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閑話 ルフィリオンの強さの理由

今回は閑話になります。

ルフィリオンの強さの原点とは・・・?

 ルフィリオンが魔王討伐に参加したのはある目的があると言ったのを覚えているだろうか。

 その目的について・・・説明しよう。

 時は今より、100年程昔にさかのぼる。


――――――――――――――――――――


 エルフは15歳~20歳になるまでの間は、普通の人間と同じように成長する。

 これに関しては、ハイエルフも同様である。

 そして、ある程度、成長すると、成長が止まり、死ぬ寸前までその美貌を保ち続けるのだ。

 だがこれは、ルフィリオンがまだ8歳ぐらいの小さい頃の話。

 エルフ達は昼夜問わずに起きていることが多い。

 寿命が長いせいなのか、3~5日に1度寝れば、十分な睡眠となるのだ。

 もちろん、疲労が蓄積していなければの話だが。

 満月の日の夜、ルフィリオンも眠気が来ずに起きていた。


「・・・暑い。」


 ルフィリオンが住んでいるリーテンシュルク大森林は、魔物が多く存在する森で、その気候はそれなりに暑い。

 もちろん、エルフが住んでいる場所では精霊の力や樹の配置により風がよく通るようになっているので、基本は問題ないのだが、時期にもよるが、夜が蒸し暑くなる時がある。

 その日はそういう日で、ルフィリオンは水浴びへと出かけた。


「あ、ルフィリオン様。どうしましたか?」


「暑いから、水浴び。」


 ルフィリオンが家の外を出歩くと、外に出歩いていたエルフの1人が声をかけてきた。

 ハイエルフであるルフィリオンは親が存在しない。

 ハイエルフは突然、精霊の泉と言われるエルフにとっての聖地に現れる、いわば現人神のような存在だ。

 だが、エルフにはなかなか子供が生まれないため、今、最も若いエルフであるルフィリオンは、エルフ達にハイエルフであることも含めて、可愛がられているのだ。


「あぁ・・・精霊の泉へ?」


「そう。」


「お気をつけていってらっしゃいませ。」


「うん。」


 精霊の泉は、エルフは基本立ち入り禁止となっている。

 ハイエルフであるルフィリオンは生まれた場所なので、自由に出入りしていいのだが、エルフにとっては聖地なので、月に1度しか入る機会はない。

 だから、ルフィリオンに声をかけたエルフはついていくことができないのだ。

 ルフィリオンは道すがら、他のエルフにも声をかけられながら、精霊の泉へと向かう。

 しばらく森の抜け道を歩くと、突然森が開けて、精霊の泉にたどり着いた。


「いつ見ても綺麗。」


 周りには多種多様な花が咲き誇り、泉は翡翠色に少し輝いている。

 昼だと分からないが、夜だとそれが鮮明に見えた。

 幸い、今日は満月である。

 暗すぎるということもない。


「気持ちいい・・・」


 ルフィリオンは服を脱ぐと、精霊の泉の中へチャプチャプと足を進める。

 腰当たりまで水が浸かったところで立ち止まり、水の精霊に頼んで、泉の水をジャバジャバと体にかけてもらう。


「あれ・・・?」


 ルフィリオンはしばらく水浴びを続けていると、先程から、泉の一部が変なことに気づいた。


「あそこだけ・・・光ってない。」


 泉の中央付近のみ、なぜか翡翠色の光が存在していないことにルフィリオンは気づく。

 不思議に思って、ルフィリオンは水の精霊に頼んでそこまで運んでもらった。


「不思議・・・どうしてだろう?」


 ルフィリオンは悩んでいると、精霊がやけに下の方を示すような行動をとることに気づく。

 ルフィリオンは泉の顔をつけて、そこの方を覗くと、そこには黒い裂け目のようなものが存在していた。


「何だろう?」


 水の精霊に頼んで、水中でも呼吸できるようにしてもらいつつ、そこまで運んでもらう。

 まるでそこには空間の裂け目がでてきるような感じの黒い穴が空いていた。


(不思議・・・入ってみよう)


 子供であるが故の恐れ知らずというべきか。

 ハイエルフとして大切に育てられてきたルフィリオンは、今まで危険というものに遭遇したことはない。

 そのため、危機感が欠如していた。

 ルフィリオンは、黒い裂け目の中に足を踏み入れた。


――――――――――――――――――――


「わぁ・・・」


 黒い裂け目に入ってすぐ、ルフィリオンは驚きの声をあげた。

 黒い裂け目の中にいたのは、まるで夜空の星々のように黒い空間で光り輝く精霊達。

 遠目ではあるが、動物や人の形をとっている強力な精霊達もいるように見えた。


「精霊の楽園・・・?」


 エルフ達に伝わる話に精霊の楽園という話が存在する。

 精霊達が生まれた故郷であり、そこには無数の精霊が存在する。

 エルフが寿命で死んだ時は、その魂は、そこにたどり着き、精霊として生まれ変わるのだと。


「わっ・・・」


 ルフィリオンがそこに足を踏み入れた瞬間、近くにいた精霊達がルフィリオンに群がる。

 そして、それを気になった精霊がそこに集まる。

 集団理論だろうか、どんどんどんどんルフィリオンの周りに精霊が集まっていく。


(何も見えない。)


 精霊精霊精霊・・・。

 目を開けば、色とりどりに輝く精霊達で、ルフィリオンは何気に目が痛かった。

 そうしていると、突如、ルフィリオンの目の前が開けて・・・精霊達がまるで街路灯のように並び、道を作る。

 突然の事態に戸惑っていると、一部の精霊が「ついておいで」と言わんばかりの動きをしていた。


「ついて来いって言ってるの?」


 同意を返すような精霊の動きに、ルフィリオンは精霊が作った道に沿って、歩き続ける。

 どれだけ歩くんだろう?とルフィリオンが思っていると、遠くに七色に輝く巨大な精霊を発見した。


「精霊?」


 その巨大な精霊に向かって道は伸びている。

 ルフィリオンはその精霊に向かって駆け出す。

 そして、そのすぐそばへとたどり着いた。

 こうして、ルフィリオンは出会う。

 『時の神霊』と。

いかがでしょうか。

お楽しみいただけましたか?

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次の話も閑話、これの続きになります。

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