白狼と血焔花
冷たい真冬の風が吹き抜けた。刺さるような冷たさの北風が吹き抜けた。
大陸全土は戦争に陥り、もう何年間も戦いの日々が続いていた。
そんな中、紅く染まる丘があったという。長い闘いの中で忘れ去られた丘だった。人々はその丘を血染めの丘と呼んでいた。
血染めの丘には「血焔花」と呼ばれる血のように紅い美しい花が咲くという。血焔花を煎じて飲めばどんな不治の病も治るという。しかし、血焔花を摘みに向かった人々が帰ってくることはなかった。どんな屈強な戦士が向かっても帰ってくることはなく、魔物が守護していると噂し始めた。
そんな中、ある国の騎士団が敗戦し、国へ撤退する途中に偶然にも血染めの丘通ったという。
そこには血まみれになった白髪の若い剣士が血染めの丘にある紅い切り株に腰かけてほほ笑んだ姿で永眠していたという。




