第二十話 夢の中
まだ夢の中だった。
じいちゃんがまだ宙にふよふよ浮いていた。
もしかしてずっと夢の中を彷徨うんじゃない。
不吉な考えがひょっこり頭の中に浮かんで冷や汗が背中の或る一点に集まって来た。
いやいやいやいや。
それはないでしょあれでしょこれでしょ。
あの。
秘密の竹林への案内人とかそんな感じ。
うん多分恐らくそんな感じ。
よくあるじゃない。
亡くなった身内が夢の中に出て来て探し場所まで案内するって。ねえ。
じいちゃんまだ秘密の竹林への場所を案内してないから夢から覚めないつまり目覚められないってことじゃない。
なんちゃって。
違うよ違う。
身体がまだ休息を求めてんだよそうに決まってるだからじいちゃんはまだそこで浮いているの俺にまだ休めって言ってくれてんの。
そう言えば、じいちゃん顔が白いな。
やっぱり幽霊になると顔が白くなるのかなでもあれじいちゃんお酒を飲むと顔が白くなったからさっきもお酒を飲んだから白いのかなやっぱり幽霊でも肌色なのかなどうなのかなじいちゃんちょっとお酒を飲まない時に来てくれないかな。
無心でいようとすればするほどどうでもいいことを考えてしまう。
頭空っぽにしなくちゃだめでしょ身体を休めて秘密の竹林を探しに行くんでしょ。
でもあれ待って。
地上にはないって。
どうやって行くの。
まさか。
まーさーかー。
「いいいいいやあああああぁぁぁ!!!」
まさか死人しかいけないなんて話じゃないでしょうね!!!
(2022.10.6)