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第三十話 疑問




 竹への想いに血肉が通った竹葉はしかし、だからと言ってすぐに秘密の竹林への道が拓かれたかと問われればそうでもなく、睡眠を取ったのちすすす葉を朝食にして森をあてもなく歩き回っていた。


(天勝剣士の竹笛を直す。うん。竹の刃は。想像できないしな。竹笛を目標にした方が竹職人に一歩近づくような気がするし。そもそも竹の刃ってどんな形状だったんだろう?)


 竹の刃。

 水の刃、金の刃、火の刃、木の刃、土の刃では歯が立たなかった隕石を破壊し、また、隕石によって変貌した死の大地を蘇らせた幻の刃。

 数十年前は。

 けれど今では水の刃、金の刃、火の刃、木の刃、土の刃でも隕石は破壊できるようになり、竹の刃の作り手も一人だけになったので、竹の刃は忘れられていく一方だと先輩剣士に話を聞いていたが、ならば何故、今、魔女は竹の刃を必要としていたのか。

 何故、持ち帰って来いと命じられたのか。


(でも、原符さんは言っていたよな。国王や魔女に創れって重圧をかけられていたって。ってことは、広く知られていないだけで、いつか必要な時に向けて、たくさん保管されている、とか。でも剣だけあっても使い手が居ないと。いや。竹職人じゃないと竹の刃は扱えないんだったっけ?じゃあ、そもそも竹職人って剣士と二足の草鞋を履いていた、のかな)


 足を止めずに腕を組んでうんうん考えていた竹葉は不意に立ち止まり、素早く周囲を警戒して見渡した。

 叫び声が、聞こえるのだ。

 微かに。そして少しずつ近づいている。

 どこから。

 神経を尖らせては声が聞こえる方向を捉えた竹葉が空を見上げると。


「あああああ助けなくていいですー!!!」


 慌てふためく声とは裏腹に、手を合わせて直立不動真顔を貫く中年男性が身体中に彩り豊かな花びらをくっつけて空から落っこちて来ていました。


「いいいいいやあああああぁぁぁ!!!」











(2022.10.13)



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