないような世界だったの。……正直な話、私はここの研究所の人間も、当然この国の政府関係者の事だって根本的には信用できない」

「で、ウチのクラスの連中にまでその戯言当てはめるつもりか?」

「ねぇ、アスカはアークのライセンス所有者でしょ。あたしもそう」

「それがどうした」

「そんなのが当たり前に学校で勉強なんてしてる国なのよここは。……あんた、それが普通だと本気で思ってる?」

「っ」

 彼女は軍の強力な兵器を操れる唯一の人間として、あたかも彼女自身も兵器であるかのように扱われてきた。

 だが彼女にとってはそれが普通だったのだろう。逆に言えば、こうして表向きだけでも一般人である飛鳥達のほうが異常だった。そしてそんな人間が一般人として生活をしているのなら、彼らのクラスメイトの中に裏では一般とは呼べないような人間がいる可能性だってある。

 その想像を、飛鳥は頭を振ってかき消した。

「だったらお前には、この国がそうやって人を兵器として見るような国に思えるのか」

「そうは思わないわ。でも、思いたくないだけでもあるの。ここはあたしの故郷だから」

 憤りをにじませた飛鳥の言葉を、泉美は静かにそう断じた。

 感情の乗らない瞳が、微かな暖かさをのぞかせた。

「ネットぐらいならさ、なんとかこっちの様子も分かるわけよ。……いいわよね、すごく平和」

「…………」

「でもあたしはそっちじゃない。もっともっと、どうしようもないところにいたの。それに慣れてるの」

「…………」

「そして、あたしにとってはそれが普通だった…………」

 言葉が途切れる。

 彼女との最後の記憶。7年前の彼女の涙が、笑顔が、陽炎の奥へと消えていく感覚。

「お前、そんな奴じゃなかっただろ……」

「そんな奴ってどんな奴よ。一体何年経ったと思ってるの?」

 両者を分かつ2メートルは、互いに踏み出せば届く距離。

 だがそこに隔たる7年の歳月が、互いの理解を決定的に妨げていた。

「それにあんただって、あの日とは全然違うじゃない」

「全然って、俺はそんな……」

「嘘よ。だってあの日のあんたは、アークのパイロットなんかじゃなかったじゃない」

「っ、それは……」

「あたしだってそう、変わったわよ。ずっとあの日と同じじゃいられなかったのよ!」

 理由の見えない泉美の怒りに、飛鳥は思わず歯を食いしばった。

「でも、変わっても……それでも俺はあの日の自分を覚えてる!」

「それをどうやって信じろっていうの? あんたはもう、あたしの知ってるあんたじゃない! あんたの言葉を信じる根拠が、今のあたしには無いのよ」

「泉美……」

 彼女の心を救うためにと、最後まで立ち向かった一人の少年がいた。

 でもそれさえも、忘れないと誓った7年の果てに彼女の前に兵器として現れた。

 彼も、彼女も、もう全て変わってしまっていた。

「居場所さえ奪われて、帰る場所と信じていたものまで、あたしは…………」

 両肩を抱きしめた泉美は、瞳に不安の色を浮かべ、かすれた声で言う。

「あんたが何を考えてるのか、あたしにはわからない。……それが理由じゃダメなの?」

「…………」



 言葉を失った飛鳥と、かけて行った泉美がすれ違う。

 二人は視線を交わすことすらしない。

 一方にはその勇気が無く。

 もう一方にはその資格が無かった。

 屋上の扉が閉じられる重い音が鳴っても、授業の開始を告げるチャイムの音が響いても、飛鳥は立ちすくんだまま。

 やがて訪れた静寂の中で、彼は強く拳を握りしめた。

「…………ない」

 それは一つの誓い。

「……次は絶対、失敗しない」

 全て変わってしまったとしても、変わらない想いがそこにあるのならば。

 いつか果たせなかった約束を、変わることのできた自分の力で果たして見せると。

 その決意を、彼はもう一度口にする。


「今度こそ、必ずお前を救ってみせる」


 いつか約束を守れなかった一人の少年は、7年の時を経てなお、愚かなまでにヒーローであることを望んでいた。

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