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46話 雪恋

キャラや技の名前考えるのって、本当に大変ですね…。

これだけいろんな作品があると、どこかで絶対被りますよね

大天使の襲撃に続き、児童誘拐事件が発生してアルマールは厳戒状態にあったが、ようやく落ち着き日常の生活が戻ってきた。

タルトは自分の鍛練として、朝からジョギングをしていた。

魔力での身体強化も基礎となる自分の体を鍛えた方が効果が高い。

基礎の筋力が1だとして、強化で倍となる場合は強化後は2になるが、基礎が2あれば4となる。

タルトの膨大な魔力で増加倍率を上げた強化をしているため、ただの女子中学生でも獣人や悪魔等と渡り合えてるのだ。


「はぁ…はぁ…死ぬ…もう…限界…」


ただ、インドア派のタルトは体力がない。

この世界に来て多少、ましになったが強化無しの状態で少し走っただけだが、死にそうな状態になっている。


「タルトさま、だいじょうぶですか…?」


一緒に走っているリーシャは息も切らしていない状態で、心配そうに見つめている。


「だ…だいじょうぶ…だよ、り…リーシャ…ちゃん…。

まだ…まだ…いける…はず…、まだ、私の…小宇宙(コスモ)は…消えて…いないよ…」


誰の目から見ても限界を迎えていた。

汗ダラダラで足は生まれたてのバンビのように、プルプルしていた。

それでも、何とか鍛練場まで戻ってきた。

着いた途端、地面に倒れこんだが。


「おいおい、そんな格好じゃ聖女様らしさの欠片もねえなあ」

「桜華さん…燃え尽きたんです…真っ白に…」

「タルト殿、どうみても死体だな…。

まあ、少し休んだら朝食でも食べに行こうじゃないか」


しばらく休み、タルトが何とか起き上がったので、皆でエグバートの店にて朝食を食べることにした。

店に着くと定位置である奥にあるテーブルを占領した。


「うぅ、生き返るよぉ…。

このスープは運動のあとにピッタリだよぉ」

「スープ飲んで泣いてるゾ…。

本当にタルト姉は、魔力を使わないと貧弱ダッタナ…」

「いつも言ってるでしょ、普通の女の子だってー」

「まあ、その為に自己鍛練をしているんだろう。

タルト殿のその志は素晴らしいと思うぞ」

「ソウデスワ、タルト様はこれでより強くなるのデスワ」

「ダカラってリーシャにあんなに置いてかれるトハナ…」

「リーシャちゃんはハーフだから、普通の人間と比べないでよぉ!」

「タ、タルトさまのどりょくしてるすがたはかっこうよかったです…」

「ありがとー、リーシャちゃん!」

「あの泣きそうでフラフラが格好良いノカ…?」


楽しく談笑をしていると、窓際にいたフードを被った人物が近づいてきた。

そして、桜華の手前で止まりフードを取り、跪いた。


「ようやく見つけました、姫様。

私めと共に國へお戻りください」

「ん、お前は…雪恋(セレン)か?

どうして、こんなとこにいるんだ?」


雪恋と呼ばれた人物は頭に角があることから、鬼の一族であることが分かる。

ショートボブくらいの髪型で、まだ10代と思われた。

だが、その動きは礼儀正しく、無駄の無いものであることから実力者だと分かる。


「どうしても何も姫様が行方不明になられたので、探しておりましたところこの町にいるという噂を聞きつけました。

鬼は珍しいのですぐにこの店によく来るという情報を手に入れお待ちしていた次第です」

「相変わらず堅っ苦しいなあ、お前は!

うちはここで楽しくやってるから、ほっとけと伝えておいてくれ」

「そんなことは許されません!

貴方は一国の姫です!

御兄弟も心配されておりました!」

「國は兄貴が継げば良いだろう。

うちは何のしがらみもなく生きたいんだがなあ…」


このやり取りを呆気に取られて、周りの面々は見ていた。


「あのぉ…ちょっと、良いですか…?」

「なんだあ、タルト?

お前も何か言ってくれよお」

「いや、それよりも…さっきの姫様って桜華さんの事ですよね?」

「ああ…その事か。

いつかはバレると思っていたが、うちは族長の娘なんだよぉ。

で、こいつは側付きとして小さい時から一緒でなあ」

「お、桜華さんが…姫様…。

いやいや全然、姫っぽくないんですけどっ!?

言葉使いとかも…」

「何だと、貴様!

姫様にむかって何て失礼な態度だ!」

「だから、言いたくなかったんだよ。

雪恋も落ち着け、このちんちくりんが噂の聖女様でうちは勝負に負けて、仲間になったんだ」

「なっ、あのお強い姫様が…負けた…?

勉強はほったらかしで、剣術だけに打ち込んでいたのに…。

そのせいで礼儀作法も覚えず、國では問題ばかり起こして…」

「いや、雪恋さんも十分、失礼なことを言ってるよっ!?

それにちんちくりんは余計です!」

「と・に・か・く!

うちは帰る気は一切ないっ!」

「えーと、雪恋さん。

桜華さんが、こう言ってますので、今日のところはお引き取り頂くということで…」

「人間風情が黙っていろ!

穏便に済ませられるようにと、思ったが無理のようだ。

こうなったら力ずくでお帰り願いましょう」

「何でそうなるんですか?

そんな、極端じゃなく、もっと平和的に解決を図れないですか?」

「平和だと?

この数百年、戦争が続いているのにか?

姫様をお待ちしている間に、ここの店の人間を殺しても良かったのだぞ。

お前の言う平和など夢物語だ」


雪恋は今までと違い、短刀に手を掛け殺気を放っている。


「まあいい。

戦う力もない弱者を殺すのは本意ではない。

だが、邪魔をするならば別だがな」

「雪恋よっ!

この町に手を出すならうちが黙ってねえぞ!」

「…そうですか。

今日のところは引き上げますが、近いうちにまた、伺います。

姫様のお気持ちは伝えますが、期待はしないで頂きたいですね」


雪恋はそう言い残すとフードを被り、店を出ていった。


「ちっ、このまま素直に引き下がるような奴じゃねえなあ」

「それにしても、桜華さんがお姫様だなんてビックリです!」

「私としては桜華殿の刀剣や服装から、それなりの階級かと思っていたが、まさか姫君とはな」

「それだけの身分なら不自由も無かったデショウニ、どうして國を出たのカシラ?」

「姫様なんて柄じゃねえんだよ。

だから、一人で生きていけるように強くなって、國を出て暮らしてたのさ。

浪人として戦場に出たり、強いやつと腕比べしたりな」

「それで私のところに来たんですね…」

「そりゃあ、聖女様なんて面白い奴がいたら、戦ってみてえだろ!」

「はぁ、桜華さんらしいです…。

でも、お姫様だったなら國の方も心配してるでしょうね」

「親父じゃねえな…、アイツは戦う以外に興味はねえ。

雪恋を動かしてるのは、兄貴の方だな」

「あはは…桜華さんはお父さん似ですね…。お兄さんはどんな人なんですか?」

「…アイツは変人だ…」

「変人…ですか?」

「兄貴の事はもう聞くな…考えたくない…」

「出来れば親族の方と戦わずに済む方法があれば良いんですが…」

「次来るときにどう来るか次第だなあ。

雪恋は無駄な殺生は好まないが、バカ兄貴は何するか分からんからなあ…」

「ガブリエルが言っていた怪しい動きとはこの事だったのか?

タルト殿、念のため警戒はしておいた方が良いぞ」

「そうですねー、オスワルドさんに伝えて監視を強化してもらいましょうか」


朝食を終えたタルト達は各村へ警戒を怠らないよう伝達した。


ノルンだ。

全く桜華殿が姫君とは、驚いたな。

出来ればもう少し教養を身に付けて欲しかったところだが…。

次回はまた村への襲撃があるそうだ。

自警団も日頃の鍛練を思い出して、頑張ってくれるだろう。

負けるようならより厳しくしないとな。

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