第3話 山田の叫び声がトイレに響いた
今週もうちの班が負けた。
罰ゲームはもはやおなじみになった女装だ。
「なあ、もう女装するの止めないか? みんなの反応もいまいちだしさ、さすがに罰ゲームを変えたって文句言わないだろ」オレは言った。
「いや、今週もこれでいく」と山田は言い切った。
「なんでそんなにこだわるんだよ?」
オレは山田が、いや、他の班員も意固地になっている気がした。
どうしても女装するんだという強い意志さえ感じるのだ。
もしかしたら……。
オレは思った。
「ま、まさか……。お前ら女装したいのか? もしかして女装したいがために毎回わざとゲームに負けているんじゃ……」
「冗談じゃねえ!」
山田の叫び声がトイレに響いた。
オレたちは毎週トイレで女装している。
トイレの鏡に女装した班員が映っている。シュールな絵面だが、山田の顔を真剣だった。
「誰が好き好んで女装なんかするかよ! 俺が女装したってただキモいだけだろ!」
キレた山田の剣幕に思わず息を呑んだ俺は、「す、すまん……」と謝罪の言葉を口にしてた。
「俺たちはただ七海の女装した姿が見たいだけなんだ!」
「そっちの方がキモいわっ!」
衝撃の告白にオレは女装姿で叫んでいた。