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08話 アルマール村

次の火の朝。


プニプニ


「うぅ…ん」


プニプニ


「うぅ…うぅん…タルトさま?」

「おはよー、リーシャちゃん。

可愛い寝顔だからついほっぺたを触りたくなっちゃって♪」

「おはようございます…」

「ほーら、顔を洗って出発の準備しよ」


二人は起き上がって顔を洗った。


「ご飯は進みながら竜車で木の実でも食べようね」


荷物が少ない二人の準備はすぐに終わった。

距離が不明のため、干物と水筒を積み込んだ。


「では、町に向けて出発。

パンツァーゴー!!」

「ぱん…??」

「意味は分からなくてもノリだよ、リーシャちゃん。

では、もう一度、パンツァーゴー!!」

「お、おぉーー!」


なんとも締まらない掛け声で竜車は出発した。

すぐに奴隷商人と出会った道に出て進行方向であった方向に向かって進んだ。

道はそこまで荒れてはいないが交通量も少ないせいか整備が行き届いてなく竜車は結構揺れた。


「馬車みたいなのは初めて乗ったけど結構、揺れるんだね…。

酔いはしないけどお尻が痛くなってきた。

リーシャちゃんは大丈夫?」

「は、はい、なれていますのでだいじょうぶです。

タルトさまはだいじょうぶですか?」

「このままだと痛みが残りそう…‥、座布団でもあれば…‥。

そうだ!」

「ざぶとん…?」


タルトはステッキだけを出してイメージした。


「エアクッション!」


フワッ


「きゃっ!」

「おおぉー楽になった!

振動が全然伝わらない」

「すこしういてます、おしりのしたにやわらかいなにかがあります!」

『マスター、魔法の使い方が…‥』

(良いじゃない、快適なのは大切だよ!)

『はぁ、分かりました、体調管理の一環としましょう』


乗り心地も快適になり順調な旅路となった。

遠くに畑に囲まれた集落が見えてきた。

それは中世ヨーロッパの小さな村のようであった。

村の入り口に竜車を止めて歩いて村を散策することにした。


(何か昨日の夢で見た気がするな…デジャビュかな…)


タルトは村の景色が気になったがよく思い出せないためほっとくことにした。


「小さな村だし服屋はなさそうかな…。

情報収集といえば酒屋だよね!」


二人は村唯一の食事が出来そうな店に入ってみた。


「いらっしゃい…‥なんだ、子供の来ると頃じゃないぞ。

嬢ちゃんたち家に帰りな」


いかにもナイスミドルっぽいが少し荒っぽい雰囲気のある店主が気付き声を掛けてきた。


「すいません…初めてこの村に来たので少しお話を聞いても良いですか?」

「嬢ちゃん達だけで旅してるのか?

物騒だから気を付けろよ、奴隷商人とかに捕まるな。

まあ、少しだけなら良いぞ」


実は良い人だと思ったタルトであった。


「この村に服を売ってるところはありますか?」

「アルマール村にはねぇなぁ、先にある領主の町ならあるらしいが」

「うぅーん、そうですか…。

じゃあ食材の買い取りをしてくれる場所はあります?」

「それならうちで買い取るぜ!

ここは酒場だからな、何を持ってるんだ?」


タルトはカバンから塩の結晶を取り出した。


「これは…‥塩か?

岩塩にしては綺麗過ぎる、こんなものどこで入手した?」

「あはは…‥途中の湖で拾いました…」

「訳ありか…まあ良い、品物は一級品だ。

金貨5枚でどうだ?」


(良い人そうだし言い値でいいか、そもそもお金の基準も分からないし)


「では、金貨5枚で」

「服屋はそっちの嬢ちゃんの服か?」

「そうなんです、次の町まで我慢するしかないかー」

「ちょっと待ってな、おおーい、モニカ!」


厨房の方から高校生くらいでおさげの女の子が出てきた。


「なーに、お父さん?」


店の主人がモニカに何か耳打ちしたら、2階に何かを探しにいった。


「おじさんの娘とは思えないくらい可愛いらしいですね」

「ほっとけ!あいつは妻に似たんだ。

それにおじさんじゃねぇ、エグバートと呼びな」


2階から何かを抱えてモニカが降りてきた。


「お待たせー、可愛いお嬢さんたち」

「これは…子供服?」

「モニカの小さいときに来てた服だ、塩の代金のおまけだ」

「おぉー、ありがとうございます!

見かけによらず良い人ですね」

「ふふっお父さんもちっちゃい子には勝てないのね」

「いちいち一言多いんだよ!

ミルクでも飲んでくか」


エグバートは顔を真っ赤にしながらコップを二つだしミルクを注いだ。


「ところで嬢ちゃんたち、悪いことは言わねえから飲んだら早めに村を出な」

「?… どうしてですか?

何か起きるんですか?」

「…‥そっちの子は獣人とのハーフだろ?」


ビクッ


「獣人に敵意を持ってるものは多い、何か事件に巻き込まれる前に帰りな」

「その辺りの事情を詳しく教えて貰えますか?私は遠くから来て詳しくないんです」

「本当に何も知らねえのか?

俺も詳しくはないが、昔から光の神様と闇の魔神が戦争している。

光の神様側は天使様や人間、エルフ、ドワーフが主な勢力だな。

魔神側は悪魔や獣人、鬼が主な勢力だ。

だから獣人へ敵意を持ってる者は多いし、特にハーフはどちらの勢力からも良く思われてねぇ」

「…‥タルトさま…‥」

「色々とありがとうございます、この子は私が絶対に守りますので。

あっ、これは情報料です」


タルトはカバンから干物をいくつか取り出した。


「なんだこれ?干した魚か?」

「そうです、干すことで旨味が増してるんです。

こうやって焼いて食べてください」


タルトは魔法で干物の一枚を一瞬で焼いた。


「すげぇな、それは魔法か?

良い臭いがするな…‥こりゃ、うめぇな!」

「本当だ、とっても美味しい!

店の看板商品にしたいくらい」

「気に入ってもらえたなら、また売りに来ますね。

今日は服と情報のお礼でタダということで」

「嬢ちゃんは良い商売人になりそうだな、気を付けて帰りな!」

「はい、また来ます、エグバートさん!」


二人は酒場をあとにして家路に着くことにした。

村を出て少し進んだ頃、村の方から大きな音がなった。


ドオォーーーン


タルトが振り返ると村の方から黒い煙があがっていた。



ブックマークして頂きありがとうございます!

この小説を誰かが読んで楽しんで貰えてるなら何よりです。

週間でなるべく更新しますのでお暇なときにお読みください。

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