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第5話

今日のジャクリーンは金髪の髪を結いあげて、アッテン帝国流行のドレスを着ている。


この国のドレスはウエストを細く絞り腰から裾まで鐘のように広がったドレスなのだが、アッテン帝国のドレスは裾に近くなるほど広がるドレスで、広がりは好みで変えられる。


また我が国のドレスは、スカートの中を針金で膨らましているから、動きにくいという欠点がある。


それでも優雅に踊り、歩くのが淑女と言われているが、ドレスが重たいため重労働でもあった。


それを解消したのがアッテン帝国のドレス。


針金の入っていないか、もしくは一部だけ針金が入っているアンダースカートをはいて、ドレスのふくらみを出していた。


私もジャクリーンと一緒にアッテン帝国のドレスを着ているが、我が国のドレスよりも本当に軽くて動きやすい。


だからすごく気に入っているので、宣伝して我が国のドレスを変えていきたいと思っている。



「お姉様、重要取引先の方がいたからご挨拶してくるわね」


「そう、2人とも行ってらっしゃい」


「フェリシア、ひとりで大丈夫か?」


「アレックス、大丈夫よ。知り合いもいるからそちらに行くわ」


私はエリーザがいるグループに扇子を向けてしめす。



「そうか、フェリシア、挨拶が終わったら迎えに行くからダンスを踊ろう」


「ありがとう。いつも気を使って貰って申し訳ないわ」


「そんなことない。踊りたいから踊るのだ。だから最初は私と踊ってくれ」


「くすっ、本当にアレックスは律儀よね。わたくしはあちらに居るから、またあとでね」


私はエリーザが談笑している場所に2人と別れて向かっていった。




隣にいるジャクリーンから「ヘタレ」とつぶやかれた。


「マジャクリーン、毎回毎回言うなよ。これでも必死にアプローチしているのだ」


「さっさと好きだ、結婚してくれと言えばいいでしょう」


「振られたらどうするのだ。これからも顔を合わせないといけないのに」


「だからヘタレだと言っているのよ。こんなにお膳立てしてあげて5年になるのに進展しないなんて!!」




「エリーザ」


「あら、フェリシア。その衣装もアッテン帝国のドレス?」


私が声をかけると気づいたエリーザは、私のドレスを目線だけ動かして上から下まで見ていった。


「そうよ、前回のお茶会の服とは生地の織り方が違うらしいけれど、涼しくなる特殊素材は織り込まれているわ。レースを組み合わせたのだけれどいいでしょう?」


「そうね、しかも動きやすそうだわ」


「えぇ、そうよ。アッテン帝国ではみなこのスタイルのドレスに変わったそうよ」


私はエリーザが談笑していたグループの輪に入っておしゃべりを楽しんでいた。




「まぁ、ジャクリーン様ったら、毎回違う殿方たちに囲まれて、楽しく過ごされていらっしゃるようだこと」


私に近づきわざと聞こえるよう言うグループがそばに来た。


顔を見てため息をつきたくなった。


また、おめーかよ。毎回なんで絡んでくるのかなぁー。


お茶会で絡んできたアリーサ様とその取り巻き一派だ。



「本当に、毎回違う殿方たちとなんてはしたないわ」


「わたくしたちはとても真似などできませんわ」


アリーサ様の取り巻きが私に聞こえるように嫌味をいっていた。


こうなったら、取り巻きから片づけるか。



「まぁ、お褒めにあずかり光栄ですこと」


私の言葉を聞いて取り巻きが扇で顔を隠し、眉を顰める。


「ジャクリーンは、仕事柄他国の方々とは、その国の言葉で取引したいと、我が国の周辺国の言葉、すべてマスターしましたの。ですから忘れないようにするために、他国の方とその国の言葉で会話していますのよ」


「周辺国の言葉をすべてマスターしている?」


そうすべて、4か国語だ。


「マリエッタ様の婚約者様は、外交官をされていらっしゃいますから詳しいのではなくて?」


「・・・・」


「特にアッテン帝国では共通語だけで会話する外国人は、本気で親善に来ていないとみなされるそうですわ。マリエッタ様も結婚されたら、同伴されることもあると思いますから大変ですわよね」


共通語だけしか喋れなかったら、あんた笑い者だよと、親切にも教えてあげているのだから感謝しな。



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