第7話 お前らもかよ!
山田たちの企てを未然に防いだオレは、現状をクラス委員長に訴えた。
「みんな聞いてくれ。七海から訴えがあったため、今日のLHRは学級会議に変更する」
教壇に立つのは、メガネを掛けているという理由だけで委員長になった男だ。だが、役職が人を変えるのか、最近は委員長っぽさが増してきている。
「七海の訴えとは、6班のメンバーが罰ゲームをダシにして自分に女装させようとしているというものだ。罰ゲームの延長とはいえ、今まで七海に辛い思いをさせてしまった……。そしてこの問題はクラス全体の責任だと俺は考えている。異論のある者はいるか?」
静まり返る教室、みんな黙って続くであろう委員長の言葉を待っている。
「俺たちのクラスは他のクラスと比べて仲が良くまとまりがある。どんな困難もみんなで力を合わせれば解決できないことは何ひとつない。そして大切なのはワンフォーオール、オールフォーワンの精神だ。だから七海だけに辛い思いをさせる訳にはいかない。そこで俺は提案する。来週からはクラス全員で女装しようじゃないか!」
「なんの解決にもなってねぇ!」
声を上げて立ち上がったオレの方を向いた委員長は、メガネのブリッジを中指でクイッと押し上げる。
「七海、お前は重大な勘違いをしているぞ」
「勘違い……、だと?」
「七海の女装が観たいと思っているのが山田たちだけだと、いつから錯覚していた?」
「お前らもかよ!」