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昔々、あるところにおじいさんんとおばあさんがいました。

 俺は異世界に目を覚まして、その瞬間に再び死ぬところだった。


 間一髪。

 生前からの持ち前の危機感知能力でグィっと身をよじると、その背中すれすれを大きな刃物が通過していった。

 小学校のドッチボールでいつも最後まで残っていた回避能力の高さを感謝した。

異世界おそるべし!




 さて、何でこんなことになっているか説明しておこう。

 大したことは無い。

 異世界転生的にはありがちな話だ。

なんか手違いで死んだらしい俺は神様に生き返らせてもらえることになった。

 でも、「まあ、折角なんで異世界転生してみたいです」とか言ってみたら、なんか叶った。

 そんなわけで俺は異世界転生することになった。

 神的にはむしろそっちのほうが楽なんだと。

 ついでに「どうせだったら伝説級の勇者になってみたいです」とか言ってみたら、これもなんか叶えてくれるらしい。

神様のOKラインが低い。




 そして生まれ変わった瞬間、死が真上から降り注いで来たのであった。

 もしかしたら、神様、どうせすぐ死んじゃうからなんでもいいや的な感じでいろいろOKしたんじゃなかろうか?

 まだ早鐘のように打つ心臓の鼓動が止まらない。

 ぶっちゃけちょっと洩らした。

 目の前の闇がゆっくりと割れて、光が差し込んできた。

 まぶしさに目を細める。

 やがて光に慣れてくると世界の様子が分かってきた。

 ここはぼろっちい小屋だのようだ。

 二人の人影が見えた。

 その人影がこちらを覗き込んだ。

 でかっ!!

 でかいジジィとババァだ。

 ちょっと和風な感じのボロい服を身にまとっている

 こんにちは。あなた方はどなたでしょう?そしてここはどこでしょう。

 そう尋ねようと口を開いた。

 「あうぅあうあうあー」口が回らない。いや、声が出ない。


 あ。

 分かった。

 これ赤ん坊に転生したパターンだ。


 ジジィとババァがでかいんじゃなくて俺がちっちゃいんだ。

 前世の知識を持ったままリスタートして強くなるパターンのやつね。この手のテンプレ嫌いじゃない。むしろ好きだ。

 「ばー。」しかし困った。

 意志疎通をどうすればよいのだろう。生まれた段階ですでに言葉が解かるパターンだろうか?

 「ばあさん!なんか子供が出てきたぞ!」おじいさんが言った。

 言葉はわかるようだ。日本語に聞こえる。

 「おやまあ。可愛らしい子供だこと。」おばあさんが言った。「そんなことより、こっちの桃は食べれるんですかね?」

 桃?

 「どないじゃろ?こいつ中で粗相とかしとらんか?」おじいさんが俺を抱きかかえて、ベトベトした何かの上から退かせると、床に座らせた。

 あ、畳だ。

 座っていた何かの中から取り出されて、ようやく俺は自分がいままで何に座っていたかを知った。

 桃だ。

 大きな桃だ。

 今は真ん中から真っ二つに割れている。

 え!?

 あれ?

 もしかして、俺、桃太郎?

 「畜生め。ウンコしてやがる。」自分の座っていたあたりを調べたじいさんが悪態をついた。

 てめぇのナタのせいで洩らしたんだよ!ジジィ!!

 「あらあら。」おばあさんが言った。「そこ取り除けば食べれそうですかね?」

 「大丈夫そうじゃが、しょんべんとかかかってても解らんぞ。」

 「良く洗えば大丈夫でしょうよ。」

 「内側はくり抜いて捨てたほうがいいかもしれん。」

 おまえら桃じゃなくてこっち気にしろや!


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