表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/293

25話 防衛準備

数日後....


兵や自警団の調練を見に領主の町へ再度、訪れた。

そこではノルンが剣の指導を行っていた。

ちょうどオスワルドと木剣で模擬戦をしている。


「脇が甘いっ!次っ!!」


オスワルドの攻撃をあっさりと捌き、胴に凪ぎ払った。


「ノルンさーーん!調子はどうですか?」

「これはタルト殿。

少しずつだが皆、成長を感じるぞ」

「聖女様、よくお越しくださいました!

ノルン様には熱いご指導して頂いております。

よし全員、少し休憩とするっ!!」


オスワルドはキビキビと部下に指示を出した。

それを見ながらノルンはタルトにこっそり耳打ちした。


「オスワルド殿は木剣で叩かれる際に喜んでるように見えるのだが......」

「あぁ.....それは、そういう性癖があるようで......」

「そうなのか.....時々、寒気を感じるぞ。

道理で皆、この役を断ったわけだ」

「すいませんが我慢して付き合ってあげてください.....」

「まあ、私に出来ることは全力で協力させてもうう」


ノルンから兵の習熟度の評価を聞き、今後の調練のスケジュールや練度によって配置を調整中した。


「ではノルンさん、夜ご飯の時にエグバートさんのお店でね」

「承知した。

もう少し指導したら戻ることにする」


調練場を後にし鍛冶屋に向かうことにした。

製鉄から武器の鍛冶まで一貫して行っている場所だ。

元々、この領地にはない施設のため、職人の教育も兼ねている。

炉の火入れもあるのでシトリーに任せている。


「こんにちはー!

シトリーさん、作業は順調ですか?」

「タルト様、順調でございマス。

職人の技術も上がってきておりマスワ」


職人の中で見知った顔がある。

中央で新人と思われる職人に色々と教えてる人物だ。


「あれ?あの人って、この前の陶器を作っていた人じゃ.....?

しかも丸々太ってたのが職人気質の細マッチョになってるんだけど.....」

「ああ、あの男はワタクシがここを任されたと聞いて、来たそうデスワ。

よく働く忠犬みたいなものデスワネ」

「恋愛も色々な形があるんですね.......」


「よし、お前ら!

シトリー様に喜んで貰えるよう気合い入れて作業しろっ!!」

「「「「「お頭、合点です!!!」」」」」

「しかもお頭なんだ.......」


ここでは職人が丹精込めて打つ剣と水車を使って打つ量産品の剣を作っている。

この水車もタルト考案である。

量産品は近隣の町に卸すことで収入を得ていた。


「じゃあシトリーさん、夜にエグバートさんの店で!」


次に通信役をみているリリスのところに向かった。

そこでは狼煙の種類や使い方などの指導や伝書鳩代わりのガーリナの飼育と調教が行われていた。


「リリスちゃーん!

どんな感じー?」

「オウ、タルト待ってタゼ!

いつでも実践可能ダ」

「ずいぶん早いね!?

魔物の調教は時間掛かると思ってたのに」

「保護した獣人が多くいてな、視力も良いしガーリナと会話が可能ダカラナ。

ちょっと教えたらすぐに覚えタゼ!」

「適材適所って感じだね!

色んな種族がいると長所を活かして助け合えそうだよね」


実際に離れた村同士で練習を行うのを見て、問題ないことを確認した。

物見櫓はあとこちに現在、建設中だ。


「そろそろ暗くなるし一緒にエグバートさんの店に行こうか?」

「そうダナ、腹も空いたしそろそろ行くカ」


エグバートの店に入るとシトリーとノルンが口喧嘩をしていた。


「カルンちゃん、何があったの?」

「何だかこの店の新メニューを考えてたんダガ、天使と悪魔の料理のどっちが美味しいかで揉め初めタンダ。

どっちでもいいけどお腹空いタゼー」


その時、シトリーがタルトがいることに気付いた。


「タルト様、お戻りデシタカ。

ゼヒ、料理の判定役をお願い出来ますデショウカ?」

「タルト殿なら公平に判断してくれよう。

私からも是非、お願いする」

「まあ、この店の新メニューの為だし.....。

うん、引き受けるよ!」

「直ぐにお作りシマスので、少しお待ちクダサイ」


二人は厨房に消えてった。

少し後、先に出てきたのはノルンだった。


「お待たせした。

天使に伝わる伝統料理だ」

「うん、美味しい!

素材の味を活かしていてあっさりしてる」

「次はコチラをお試しクダサイ。

悪魔の自慢の逸品デスワ」


いつの間にかシトリーが料理を持って来ていた。


「うん、こっちも美味しい!

調味料が効いてて癖になりそう」

「天使の味のナイ料理なんて直ぐに飽きてしまいマスワ」

「いや悪魔の調味料漬けの料理は健康に悪すぎだ」

「まあまあ、どっちも美味しかったよ!」

「タルト様、ドチラがお好きデスカ?」

「正直に答えて貰おう、どちらが良かったのだね?」


二人の勢いに圧倒されるタルトであった。


「えぇっと......うぅんと.....その時の気分で食べたい方が変わるかな.....」

「気分....デスカ。

では、今のは引き分けで次にイキマスワ」

「望むところだ!」

「ええぇ.....まだ続くんですか....」

「美味しけりゃ、どっちでも良いけどナ」

「わたしもりょうほうすきですー」


気の重いタルトをよそにカルンとリーシャは料理を楽しんでる。


.........

......

...


「もう6品目なんですけど....」

「中々ヤリマスワネ、次で勝負を決めマスワ」

「貴殿もやるな、だが勝つのは私だ」

「すいませーーん.....もうお腹いっぱいなんですけど......」


タルトの訴えは耳に入ってない二人は厨房に消えた。


「ジャア、頑張れよタルト!」

「リーシャが眠そうだし風呂へ先に行ってるゾ、タルト姉」

「ふああぁ、がんばってくださいタルトさま」

「えええええっ!

見捨てないでぇ.......」


「お待たせシマシタ、タルト様!」

「待たせたな、タルト殿!」

「「どっちが美味しいか勝負!」」


「もう勘弁してーーーーーーーーっ!!!」


今日も平和に一日が終わるのであった。


「全然、平和じゃないよっ!!!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ