表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/43

第七話 鳴かない蛙




 お母さんお父さん。

 いや。母上、父上。

 申し訳ございません。

 俺は。俺は、

 蛙に変えられました。

 しかも鳴かない蛙です。

 そなたら煩い暫くおとなしくしておれ。

 だそうです。

 自分では気づいていませんでしたが、俺はギャーギャーギャーギャー叫んでいたそうです。

 はは。

 通りで喉が痛いなーって思っていたんですよ。

 嘘です。

 逃げる事と竹職人と魔女の声の聞こえない振りに必死で他の感覚は遮断していたので感じていませんでした。

 はは。

 情けない話です。

 この国で一番強い剣士、あの方に憧れて、俺も何とかかんとか剣士になれたっていうのに。

 かあ、母上と父上にあんなに。あんなに応援してもらったのに。

 行き着いた先は、蛙。

 最初は下っ端でも、最終的には中盤になるはずだったのに。

 蛙。

 しかも鳴かない蛙。

 あなたに憧れて剣士になりました。

 そう、少し。少しでも胸を張って、あの方の前に立って、そう言える日を夢見ていたのに。

 蛙。

 いえ。蛙を否定しているわけではありません。

 蛙も素晴らしい生き物です。

 いえ。絶滅危惧種って事しか知りませんけど。

 あとは、げこげことの鳴き声と、虫が大好物。虫。お虫だったかな。お花だったかな。お葉だったかな。お魚だったかな。それとも何も食べないで呼吸するだけで生きていけたのかなどうだったかなどうだったでしょう。






「おい、原符。こやつ、大丈夫か?」

「………」

「おいこら何を黙ってんだ返事くらいしろ」

「………」

「あ。そうであった。われが黙らせておったんだった」

「………」











(2022.9.28)



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ