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ハロー・イヴ

ハロー・イヴ 昔日の烙印 かつての希望と夢の花

作者: 徘徊猫

 思い描いた世界を固定化するのは困難だ。

 デザインボードでも書ければ良いのだが、あいにくと落ち着いて形にする能力を持ててない。

 秩序とは守るべき民に平和と安寧をもたらすことができる。故に、私は守らなければならない。それが使命だから、例え私に選択の権利がなくとも、己の身も守ることのできない民を守るために。

 「いわゆる常識とは秩序のことであり、変化とは対極のもの。人は心地よい刺激を求めても痛みは嫌う。時代による変化は抗い難いもので、せめて人々が選択できるよう時間を稼ぐことしかできない。そのためには常識を知らなければならないと、でも常識に含まれる知識は非常に多く、幾年もの歳月を経て修めたとしても、すぐに次の常識が生まれている。なら、上限を決めなければ非効率よね」

 「エレナは難しいことを考えるのね! 私にはよく分からないけど、あなたが知りたいことを好きなように選べばいいと思うわ。だって、そのほうが楽でしょ」

 私は手に載せた本の文字を指で追い、木陰の隣で寝転がる双子の姉は近くに生えた雑草の房を手で弄ぶ。

 「そういえばうちの世話係が面白くてね、いつも可愛い飾りをこっそりと忍ばせているの。エレナは何か好きなものはある?」

 好き、とはなんだろうか。愛とは違うのだろうか。好みというからには、自分の関心が向いている範囲と捉えれば良いのか。

 「みんな」

 「それはそうね? うーん、もっと個人的なことを聞いたつもりだったんだけど」

 「花とか?」

 「エレナはもう少し自分を着飾ることを覚えなさい。こんなに可愛いのに、そんな素朴な服を身に着けて……もったいない」

 「どうすればいいの?」

 「そうだ、髪を結ってあげる。これで少しはましになるでしょ。むー、私と一緒になっちゃうな。どうせなら別々のほうが可愛いのに」

 「なんで私と並べることが可愛いと繋がるの?」

 「身長は同じだけど、やっぱりエレナの方が綺麗な目をしてる。だから、それを活かしたら二人並んだときのまとまりが生まれるのよね。それが芸術的? だから」

 「なら、好きにして」

 むむむ、と髪をいじり唸る姉と静かに本を読む私。似た容姿、同じ血を引いてるはずなのにここまで差異を見せるのは環境故だろうか。巷では姉妹は関係が上手く行かないそうだが、私達との間にわだかまりはなかった。

 「……アリーゼはこういうことが好きなの?」

 「そうかもね。私はただ人と交流するよりも、着飾った姿で人と話すのが好きなの。だって、良いものを見るといい気分になるから。目の保養? というやつらしいわ」

 「アリーゼには夢がある?」

 「もちろん! だって、やりたいことがいっぱいあるもの。例えば、祭りの主役にもなってみたいし、舞踏会とかいう外の行事にも参加してみたい。だって、大手を振って外でドレスを着れる機会なんて早々ないだろうから。エレナはどう? なにかある?」

 「ないよ。なにも、私のやりたいことは。私はただ使命を果たしたいから。そのためには切り捨てなければならないものはたくさんある。人は子供に無限の可能性を幻視するけど、実際のところは環境による資源の限界までしか可能性を広げることはできない。いうなれば有限の無限。自然数が無限には辿り着けないように、可能性の許容には限度がある。文明の発展によって拡大し得るけど、人が一度になし得るのはひとつだけ。私の人生は全て使命に費やさなければならない」

 「それは少し残念だね。お姉ちゃんは妹を毎日祭りに連れて振り回したかったけど、そうもいかないようだ。辛くなったら言ってね、双子だし、いざとなれば暫くなら入れ替われると思うから」

 「大丈夫だよ、お姉ちゃん。私はみんなを愛してるから」

 「知ってる。だから、譲りたくない。少し悲しいかな、妹はこんなにも早く成長していく。本当はもっと自分のために生きてほしかったけど、それがエレナの人生なんだね。たとえその愛に応えられなくても、虚しさに心を囚われても、君の愛しい心は傷をつけながら生きていく。でも、約束してよ。いつか一緒に祭りに行こう。エレナが恥じることなく楽しめるように手配するからさ」

 「そう、それはきっと楽しいんだろうね」

 夢の花、現実では既に枯れてなくなってしまった。時を刻み、背が伸びていこうとも心の中で永遠に咲き誇る。少なくとも、私の人生の内では。


 「幸福の石、それは痛みを和らげてくれるが欠けた石は心を満たしてくれない。支配の時代は終わり、模索の時代が始まった。神に縋るのではなく神を究明する。いずれ至るであろう楽園に向けて、今はただ足を進めなければ。安息を迎えるその日まで心を稼働し続けよう」

 運命からは逃れられない。ただ悲劇的な結末だとしても、私はただ光だけを目指せば良い。

 小説家になろうの皆様、お久しぶりです。

 正直、小説を書き切れぬ弱者ではございますが、此度の物語が貴方の心を少しでも動かせたなら幸いです。


 今回の目的は現在構想中の物語を書き留めておくためのものです。どうしても導入に躓いています。

 理由は簡単で、その背景が浮ついているから。

 このように最低限の設定を着実に進行できたら良いなと考えております。では、さらば

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