表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/293

70話 森の救出作戦

深い森に入っていくタルト一行。

木々の高さは数十メートルになり、密集している事から昼間でも下まで日射しが届かない。

そのせいか周囲の岩は苔で覆われており、神秘的な雰囲気を出していた。

オスワルドは馬車を止め、地図を広げて現在地を確認する。


「かなり古い地図ですが…結構近くまでは来ていると思います。

この先は広大な大森林があり、それを抜けると海があって崖となってるので人が通りません。

この道も昔から整備されてませんので、何処まで馬車で行けるか分かりません」

「確かに結構揺れましたねー。

もう少し荒れてきたら歩いても良いですよ。

ずっと座ってるのも疲れますしね」

「アタシも少し羽根を伸ばすカナー」

「カルンちゃんは羽根を使って飛んでるの?

その割には小さくない?」

「魔力で浮いて、これはバランス取ってるようなもんダゾ。

たまにはパタパタ動かしたくなるんダヨ」

「そんな設定になってるんだー」

「設定って言うナヨ…。

身体の一部なんだカラナ」


暫く進むと道が細くなり、馬車では通り抜けられそうになかった。

地図では歩いても数時間の距離に見えたので、馬車を置いて歩いて行くことにした。

馬に必要な荷物を乗せかえて再出発する。

オスワルドを先頭に完全に遠足に見える。

大森林の見たことない光景に子供達は、はしゃいでいた。

ミミが大きな蝶を見つけ、追いかけていると突然、足を止めた。

何かの音を捉えたようで、耳を立てて集中する。

すると森の奥を指差す。


「むこうでだれかがたたかっているのです…。

あしおとは…ひとりなのです」

「いよぉーし、助けに行こー!」


タルトの掛け声で一斉に走り出す。

先頭にタルト、カルン。

次いでリーシャ、ミミ、リリーが続く。

最後にオスワルドが後方を警戒しながら付いていく。


数百メートルほど進むと大きな影が見えてきた。


「アレは…ストーンゴーレムダナ」

「ゴーレム?魔物なの?」

「微妙なところダナ。

生き物ではないカラ、何だろうナ」

「あっ、誰かが戦ってる!

フードを被ってるけど、私と同じくらいの背格好だね」


ゴーレムの攻撃を躱しながら、連続して矢を放っている。

その身のこなしは羽毛のように軽々と、枝から枝へ移動していた。

だが、ストーンゴーレムには弓が当たっても効果がないようだった。


ストーンゴーレムは剣や弓矢などの一般的な武器が効かない厄介な相手なのだ。

その石で出来た硬い身体は拘束してから、弱点のコアがある頭部をハンマー等で破壊するしかない。

基本的にゴーレムがいるエリアは決まっており、そこからは移動しない。

倒しても意味がなく近寄らなければ襲ってくる事もないので、戦う者はいない。

どうもこの辺はゴーレムのテリトリーらしかった。


「行くよ、カルンちゃん!

助けるよ!」

「アア、丁度運動したかったとこダゼ!」


タルトは変身しゴーレムにめがけて高速で飛んでいく。

並走して飛ぶカルン。

すかさずカルンが真空波を放つ。

ギイイィーーンと音を立てたが、表面に傷が付いただけだった。


「チッ、硬えナ」

「ええーい、これでも喰らえ!

灼熱の風(ファイアーブラスト)!」


タルトのステッキから物凄い勢いで炎が吹き出し、ゴーレムを包んでいく。


「よおーし、続きましてー、凍てつく風(アイスブレスト)!」


今度は吹雪のような水が一瞬で凍るほど冷たい風がゴーレムを襲う。

その温度差で脆くなったのか表面にヒビが入った。


「これで終わり、魔法少女…キッーーーーク!!」


上空から勢いよく頭部に蹴りを放つ。

無駄に足を光らせる効果付きだ。

もちろん、威力とは関係ない。

その蹴りは見事にゴーレムのコアを貫いた。

その巨体が音を立てて崩れていく。


「タルトさま、かっこいいです!」

「ひかっててすごかったのです!」

「…リリーもやりたい」


子供達には大好評だ。

本人もノリノリで手を振っている。

安心したのも束の間、音を聞きつけたのかズシン、ズシンともう一体が向かってきた。


「…チャンス」


凄い勢いで走り出すリリー。

ゴーレムの手前で大ジャンプをして、頭部めがけて蹴りを放つ。


「…リリーキック」


リリーの足が炎を纏う。

一筋の流星のようにゴーレムを貫通する。

もう今更、驚かない一同。

ただひとり、フードの人物を除いて。


「何だこいつらは…?」

「大丈夫ですか?

怪我とかしてませんか?」


タルトは笑顔で近づいていく。


「いや、大丈夫だ。

助けてくれて礼を言おう。

それにしても…悪魔と…怪力少女と…破廉恥少女か?」

「破廉恥って私の事ですよねっ!?

好きでこんな格好してるんじゃないんですから!」

「どうみても露出が多いと思うのだが…。

まあ、悪気はないのだ、許せ」

「うぅ…もういいです…」


フードの人物はタルト達をぐるりと見渡す。


「助けて貰って何だが…一体何者だ?

悪魔と獣人のハーフ、人間の組み合わせは変だしストーンゴーレムを瞬殺するなんて。

それにお前は人間なのか?」

「どうみても普通の人間の女の子ですよっ!

もう…私達はアルマールから来たんです。

あの町では種族は関係なく仲良く暮らしてるんですよ」

「噂には聞いたな。

なるほどな、噂の通りならその金色の髪といい、君が聖女様か?」

「えぇっと、そう呼ばれてましてタルトといいます。

それで、あなたは…?」

「これは失礼した。

ワタシはティアナという。

ストーンゴーレムは手に余って困っていたのだ、助かったよ」


フードをとると容姿端麗な少女であった。

タルトより少し年上に見えるが、まず見てしまうのは尖った耳である。


「も、もしかして…エルフですかっ??

その耳はそうですよね!!

いやー凄い綺麗だし、絶対そうですよね?」


グイグイくるタルトの勢いにだじろぐティアナ。

目をキラキラさせて迫ってくる。


「ちょっと落ち着けっ!

確かにワタシはエルフだが…。

近い!近いって!ちょっと離れろ!」

「うわああぁ!凄い本物だあ!

やっぱり武器は弓矢なんですねー。

それで長命だったりするんですか?」

「まあ、人間より長命だな。

ワタシも300年以上は生きているぞ。

長く生きるからか子孫を多く残さないから数が少ないんだ。

だから、あまり見掛ける事がないのだろう」


二人のやりとりを聞いていたカルンも会話に参加してくる。


「そんなエルフが何でこんなところに一人でいるンダ?」

「悪魔とこんな普通に会話出来るなんて感慨深いな…。

おっと、すまない、ここにいる理由だったな。

ワタシは各地の歴史等を調べていてな、この近くに遺跡があると古い文献で見つけたんだ」

「そうなんですか!

もしかして私達と目的地が同じかも知れませんね!」

「ほお、聖女様一行も遺跡に向かっているのか?

それは有難い、先程のようにゴーレムに出会ったらと一人では進めないからな」

「マア、タルト姉が良いならいいんじゃネエ」

「もちろんOKです!旅は多い方が楽しいですよね」

「それに…君にも非常に興味がある。

何で色んな属性の魔法が使えるのだ?

それにその服は魔力で出来ているのかね?

いやあ、興味が尽きないよ」

「あははは…その話は今度、お茶でも飲みながらでも…」

「そろそろ進もうゼ。

日が暮れちマウゾ」

「そ、そうだね、そうしよう!

さあ、遺跡目指してGo!」


こうしてエルフのティアナを加えて再出発となった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ