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第二十三話 冷たくなる耳




 竹葉は逃げていた。

 幾筋も幾筋も意識して出した涙が両耳の穴を横切る。

 耳が冷たくなっても、まだまだ涙は流れ続ける。

 本来なら逃げるなどありえない。

 緩んだ身体でその場に立ち止まって、優しく迎え入れている。

 が。

 今はできない。

 逃げるしかないのだ。

 何故なら。


「たらふくなんて贅沢は言わねえよ。おいらに竹を少しだけほんの少しだけ食べさせてほしいだけなんだ!」


 涙声が聞こえるのは気のせいだよね気のせいだよ誰か気のせいだって言って。


「おめさまの叫び声を聞いて確信したんだ。おめさまなら絶対おいらを秘密の竹林まで連れて行ってくれるって。ぐずっ。おいらの夢を叶えてくれるって」


 涙声が聞こえるのは気のせいだよね気のせいだよ誰か気のせいだって言って。


「おめさまがまだ秘密の竹林を探し出せてないって知っているし、竹が必要なのに竹を食べようとしているおいらを連れて行けないってのは。ぐずっ。わかってっけど。ぐずっ。い、要らない部分だけで。ぐずっ。いいんだ。その一回だけで。おいらはばっちゃんに。胸を張って。満面の笑顔で。竹の感想を伝えられる。不味くたって。美味しかったって。ぐずっ。ばっちゃんに。伝えるん。だ」


 止めて止めて止めて。

 俺はあなたの夢を背負えるような男じゃないから。

 自分だけで精一杯だから無理だから。

 ついて来ないでもっと叶えてくれるような存在を見つけ出して。

 いや秘密の竹林は見つけ出すよ見つけ出すけどさ万が一ってあるじゃない万が一自分だけならよくないけどいいじゃないでも他のパンダに期待させてさだめだったってそれはいけないでしょよくないでしょ。

 だから。


「ごめんよ」











(2022.10.8)



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